処刑された聖女ですが、皇女に転生してお兄様たちに溺愛されています
朝森さな/ビーズログ文庫
序章 聖女の処刑
序章ー1
「ジゼル! この
偽聖女と
「
「おまえの
ジゼルを
「ナタン
「
ナタンは
「ジゼル! おまえは聖女でありながら
「そんな……何を言って……」
「私にはわかっていたぞ!
ジゼルは反論しようとしたが、声が出なかった。
(……痛い……!)
この頭痛には理由があった。昨日、聖女だけが持つ特別な
聖女には傷や病を治す
――つまり聖女本人に返ってくる。
ジゼルは昨日、王家に
《めまい》や頭痛に
(ナタン様は私が
ジゼルが身に覚えのない罪に絶句していると、ナタンは
「母上を……この国の
(王妃様を殺害!?)
ジゼルは紫色の目を見開く。
(王妃様が? 本当に王妃様が
王妃ディアーヌは近ごろ原因不明の体調不良に悩まされていた。王宮には高名な医師が
そこで王太子ナタンはジゼルを呼びつけ、母を治療しろと頭ごなしに命じた。
人にものを
ジゼルが
昨日の王妃は明らかに回復の
「そんなはずがありません! 私は確かに王妃様を治――」
「魔女め! おまえが注いだのは治癒の力ではなく、人を殺す
ナタンは
「魔女を連行しろ!」
*****
コライユ王国は神に守られている。
神は聖女を地上に
コライユ王国は建国の時から現在に至るまで、神の加護に包まれて
王家は
それがこの国の
しかし今。聖女ジゼルは王太子ナタンに断罪され、
(私が治癒の力を使ったせいで、王妃様が亡くなられた……?)
王妃ディアーヌが
(寒い……)
ジゼルが目をつぶって、必死に痛みに
「……ル! ジル!」
光の届かない暗い地下牢の中に、冬の日の空のような
「リル!?」
心配そうにジゼルを見つめるのはリルだった。ジゼルと同じ身寄りのない孤児だ。
幼いながらも気品のある顔立ちをしたリルは、
「リル、どうやってここに来たの?」
牢の外には見張りがいるし、そもそもここは王宮の地下だ。厳重な警備の中をどう
「
まっすぐな言葉に、ジゼルは目を
「ジルは何も悪いことなんてしていない! 僕はわかってる!」
体を
(リルは……私を信じてくれている……)
ジゼルは捨て子だった。両親のことは何も知らない。生まれてすぐ王国のはずれに建つ孤児院に
「ジル」という名は短くて、いかにも
ジゼルがどんなに努力しても、周囲は卑しい孤児だと
どんなに人々を癒しても、感謝されるどころか冷たくあしらわれた。
そして今、王妃を殺害した容疑に問われても、誰も味方になってはくれない。
王太子も神官も兵士も誰もがジゼルを責め立てる中、幼いリルだけがジゼルを守ろうとしてくれている。
「……ありがとう、リル」
たった一人でも自分の無実を信じてくれる人がいる。そのことが何よりも
だが、同時に
この世で一人だけジゼルを「ジル」と呼んでくれる、
もしも彼がジゼルの共犯者だと疑われ、罪に連座されてしまったなら――。
それはジゼルにとって、自分が
「リル、お願いだから逃げて! 誰かに見つかる前に、早く!」
「僕はジルといる!」
リルは
「ジルを殺させたりしない……!」
「リル、私は
ジゼルはリルを安心させるように、明るく笑った。
ジゼルは
「これでも私はこの国の聖女なんだもの。
リルを巻き込みたくない。ジゼルが無実を証明するまで、リルにはどうか安全な場所にいてほしい。そう
「ジル! 必ず、必ず助けるから……!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます