夜が更けるまで
もっさん
夜が更けるまで
マサノブの指先がそっとケンジの腿に触れる。ほんのわずかな圧。ケンジの体が小さく震えているのが伝わってくる。その震えが二人の体温をじわりと高め、空気の密度を変えていく。ケンジの額に浮かんだ汗が一筋、ゆっくりと頬を伝う。
部屋は呼吸すらためらうような静けさに包まれ、障子の向こうから降り続く雨の音だけが微かに響いていた。
「ケンジくん…」
その呼びかけは夜の帳をそっと払うように柔らかく響いた。
「…はい」
答えるケンジの声にわずかな緊張が滲む。
「ずっと見てたんでしょ?俺のこと」
静かに問いかけるマサノブ。その言葉の奥にはどこか確信めいたものがあった。
驚いたように目を見開くケンジ。だがすぐに視線を伏せることなく静かに頷いた。
「はい…見てました。マサノブさんが…どうしようもなく好きなんです。ずっと…ずっと前から」
その声は震えていたが、曇りはなかった。心の底から湧き出た想いが言葉となって溢れていた。
マサノブはその告白に一瞬言葉を失う。唇の端がわずかに動く。笑みだったのか、それとも胸に込み上げる感情を抑えきれなかっただけなのか、自分でもよくわからない。
「こんなおじさんのどこがいいんだい?」
投げかけた問いは冗談めいていたが、どこか本気の色を帯びていた。過去も傷も包み隠さず差し出すようなその言い方に、ケンジはほんの少しだけ眉を下げ、揺るぎのない視線で応じた。
「…全部、です」
ケンジのあまりにも真っ直ぐすぎるその答えに、マサノブは喉の奥で笑いをこらえる。
(ったく…ほんと可愛いな)
心の中でつぶやきながらゆっくりと身を乗り出す。額が触れ合いそうなほどの距離。そこにはもうためらいも遠慮もなかった。
「じゃあ…もっと触ってもいい?」
「…はい…」
静けさに包まれた部屋にかすかな吐息が重なる。マサノブの手がゆっくりとケンジの胸元から浴衣の合わせをほどいていく。
大柄な体が晒されていくたびにケンジは身を強張らせる。だが視線はそらさなかった。首筋から流れ落ちる汗がケンジの背中を濡らしていく。
「ケンジくん…緊張してる?」
微笑みながらそう話しかけるマサノブの声には大人の余裕と色気が漂っている。
「ちが…あの…マサノブさんと、ずっと…」
ケンジはマサノブの腰に腕を回した。理屈じゃない。触れていたい。繋がりたい。ずっと我慢してきた衝動が理性を突き破る。
「ずっと、こうしたかった…!」
その言葉と同時にケンジは力強くマサノブを抱きしめた。その勢いにマサノブはたじろぎながらも、ふふっと小さく笑う。
そのまま手のひらでケンジのふっくらとした頬を優しく包み込み、ゆっくりと顔を引き寄せる。マサノブの手の中でケンジの頬がさらに紅潮していく。
「マ、マサノブさん…」
初めはためらうように、鼻先が触れ合い、呼吸が混ざるだけ。そしてどちらからともなくゆっくりと、少しずつ唇を近づけていく。唇と唇が静かに触れ、次第に熱を帯びる。重なるたびに深く、湿度を増し、舌がそっと触れ合う。
一度触れてしまえばもう止めることはできなかった。マサノブの唇がわずかに角度を変え、吸い寄せるように深く触れた瞬間、ケンジの肩が小さく震える。
マサノブはそのまま右手をケンジの胸に置いた。ケンジの体は厚みがあるのにどこか幼さすら感じさせる。その大きな体は触れると驚くほど柔らかく、指が沈むように馴染む。
「…意外と柔らかいんだな、ケンジくん」
「マサノブさんも…」
そう答えるケンジの大きな手がマサノブの背中から腰へと回される。その指先が慎重に、確かめるように動いていく。浴衣の下、少し緩んだ腹の感触を、胸の張りを、肌の温もりを。
