絶望のファーストキスの後に君が選んだのは…
猫の集会
キス
あー、よく寝たわー。
昨日テスト勉強を遅くまでやって、ぐっすり寝たオレは思いっきりベッドで伸びをした。
「ゔーんっ」
伸びって気持ちーなぁ〜
パシッ
⁉︎
伸びをした途端…誰かに両腕を掴まれた。
はっ⁉︎何⁈
いきなりの囚われの身…
しかもオレを掴んできた奴、めっちゃ冷たい手…
えっ、こわいこわい…と思いながらも手の方を恐る恐るみると…
ユイカー…
そこにいたのは、同い年の中学三年生の幼馴染、ユイカだった。
「なんだよ…びっくりすんだろ。」
「おはよ♡」
…
そんなかわいい笑顔でおはよ、なんて言われたら…そりゃ許しちゃうよね。寝起きにユイカ最高です。
そんなユイカは、オレのかわいい彼女でもあります。
「ってか、朝っぱらからどうした?」
「…いや、瞬…もう昼だよ?」
「マジか。」
「うん。で、また二度寝する?それとも二股するつもり?」
「いや…しない。するわけない。」
「なら、三度寝?三股?」
「なんで、二度寝しないのにそれ通り越して三度寝するやつがいるんだよ。それに、オレはユイカ一筋だから!」
「わかるー」
…
なんだそりゃ。
「もしかして、参考書借りにきた?」
「ううん。どっちみち明日テストじゃん。いまさらあがいてもねー」
「いや、まだ一日ある!あがこう‼︎」
「そうだね!うんっ‼︎あがく‼︎」
単純か‼︎
…
そう、ユイカはとっても単純で流されやすいのであります。
そんなユイカは、とてもモテます。
「好きです。」
「ごめんなさい。」
と、よくお返事をしている。
でもね、しつこい奴っているんですよねー。
…
本日学校にて。
「ねー、ユイちゃ〜ん。彼氏って幼馴染の瞬なんでしょ?そろそろ飽きたでしょ?」
なんて言い寄られております。
飽きたって…
「ううん。全然飽きないよ。だからごめんなさい。」
とお断りするユイカ。
えらい‼︎
ユイカえらいよ‼︎
ユイカに告白していたこうじくん、お疲れ様。
ユイカは、えらい‼︎
でも、オレはえらくないね…
こんなシーン盗みみててさ…
まぁ、偶然みてしまったってとこなんですけどね。
それにしても、こうじのやつめ!
オレがキッとこうじをみると、それに気づいたこうじ。
「ユイカちゃんさぁ、オレは瞬なんて見飽きたなぁ。……って瞬いたんだ⁉︎」
「おぅ、オレもこうじ見飽きたわ」
「なっ…、瞬のくせに…てかお前、いつまでもユイちゃんを独り占めしやがって。」
…
「そんなこと言われてもなぁ」
「クソが‼︎」
オレとユイカが顔を見合わせるとこうじは、つまらなそうに帰っていった。
まったく…
「ユイカ、ごめんな。別につけてきたとかじゃないからな。」
「うん、わかってる」
「そろそろ授業始まるね。じゃ、行こっか」
「うん!」
こんなに順調なオレたち。
ですが…
実はまだ、キスしておりません。
タイミング‼︎
タイミングがさぁ‼︎
…
いつ、どうやって、どのタイミングなんだ⁉︎
いや…休日オレの部屋でいつでもタイミングなんてあるよ?
だけど…
なかなか照れくさいんだよねー。
そもそもが、そういう雰囲気にならないっていうかね…
でも、やっぱり付き合うってことはそういうことするよね?
ビビってたらダメなんよね?
だからオレはついに決意しました‼︎
今度の休みに、キスします‼︎
オレの部屋で、テストの答え合わせをするときに、お互いの気持ちも答え合わせいたしましょうね♡ってやつです。
だからさ、オレはチャンスを見計らってついにキス…しちゃいました。
じっと見つめて、ちょっとずつ近づいてさ。
ユイカも嫌がってなかったんです。
なのに…なのにキスしたあと、ユイカが涙をいっぱい溜めてさ、フッて笑って…涙が溢れて…
「ごめん‼︎」
って言って走って帰ってしまったんです。
…
どうして…
オレ…キス下手すぎた?
鼻息かかって泣くほどキモかった?
聞くに聞けない…
どうしよう…
たぶん…お互いファーストキスでした。
大失敗です。
明日、学校でどんな顔すりゃいいんよ…
どうしたらいいんですかーーっ‼︎
ファーストキスで泣かれたって…
それはそれは…
オレも泣きたい…
です。
続く。
絶望のファーストキスの後に君が選んだのは… 猫の集会 @2066-
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