初心者ダンジョンで追放された僕、ダンジョンから追い出されて永遠の初心者になった~スキル無しで転職不可ですが初心者特典が思ったよりすごい
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1.初心者、追放されました
「好きなもの同士で、5人組つくれ」
満田先生から地獄の一言が発された。
僕【白井 トオル】の様な引っ込み思案、悪く言えば陰キャな僕は困り果てた。
案の定、他の生徒たちは皆、あっという間にパーティが出来ている。
と言うか事前に、皆話し合ってた?ってくらい入り込む余地が無かった。
そして……残ったのは僕と
「おぃ?優しい俺様が陰キャ君をパーティに入れてやろうか?」
意地悪い表情で小物感をだしながら声をかけてきた男。
こいつは、中学生の時に僕をほんのりとイジメていた【阿久津 タケル】
金髪ツーブロック、制服も入学早々に着崩しており不良っぽさが以前より増していた。
取り巻きにモブ子分の男子3人を引き連れて。
こいつと組むくらいなら一人がいいんだけど……
しかし、周りにはもう彼らしか残っていない。
「よし、みんな組んだようだし、順番に並んで初心者ダンジョンに入るぞ」
いや、組んでないよ……満田先生
「仲良く行こうぜぃ?トオルくん?」
タケルが馴れ馴れしく肩を組んできて列に連れていかれる。
整髪料と安っぽい香水の匂いがすごすぎて吐きそう……
せっかく幼少期からの夢だった【探索者学園】に入ったのに……
わくわくしていた気持ちが徐々にしぼんでいく。
タケルと仕方なく並んだ列の順番が回って来た。
【初心者ダンジョン】の入り口である石碑に触れる。
すると足元に魔法陣が浮かび上がる。
光に包まれた僕らはダンジョン内へと転移される。
「ステータスオン!うおー!ステータス付与されてるぞぉ」
タケルがはしゃいでる。
でも確かに、力が湧いてくる感じがする。
ダンジョンに初めて入った時、ステータスが付与され戦う力を得る。
【ステータスオン】と、発声すると自分にだけ自身の能力が見える、ゲームみたいだよね。
念じるだけでもいいと事前に知っていた僕は心の中で念じてみる。
名前 :白井 トオル
職業 :初心者
レベル:1
筋力 :2
魔力 :2
防御 :2
速度 :2
スキル:なし
事前に調べてた通りの能力が表示される。
職業は【初心者】
スキル無し
ステータス全部2
この時点で個人差は出ずに皆同じになる。
個人差が出るのはこの後……
そこで探索者としての明暗が分かれる。
まず、このダンジョンのボス部屋前の扉に触れるとスキルを1つ習得出来る。
ここで得られるスキルは個人よって違う。
汎用的なものから、唯一無二の固有スキルまで様々だ。
固有スキルは世界に一人だけの能力で大抵強力なものが多い。
そしてさらに、このダンジョンのボスを倒すと職業が選べるようになる。
ここで選べるようになる職業も個人によって違う。
能力値や習得スキルがかなり違う。
職業によって明らかに優劣があり、上位互換や下位互換もあるようなので無茶苦茶重要だ。
「はやくボス部屋にいこうぜぇ!」
ステータスによって強化された身体にテンションの上がったタケルが走り始める。
初心者ダンジョンのフロアは1層のみ、ボス部屋までは一直線。
道中にはスライムがちらほらと居る。
が、無視して進んでさっさとスキルを得るのがセオリーである。
実際ボスはかなり弱く、スライムでわざわざレベルを上げる必要が無い。
むしろ職業が初心者のままレベルが上がると能力値が低く育つので非推奨とされる。
能力の初期値がレベルアップ時の加算値になるからだ。
初期値が最低な職業の初心者でレベルを上げてしまうのは大損だろう。
タケルとモブ取り巻き達が走っていく。
僕も後を追うが……追いつけない。
初期ステータスは同じで2はずなのに……
初心者職のレベル1だと元々の身体能力の影響が大きいのかな?
アイツら無駄に身体能力高そうだしな……
足も遅く、体力も無い僕は歩いてボス部屋に向かう。
「慌てなくてもボスは逃げないのにね……」
どうせボス部屋前の扉でスキルを得て、試し打ちとかしてそうだ。
焦って走って行ってボス戦で疲れ果てる方が、問題だよね。
「よっしゃぁ!俺、固有スキルだぞぉ!勝ち組決定ぃ!」
ボス部屋前でタケルがめっちゃ笑顔ではしゃいでる。
取り巻き達は笑顔じゃないので、固有スキルが出たのはタケルだけか……
「早く試し打ちしてぇなぁ……ってようやく来た、陰キャがよぉ!」
「ごめんね、体力無くて……」
「いいからこっちこいぃ!」
ボス部屋の扉から少し離れた位置にいるタケルが呼んでいる。
「いや、とりあえず僕もスキルを……」
無視してボス部屋扉に触れて僕もスキルを得ようとした瞬間だった。
タケルが駆け寄ってきて僕の腕をつかんだ。
「俺の固有スキルの試し打ちしてやるよぉ!【追放】」
「え」
タケルに掴まれた腕が光り、視界が真っ黒に染まる。
しばらくすると視界が戻るが……
「お、クリアしたのか?ってなんで一人なんだ?」
何故か外にいるはずの満田先生に話しかけられる。
「え、ここは……」
「ダンジョン外の出口広場だぞ」
僕は初心者ダンジョンから追放された。
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