ケンジの胸にマサノブの手が沈む。乳首を指先で軽くなぞるとケンジは小さく身じろぎし、喉の奥で吐息を漏らした。
「ここ、感じるんだ?」
「…はい…」
灯りに照らされたケンジの体が熱を帯びて浮かび上がる。肉厚な胸、丸く出た腹、内腿にかけての滑らかな膨らみ。マサノブはその全てに視線を這わせながら指でなぞっていく。
ゆっくりと滑るような手つき、要所を捉える指先。愛おしさと欲望が入り混じったその動きは経験の浅いケンジにとって全てが刺激的だった。
まるで奥底に眠っていた本能を呼び覚まされたかのように、ケンジの呼吸は次第に荒くなっていく。マサノブの指がケンジの腹をたどり、その下の膨らみに触れた瞬間、マサノブの動きが止まった。
「…でけぇな…」
思わず漏れた声。それは驚きと、同じ男としての率直な感嘆が混ざり合ったつぶやきだった。
ケンジはその言葉にはっと息を呑む。顔を真っ赤に染めながら、そっとマサノブの胸元に額を押し当てる。
「…恥ずかしい…見ないでください…」
「いや、見ちゃうだろ…これ…」
マサノブは苦笑いしながら指先をやや強く押し当て、輪郭をなぞる。そこにあるのはただの若さや勢いではない。肉厚でずしりとした存在感や行き場を失った熱が、マサノブの手に確かな重みと湿り気をもって伝わってくる。
そしてその感触に触発されたかのようにマサノブの体も反応を示していた。ケンジは浴衣越しに主張し始めたその熱に気づき、そっと視線を下ろす。
そこにあったのはマサノブの下着を突き上げている膨らみと、濡れて雫が滲んでいる先端。ケンジの喉がかすかに鳴る。
「マサノブさんも…すごいです…」
その声は驚嘆と興奮に満ちていた。二人は思わず顔を見合わせ、互いに何かを言いかけるが言葉にならず、ふふっと笑い合う。緊張が熱へと変わっていく。
「…暑いな…俺も脱ぐか」
「っ…!」
ケンジの興奮と渇望の視線が、自然とマサノブに向けられる。その眼差しの前でマサノブは何のためらいもなく自らの帯に手をかけた。するりと滑り落ちる浴衣の裾が、床に触れて柔らかな音を立てる。そのまま下着までもが一度の動作で脱ぎ捨てられ、マサノブは一糸纏わぬ姿になった。
ケンジは思わず息を呑んだ。
マサノブの体は少し緩んではいるがその分厚みがあり、四肢の太さや肌を覆う少し濃い体毛も相まって、成熟した大人の色気を発していた。
そして──体の中心にあるもの、それは決して威圧するような大きさではない。だが、その温かな脈動と目を逸らすことを許さぬ存在感は、ケンジの視線を絡め取って離さなかった。
ケンジは指先でそっとマサノブの中心に触れた。その手に確かな硬さと熱を感じ、鼓動が大きく跳ねる。
「あぁ…マサノブさん…すごい…」
ケンジの声は震えていた。興奮とどこか尊敬にも似た感情がないまぜになっている。
そしてマサノブの手によってケンジの浴衣や下着が静かに剥ぎ取られ、二人の間にあった最後の隔たりが消える。布越しの温もりではない、肌と肌との確かな接触。
互いの熱が触れ合い、湿度を帯びて絡まる。ケンジの震える手がマサノブの熱くなったものを包む。その指先のたどたどしさがかえって愛おしくなり、マサノブは少し目を細めて息を吐く。
「遠慮しなくていいんだよ、ケンジくん」
「こ、これでも必死なんです…!」
マサノブの視線と肌に包まれたケンジがかすれた声で答える。荒い呼吸の合間に漏れたその響きは、まるでかろうじて残っている理性を繋ぎとめようとしているかのようだった。
視線が合う。マサノブはケンジの頬に指を滑らせ、唇をもう一度重ねる。初めての時のようなためらいはもうなかった。貪るでもなく、ただ確かめるように。舌が互いの内側をそっと撫で、熱を与え合う。
二人の体が切れ目のない塊のように絡み合う。肩、胸、腹、そして下腹部。全身がありのままの熱と質感で重なり合い、甘い興奮が全身を駆けめぐる。
「マサノブさん…」
ぽつりと漏れ出たケンジの声。マサノブはケンジの臀部に手を這わせ、その滑らかな膨らみを手のひらで包みながらゆっくりと答える。
「どうしたんだい、ケンジくん」
「…したいんです、俺から。俺が、マサノブさんを気持ちよくさせたいんです…」
ケンジの声は震えていたが、どこか芯があった。言葉にするのはまだ不慣れでも、その想いは真っ直ぐで強かった。
愛おしそうに微笑んだマサノブが身を預けると、ケンジは大きな体を揺らしながらゆっくりとその上に覆いかぶさる。
不思議と圧迫感はない。むしろその重さと体温が心地よく、マサノブの心を落ち着かせていく。
ケンジの指先がぎこちなくも丁寧にマサノブの胸元をなぞる。少し緩んだ体の奥に息づく筋肉の厚みを確かめるようにゆっくりと、慎重に。やがてその手つきは次第に迷いを失い、触れることに慣れていく。
「…好きです。柔らかくて、あったかくて…マサノブさんの体、全部、好きです」
そう言いながら、ケンジは唇をマサノブの胸に近づける。ゆっくりと乳首を口に含み、舌で円を描く。その動きにはまだ拙さもあるが、真剣な熱がこもっている。
「うっ…ケンジくん、なかなか…やるな…」
マサノブが吐息まじりにそう言うと、ケンジは恥ずかしそうに笑い、すぐにもう一方へと口づけを移す。その舌の動きはさっきよりもずっと滑らかで、要領を得てきている。
ケンジの指が腹の上を這い、下腹部へと進む。マサノブの中心に触れ、その溢れ出る先走りを指先で感じたケンジは一瞬たじろぐ。しかしすぐにふっと笑みを浮かべ、指先で温度と形を確認するように撫でながら、少しずつそこへと顔を寄せていく。ケンジの唇が軽く触れた瞬間、マサノブの腹筋がぴくりと反応する。
ケンジは顔を伏せ、マサノブの中心に深くそっと唇を落とす。そして口の中で形を感じながら、呼吸に合わせてゆっくりと上下に動かし始める。
マサノブはあまりの快感に驚き、息を呑んだ。奥まで無理に行こうとせず、深さよりも刺激と丁寧さを意識したその動きはまるで研ぎ澄まされた熟練の技のようだった。吐息と舌の絡め方、手との連携。不器用だと思っていたケンジのそんな一面にマサノブはぞくっとし、低く息を吐く。
「…ん…ケンジくん…ちょっと上手すぎるだろ…」
肩を震わせながらそう漏らしたマサノブの手がケンジの髪に触れる。無言の「ありがとう」と「もっと」の混ざった合図。
その手を受け止めるようにケンジは深く息を吸い込んだあと、さらに動きを強める。湿った音と共に、空気が重く、甘く満たされていく。
快感がじわじわとせり上がってくる。ケンジの動きは徐々にリズムをつかみ、喉の奥からくぐもった音がこぼれだす。唇の温かさ、舌のぬめり、手のひらの厚み。そのすべてが静かに、そして確実にマサノブを追い詰めていく。
「…そんなに、頑張ったら…俺、我慢できなくなるぞ…」
その声にケンジは少しだけ顔を上げ、口元を拭いながらにこっと笑う。
「それでいいんです。マサノブさんが乱れるところ、もっと見たいですから」
その無邪気ともとれるケンジの言葉にマサノブの理性は音もなく崩れ始める。
「…よし、次は俺の番だ。ケンジくんにも気持ちよくなってもらわなきゃな」
マサノブがケンジの腕をぐっと引き寄せ、そのまま抱きしめるように口づけをする。熱を帯びた唇が絡まり、吐息が混ざり合う。そしてケンジが全てを委ねるような目でマサノブを見つめる。
