所在不明
間二郎(あいだじろう)
所在不明
金魚鉢に納まる頭部だけの私は眼球を動かす自由だけ与えられ、硝子面越しに辺りを見ている。幽暗な間に幾匹のクラゲが浮かび上がりぷかむぷかむと静かに泳ぐ。傘の縁から生えた無数の触手はほのかに輝きたゆたう。鉢の内外――水の所在が判らないため、彼等の所在も水中か空中か判然としない。永い間ぼうっとそれを眺めていると、おぼろげな彼等の身体がゆっくり煙に変態していく。
夢。
所在不明 間二郎(あいだじろう) @aidajiro_
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