食事レポート

豆すけ

ビーフカレー

 俺は食べる事に生き甲斐を感じている。

 むしろ食べる事しか娯楽がない。

「さて今日は何食べるか」

 何を食べようか彷徨っていると、鼻腔をくすぐるいい匂いが漂ってくる。

 これは数種類の食材を混ぜているような、ただ嗅いだことがないからわからない。

 よし、今日はこれを食してみよう。



 カレーライスと呼ばれるもののみを扱っているお店らしい。

「らっしゃーせー」

 席につき、メニューを見てみると、カレーライスというのは種類がたくさんある様だ。

 シーフード、ポーク、ウインナー?

 種類が多すぎてどれがいいかわからない……



 とりあえず一番上のやつを頼んでみよう。

 手を挙げ店員を呼ぼうとすると、ちょうど目が合ってむこうから来てくれた。


「ご注文どうぞ」

 これで、メニューの一番上を指した。

「ナンとライスどちらにしますか?」

 なん……だと……、ナン?ライスは以前食べたことがある。白い粒々の集まりだ。

 しかし、ナンは聞いたことがない。

「おすすめの方で……」

「ではナンが美味しいので、ナンでよろしいですか?」

「お願いします」



「お待たせしました。こちらビーフカレーとナンのセットになります」


 着いた瞬間漂う複雑な良い香り、ゴロッとした大きめの肉、顔と同じくらいのナンと言われるパン。

 まずは刺激的な香りのスープから。

 スプーンで一口飲むと、様々な香辛料の風味が口の中で広がる。スープだけなのに様々な食材を感じるほど複雑に組み合わされている。

 次はなんとも食べ応えのあるお肉、スプーンで簡単にほぐれるほど柔らかく煮込まれていてまったく歯がいらない!

 最後に初めてのナン。一口千切って食べてみる。噛めば噛むほど甘味を感じる。

 焼きたてなのか熱々でまだ油が付いている。千切る指も油でテカテカだ。しかしその油も美味すぎる。

 気づけばナンだけで半分も食べている。

「しまった、このナン美味すぎてペース配分を間違えてしまった……」

「ありがとうございます!ナンはおかわりできますよ。お持ちしますか?」

 どうやらつぶやきを聞かれていたようだ。だがこれは嬉しい!

「是非お願いします!」

 ナンにカレーを付けて食べてみる。ナンの甘味とカレーの辛味でさらに美味い!!

 カレーは最後の一滴までナンで拭って食べた。

「ごちそうさまでした!美味かった!」



 帰って報告書を作成する。




 地球人観察報告書

本日も地球人はこれといって報告するものはなかった。引き続き観察していきたい。

また本日はビーフカレーとナンを食べた。

ナンとは薄いパンのようなもので、噛めば噛むほど甘くとても美味しかった。

ビーフカレーというものは、どうやら複数の香辛料を使っているようで複雑な味わいながら、完成された味はとてもすばらしいものだ。

またナンはビーフカレーに付けながら食べる様で、この二つを同時に食す事でおいしさも倍増していった。

今回も母国のみんなにも食してもらいたく、調理方法と材料を揃えた。この国では新鮮が美味しいときくので、新鮮なものを採れたてアブダクションしたので、是非食して欲しい。

観察員No.7





「よし、送信っ!」

一息つき先ほど食べたビーフカレーを思い出す。

明日はどんな未知の料理を食べようか。








とある惑星の通信室

「あいつの報告書読んだか?」

「食事レポートだろ?読んだ、読んだ。しかも今度は食材だけじゃなく生き物もアブダクションしてきたんだろ!」

「あんなんどうすんだよ……」

 通信室には、No.7から転送されてきた無数の食材と一匹の牛がいるのだった。

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