「…はい、お願いします…」
マサノブはケンジをそっと押し倒す。さっきまでとは逆の体勢。今度はマサノブがケンジの体に唇を落としていく番だった。首筋から胸元へ。唇と舌で跡を残しながら下りていく。
「あぁ…マサノブさん…気持ち…いいです…」
その言葉に微笑んだマサノブの舌がケンジの胸元をゆっくりと這う。
ふくよかな肉の起伏をたどるように、左右の乳首を交互に口に含んでは甘く舐めあげ、時折軽く歯を立てる。そのたびにケンジの体はびくりと震え、押し殺すような吐息が唇から漏れる。
「…あっ、あっ、マサノブさん…そんな、そこ…っ」
「ここが気持ちいいんだろ?」
低くささやきながらマサノブは手を下へと滑らせる。下腹部を撫で、熱を帯びたケンジの張りつめたものを優しくゆっくりと包み込む。そして指先で形を確かめるように丁寧に刺激を与える。
ケンジはもう何も隠せなかった。羞恥も、理性も、全てマサノブの熱に溶かされ、ただ身を預けている。
(やったことはないが…ケンジくんの反応も見てみたいし、いいだろ。にしても…でかいな…)
マサノブの顔がケンジの中心に近づく。唇がそっと触れた瞬間、ケンジの腰が浮いた。
「っ、あ…だめ、そんな…っ、マ、マサノブさん…」
必死にこらえる声が欲情を煽る。マサノブは言葉を返さず、口いっぱいに包み込み、舌をゆっくりと絡めていく。吸い、舐め、焦らすように根元から先端へと丁寧に動かしていくたび、ケンジの体が大きくしなり、汗が胸元を伝って滴る。
快楽の波が次第に高くなり、呼吸が荒く浅くなる。ケンジの指が布団をぎゅっと掴み、腰が小刻みに揺れる。喉の奥で押し殺すように声を震わせながら、ケンジは助けを求めるようにマサノブの肩に手を伸ばした。
「…も、もう、だめ、出ちゃう…っ」
その瞬間、マサノブの唇がふっとケンジから離れる。
「…え…?」
驚いて目を見開いたケンジに、マサノブはいたずらっぽく笑いながら答える。
「いくのはまだ早いよ、ケンジくん」
マサノブはゆっくりと息を吐きながらケンジにのしかかり、抱きしめる。密着した体に二人の汗が絡み合う。
「…マサノブさん…」
そのすがるような声にマサノブは胸の奥が締め付けられ、熱くなる。可愛くて、愛おしくて、守りたくて…でも、抱きたくてたまらなかった。
マサノブはケンジの耳元にそっと唇を寄せる。
「ケンジくん……入れても、いいかな」
それは低く、しかし迷いのない声だった。言葉以上のすべてを込めた、マサノブの覚悟そのもの。ケンジの体がわずかに震え、目を見開く。そして唇を噛んでから、頷く。
「……はい」
ただ、それだけ。しかしその一言は、長く交わることのなかった想いと欲望と、積み重ねてきた感情のすべてを受け止める確かな答えだった。
雨音と月明かりが二人の肌に柔らかく降り注ぐ。夜の帳に包まれた中で、言葉を超えた確かな結びつきがいま始まろうとしていた。
マサノブは静かに目を閉じ、ケンジに口づけを落とす。そして深く息をつき、ケンジの脚をゆっくりと開かせる。手で優しくほぐしながらたっぷりと肉のついた太腿の間に自分の体を滑り込ませていく。
その表情は真剣で、愛しさと欲望がせめぎ合うような静かな熱に満ちていた。マサノブの指先がケンジの奥へと伸びていく。そのたびにケンジは体を強張らせながらも、拒絶することなくマサノブに全てを委ねていた。
「…大丈夫かい?」
「はい…平気です…マサノブさんの…早く欲しい…」
小さく頷いたマサノブは自身の硬くなった肉棒を手に取り、静かにケンジの秘部にあてがった。
