ポンタとヒミツのトンネル
ほしのしずく
第1話 ヒミツのトンネル
おほしさまとおつきさまが、ひそひそとあいさつをするじかん。
おうちでかわれているどうぶつも、やせいのどうぶつたちも、なにかをしめしあわせたようにそっとすみかをでていきます。
みんながめざすばしょは、よるだけにあらわれるトンネルでした。
トンネルは、キラキラとかがやき、チリンチャランとオルゴールのようなおとがして、べつのせかいにつながっています。それもひとつだけではありません。
まいばんちがうところにひっそりとあらわれては、あさになるときえてしまうのです。
これは、にんげんのしらない、どうぶつたちのちょっぴりふしぎなヒミツのものがたり。
☆☆☆
かずあるトンネルのうちのひとつ。
そらいろのやねのおうちや、ゆうやけいろのやねをしたおうち。
くさいろのやねをしたおうちなど、にんげんたちがすむしずかなまちのはずれ。
そのおくにある、ちいさなこうえんのトンネルにむかってはしっていくどうぶつたちがいました。
せんとうをはしるのは、トイプードルのポンタです。
ポンタは、ふつうのおうちでかわれているこうきしんがつよいおとこのこ。
だからこそ、このじかんがとてもたのしみでしかたなかったのです。
「みんなげんきにしているかなー! はやくあいたいなー!」
ポンタはみみをパタパタさせて、ハムスターのコムギやだいすきなネコのミーコたちにあえることをたのしみに、ほかのどうぶつたちといっしょにこうえんへとつづくみちをはしっていきます。
おうちのならぶみちや、ふるいほうどうきょうをわたり、かわのよこをかけぬけると、ようやくこうえんへのみちがみえてきました。
じめんは、つるつるのアスファルトからザッザッとおとがするじゃりみちにかわっていきます。
ポンタは、ハッハッ――うれしそうにいきをはずませながら、スピードをあげました。
「たのしみだなー! きょうはどんなことがまっているかなー?」
めをかがやかせて、いろんなことをうかべています。
ミーコとあそんだりするのはもちろん、さむいばしょにすむキツネ、コンスケといっしょにとうもろこしをたべるのか……それとも、やさしいタヌキ、タヌキチとおいかけっこするのか。
「うーん、いちばんはミーコちゃんだけど……えらべないなー。でも、きっとたのしいよね!」
ポンタは、しっぽをブンブンふりながら、うれしそうにとびはねて、そのいきおいのままかいだんをかけあがっていきます。
すると、ひだりがわ、くさのはえたさかみちから、カスタネットをやさしくたたくようなカッタン、カッタン……というおとがきこえてきます。
ポンタは、そのおとにもしやとおもって、おとのなるほうへとめをむけました。
「あ、やっぱりコムギちゃんだ! だいじょうぶ? ボクのうえにのる?」
そこには、けんめいにはしるハムスター、コムギがいました。
コムギは、ポンタのおうちのちかくにすんでいるおんなのこ。
からだこそ、にぎりこぶしほどで、ちいさいのですが、おっちょこちょいなポンタをみまもってくれるしっかりものです。
ポンタがトンネルのむこうにいくときは、いつもいっしょにむかうおともだちでもあります。
ポンタがおはなしにむちゅうになっていると、そのコムギがこえをあげました。
「だいじょうぶ! それよりもまえまえっ!」
そのことばにポンタがまえをむくと。
そこには、おおきなダンボールがドン! とおいてあったのです。
ポンタは「わっ!」と、あたまがあたるすんぜんでブレーキをかけて、なんとかぶつかることをさけれました。
「あぶなかったぁ~! ありがとう、コムギちゃん!」
ポンタはみみをパタパタさせながら、コムギにおれいをいいます。
そんなポンタに、すこしあきれながらもコムギは、「だいじょうぶなら、よかったわ」とつげました。
ポンタとヒミツのトンネル ほしのしずく @hosinosizuku0723
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ポンタとヒミツのトンネルの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます