世界

エリック・バートンは痛む。


彼の操縦するビックバイパーによる、激しいドッグファイトの後、エリックは戦機同様の痛みだった。


コクピットから無理やり脱出した身体は、地面に叩きつけられて、さらに痛む。


「っっっ。 ぐっっ、 っ。」


セリフにはしないが、抑えたうめき声と腕の哀れな動きが、彼の辛さをよく示していた。


血だらけで、傷ついている。


段々と疲れてくる。


エリックは「生きるレジェンド」で終わるのか。


力なく、遠くなる。


陰る足先が、エリックの周りにいる。


彼は、恐る恐る目を閉じて、休んだ...


****

目覚める。


エリックは白い空間に、仰向けで寝そべっていた。


綺麗な肌色で、痛みも傷も、消えた。


薄い水辺に、見える人物はもちろん、無意識0。


無意識0はエリックの元へと歩くと、彼をなだめた。


...「エリック。」


腰のあたりに座り込み、誘惑をする無意識0。


はあ。


****

一つため息をついて、顔を上にするエリック。


瞑った先は、いっぱいだ。


無意識0。


世界。


エリックには守るものがあった。


無意識0の頬に触れる、エリックの確かな手。


「......女よ。 ...俺がお前を守るんだ。」


体を上げた無意識0に、立ち上がるエリック。


「...俺を喧騒に戻してくれ。」


...「本当にいいの?」


「......俺には、守らなければならないものがある。」


...「いいのよ。 好きにしなさい...」


シフトしていく視界。


気づけば、ステーションの部屋にいた。


机の薬を手に、頬張る口。


準備ができた。


****

ビックバイパー。


向かうべき所は、それしかない。


コクピットに、着席する。


目を閉じて、集中。


意識が開くと、目が青白く、光って。


この世界は、俺が守る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る