マサノブの腰が沈み、ケンジの中をゆっくりと押し広げていく。最初は抵抗に近い熱さがあった。だがケンジの身体は驚くほど素直に、まるでずっと前からそうすることが決まっていたかのように、マサノブを迎え入れていく。
ケンジの目が潤み、息が漏れる。身体の奥に、これまで感じたことのない圧と熱が満ちていく。
「ん…ぁ、ぁ…マサノブさん…っ」
ケンジの喉から漏れる声は、その大きな体躯とは裏腹に切なげで甘く、耳に触れるたびにマサノブの心に火を点けていく。
静かに、深く、何度も押し込む。ケンジの中はとろけるように熱く、柔らかく、奥へと進むたびに吸いつくような圧がかかり、マサノブの快感をせり上げていく。
「すげぇ…なんだこれ…ケンジくんの…中、くっ…こんな…っ、気持ちいい…」
「あっ…そんな…こと、マサノブさんに…言われたら…」
恥じらいながらもケンジは体を揺らして応える。まるで体全体で「欲しい」と伝えるような、獣のような求愛。ケンジの大きな手がマサノブの背に回され、体ごとぐいっと引き寄せ、抱きしめる。
肌が触れあい、マサノブの胸毛にケンジの汗が絡む。二人の熱が混ざり合って生み出される滴りが布団を濡らしていく。マサノブはそのままケンジの耳たぶを甘く噛み、押し殺した声でささやいた。
「奥まで…突いてやる…ケンジ…いくぞ…」
再びケンジを押し倒すマサノブ。
「ぁ…っ、きて…マサノブさん、もっと…もっと…!」
荒々しくなる呼吸。マサノブの腰が打ちつけられるたびに粘ついた音が部屋に響く。
ケンジの中はひとつ動くたびに吸いつき、収縮し、マサノブを離すまいと締めつける。その快感に耐えきれず、マサノブはケンジの首筋にむしゃぶりついた。
「んぁっ、だめ、そこ…あぁ…っ」
「可愛い声出すじゃねえか…そんなの聞かされたら、もう…止められねぇな…」
荒い動きが一層激しくなり、ケンジの大きな体が布団の上で揺れる。
ケンジの硬く屹立した肉棒がマサノブの腹に当たり、ぬるっとした体液を塗り広げていく。
マサノブはその太竿に手を伸ばし、ゆっくりと雁首を包み込む。
「こっちも…すげぇな…パンパンに張って今にも弾けそうじゃねぇか…」
「マサノブさん…っ、そんな…そこっ…触られたら…もう…っ!」
ケンジの声が跳ね、目が潤んでいく。ちょうど激しくなった雨がその声をかき消すように窓を叩く。
「…くっ、もう我慢できねぇ…!」
マサノブの低く唸るような声が響く。結合部を押し込むように腰が打ちつけられ、畳がきしむ。大柄なケンジの肉体が巨大な獣のように跳ね上がる。
「んあっ!マサノブさん、そんな…!奥っ、ぐっ…!あっ、あぁっ!」
限界まで打ち込まれ、ケンジの体が弓なりに反る。マサノブはその様子にますます昂ぶり、掴んだ腰を逃さぬよう強く抱え込む。
「ケンジ…お前の中、たまんねぇ…締めつけ、やばすぎんだよ…っ」
ケンジの中の快楽に我を忘れ、力任せに腰を動かすマサノブ。ぶつかる腹と腹が湿った音を立て、ケンジとの結合部からはねっとりとしたものが垂れ落ちる。
「っ、マサノブさん、やばっ…奥、当たって…っ、そこ、っ、そこ、何度も…っ!」
「わかってる、ここだろ…?お前が一番感じるのは、ここだろ…っ!」
狙いを定め、腰をしならせて突き上げる。ケンジの口から悲鳴にも歓喜にも似た声が飛び出す。
「あっ、ああぁっ!だめ、だめぇっ、出ちゃうっ、俺、いく、いっ…っ!」
「ダメじゃねぇ…出せよ…ケンジ…全部、ぶちまけろ」
その瞬間、ケンジの肉棒が痙攣し大量の白濁が腹と胸に注がれる。白く、濃く、何度も跳ねるように噴き出してくるケンジの欲望。それを見たマサノブは恍惚の表情を浮かべ、舌舐めずりをする。
