第12話 糧となる希望
アリスは、自身の存在を否定するのではなく、両親と賢者から受け継いだ「愛」と「希望」を守り抜く意志こそが、光の覇王の真の力だと悟った。彼の剣は、破壊的な浄化の炎ではなく、生命を包み込むような温かい黄金の光を放ち始めた。
その変化に驚いた闇の騎士だったが、すぐに彼の漆黒の甲冑の下から、低い、しかし陶酔にも似た笑い声が漏れた。
「ハハハ…そうだ!それだ、光の覇王よ!」
闇の騎士は、アリスの希望の光へと向かって、黒曜石の腕を広げた。
「その力、その思い! その内なる矛盾を乗り越えた強い意志こそが、旧き世界には欠けていたもの! 我々が求めていたものだ!」
闇の騎士の言葉は、アリスの期待を再び打ち砕いた。彼はアリスの「希望」をも、自らの破壊の論理に取り込もうとしたのだ。
「そうだ!その想いが新世界の糧となるのだ!我々の使命はそれを産み出すためだ」
闇の騎士は、その禍々しい剣『終焉の刃』を地面に突き立て、周囲に広がる闇の霧を一気に凝縮させた。
「お前が、自らの命を懸けて守りたいと願う、その希望の光。それこそが、滅びの瞬間に最も輝き、最も濃密なエネルギーを放出する! その希望を、私が完全に打ち砕き、虚無へと還したとき、我々の使命は達成される!」
闇の騎士にとって、アリスの絶望や破壊の力ではなく、彼が抱く「希望」の燃焼こそが、世界を終わらせ、新しい世界を産み出すための究極の燃料だったのだ。
「お前の戦い、お前の守るべき全ては、より高次の世界を生むための、尊い犠牲となる! さあ、希望の光よ。私の闇に飲まれ、最高の糧となれ!」
漆黒の霧は、聖なる山脈を覆い尽くし、アリスの希望の光を飲み込まんと、巨大な闇の渦となって襲いかかった。アリスは、この戦いが勝敗や破壊の規模ではなく、自らの「希望」が闇に屈するかどうかの、意志の戦いであることを悟り、剣を強く握りしめた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます