東京育ちと、女のロックが響かない

東京育ちの奴は基本的に苦労を知らない。東京育ち奴は、親が大抵日本国民の平均値以上の資本を持っているため、大抵の娯楽は買い与えられる。それに、この世の娯楽の全ては東京にある。田舎っ子が苦労して20を過ぎて上京してから経験する遊びを、こいつらはガキのときに経験し切る。

そんで大抵が子供のときに変に青い鞄を背負って中学受験塾という名の東京育ち量産工場に出荷され、大抵がその通り中学受験をして、都会にしかないシステムで本人も気づかずうちに高校に進学し、推薦で私立大学に進学する。大した苦労もせず大学まで人生が進む。加えて東京の高校は大抵緩いから、学生時代は部活も強制じゃない。大抵は部活もせず、バイトもせず、欲望まみれの大都会で遊び呆けている。にもかかわらず楽して大学に行っている。親の金で。私立大学に。

そういう奴らは大抵、親から教養として幼少期から楽器を習わされる。そこで田舎っ子との差が出る。俺らがバッタ追っかけてる間、あいつらは音符追っかけてる。俺らが勉強で、金で、少ない娯楽で、田舎の陰湿な人間関係で苦しんでる間、あいつらはデケェ明るい家の2階で悠長に楽器奏でてる。大抵の娯楽は経験し切ったから、楽器奏でてる。親は1階のデケェキッチンで、幸せそうな顔してフライドチキンでも作ってる。それを待つ傍ら人生余裕そうな顔で楽器弾いてる。暇だから。別に勉強しなくても大学行けるから。金にも困んないから。

そういう東京育ちが大抵ミュージシャンになる。

結局は血と東京だよ。

俺は、俺が苦しんでいた時期に苦しんでいないミュージシャンの音楽は響かない。というか響くなと心に言い聞かせている。親から与えられた音を奏でているだけ。全く響かない。俺が歯を食いしばっていた間、友達と笑いながら親の金でラーメン食いしばいてた奴らのエゴなんて響かない。

何不自由なく育った東京人が、弱者を救済するための音楽、ロックを奏でるな。お前一回こっち側に来いよ。いややっぱこっち側に来んな。近寄んな。お前ら東京育ち特有の、苦労知らずのシワが少ねえ面が大っ嫌いなんだよ。てか来れないか。もう降りれないもんな。俺らと同じ気持ちを味わえなくて残念だったな！死んで田舎に生まれたら味わえるな。ただ俺は年下のロックは死んでも聴かねえから。

東京に憧れて上京して4年目、俺は今、東京が嫌いだ。

母さん、俺は東京は悪だということに気付けたよ！俺を田舎で生み育ててくれてありがとう。母さん！大好きだよ。

俺ら田舎育ちの弱者は、ロックを聴いてもいいし、まだロックを奏でられる権利を持っている！これは俺たちにしかない特権だ！

全ての田舎育ちのロックに幸福を！幸運を！

（※この文章で語られている「東京育ち」には当たり前ですが神奈川、埼玉、千葉育ちも含まれます。また、女のロックが響かないことは周知の事実なので省かせてもらいました。）