「…いったのに、まだ締めつけてきやがる…ほんとすげえな、ケンジ…!」
腰を止めず、さらに奥へ、荒々しく突き上げる。ケンジは絶頂の余韻の中でもなおマサノブを迎え入れ、さらに深く沈んでいく。
「マサノブさんっ、もっ、もっと…壊れるくらい、してっ…!」
その言葉が、マサノブの最後の理性を焼き尽くす。
「壊すぞ、ケンジ…お前の全部、俺のものにしてやる…!」
激しく、容赦なく、打ち込む。畳のきしみが止まらない。布団はすでに汗で濡れきっていた。肉と肉が打ち合い、ぶつかるたびに、二人の本性が剥き出しになっていく。
そしてついに──マサノブの腰が奥深く沈み、激しくぶるっと震えた。
「…っ!出るっ、ケンジ…出すぞ…!」
「出してっ…いっぱい、くださいっ!マサノブさんの、全部…俺の中に…!」
ドクン、ドクン、と波打つ快感。マサノブの大量の精液がケンジの奥へと叩きつけられる。熱くて、濃くて、息苦しくなるほどに満たされていく感覚。ケンジは目を潤ませ、うっとりしながら体を震わせていた。
「…あぁ…中、熱い…っ、気持ちいい、マサノブさんの、すごい…」
ずるり、と肉棒を抜いたマサノブはぜぇぜぇと息を吐きながら、ケンジの大きな体を抱きしめる。
「…まいったな…ケンジ…お前の体…たまんねぇよ…クセになりそうだ…」
「…マサノブさん…うれしいです…」
マサノブは潤んだ目で体を預けてくるケンジの頭を優しく撫でる。
(あぁ、可愛すぎるな…もう、本当に全部俺のものにしたい…)
支配欲。独占欲。年齢とともに奥底にしまいこまれてきたあらゆる欲望が、奔流のようにマサノブの中をせり上がってくる。
ケンジはそんなマサノブの変化に気づき、再び熱を帯び始めたマサノブの肉棒に手を伸ばす。
「マサノブさん…まだこんなに…」
ケンジに触れられたマサノブの目が鈍く光る。
「ケンジ……もう一回、だ」
そう告げたマサノブの声はまるで別人のようだった。まだ熱を残したままのケンジの尻を乱暴に掴み、グイッと引き寄せる。柔らかくも張りのある尻肉が左右に開かれ、先程吐き出したばかりのマサノブの精液が糸を引いて滴ってくる。
「っ…マサノブさん…また…?さっき、俺…」
「関係ねぇ。こんなエロい体しやがって…」
マサノブの怒張が、濡れた入り口にぬらりと押し当てられる。ケンジは背筋を震わせ、尻を自ら突き出すように上げた。
「…っ…来てください…マサノブさんの…また、奥まで…!」
次の瞬間、強烈な衝撃と共に、マサノブが一気に肉棒を根元まで叩き込む。
「がっ…ぁ、ああああっっ!」
叫ぶケンジの声が響くが、マサノブは手加減しない。太腿を掴んだまま、激しく、深く、獣のように突き上げる。肉と肉がぶつかり合う音が部屋中に響き、ケンジの大きな体が布団の上で激しく揺さぶられる。汗が飛び散り、先ほど吐き出された白濁がケンジの脇腹を伝い落ちる。
「マサノブさん、奥っ、突きすぎっ、壊れちゃう…っ、あっ、あああああっ!」
「壊してくれっつったのはお前だろ!ちゃんと全部、受け止めろよ…っ!」
マサノブの尻がぶるんと震えるほどの勢いで腰が打ちつけられ、ケンジの結合部が押し広げられる。何度も奥を突かれるたびに体はのけぞり、自然と尻に力が入っていく。
「だからそんな…締めるなって…っ、うぁ…イかす気かよ…っ、このトロマンが…っ!」
「だって…マサノブさんのが、気持ちよすぎて…っ、止まらないっ…あぁっ、またイクっ、イクイクイクっ!」
ケンジの肉棒から、またしても大量の精が吐き出された。ケンジの土手に何度も叩きつけるように白濁が跳ね、広がっていく。
だがマサノブの動きは止まらない。
「…イっても、関係ねぇ。まだ、まだ足りねぇんだよ、俺は…っ!」
荒れ狂うような突き上げ。ケンジの尻肉が容赦なく叩かれ、濡れた音が響く。
「ひぐっ…ぁ、だめっ、もうイきっぱなしで…ほんとに…壊れちゃうっ、俺…!」
「おまえの体も、心も…全部、俺のもんにしてやる…っ!」
ぐっ、ぐっ、と奥を抉るように突き込まれ、ケンジはがくがくと震える。雄の快楽に脳が焼かれ、汗を垂らしながらマサノブに懇願する。
「マサノブさんっ…っ、もっと…っ、もっとめちゃくちゃにして…っ!」
「はぁっ、くそっ…出すぞ…ケンジ…お前の中…俺で満たして、やる…っ!」
その瞬間、マサノブはぐっとケンジを抱きしめ、唇を塞ぐ。最後の一撃は、もう離さないと全身で語っているかのように深く、強かった。マサノブの止まらない欲望が、ケンジの奥の奥に叩き込まれる。
(ああああぁっ!熱っ、熱い…っ、マサノブさんの…奥で暴れてる…っ!)
どろりと溢れる濃い白濁した精液。体だけでなく心の奥までマサノブの欲望で満たされていくケンジ。
やがて唇を離し、ゆっくりと顔を上げたマサノブは、ふぅ…と大きく息を吐き、そのままぐったりとケンジの体に覆いかぶさった。
汗ばんだ体と体がぴたりと重なり合い、心臓の鼓動が互いの胸板を通してぶつかり合う。荒く上下する息が首筋にかかり、火照った肌がまだじんじんと痺れていた。
荒れた息のまま、少し照れたように頭をかくマサノブ。
「ははっ…ケンジくん…ちょっとやりすぎちゃったかな…?」
「…いえ…うれしいです…こんなに乱れたマサノブさんにめちゃくちゃにされて…俺、幸せです…」
マサノブは満たされた笑顔を浮かべるケンジにそっと口づけをし、髪を撫でる。
「気持ちよかったよ…ありがとう、ケンジくん」
少しの恥じらいと温もりが二人を包み込む。荒れ狂い、乱れた夜の果てに、静けさだけが残っていた。
灯りは落とされ、障子越しの月明かりだけが薄く部屋を照らしている。
「…夢みたいです、いまだに」
そうつぶやいたケンジをマサノブは横目で見る。大きな体をしていてもどこか子供のような幼さが残っているケンジを見て、マサノブは目を細める。
ふとマサノブが真剣な表情になり、ケンジに問いかける。
「…怖くないのか?」
「なにがですか?」
「俺みたいな年上に本気になるの。ケンジくん、若いのに」
ケンジは少し驚いたように眉を上げ、しばらくマサノブの顔を見つめていた。そして、ゆっくりと首を横に振った。
「全然、怖くないです。ずっと、こうなりたかった。俺はマサノブさんじゃなきゃ…だめなんです」
「…そんなに俺が好きなのか」
「はい」
即答だった。マサノブは少し目をそらし、照れたように小さく笑う。指先が触れ合い、自然と指を絡ませる。
「ほんと可愛いな…ケンジくん…」
「…ありがとうございます…」
「年甲斐もなくドキドキさせられて…まいったよ」
「ふふっ、素敵でしたよ…マサノブさん」
ケンジは大きな体を縮めて笑い、そっとマサノブの肩にもたれかかる。マサノブも腕を回し、ケンジを抱き寄せた。
夜はすでに更けていた。雨は止むことなく降り続いている。布団の中、二人の呼吸が静かに重なる。
「マサノブさん、ずっと……俺のそばにいてください」
その言葉を聞いたマサノブの顔に一瞬翳りが差す。しかしすぐにいつもの優しい笑顔に戻り、穏やかな声で答える。
「あぁ……いいよ」
ケンジとマサノブはそっと抱き合い、ゆっくりと目を閉じた。
夜が更けるまで もっさん @mossan_sa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます