魔女と僕

Wall Gatsby

魔女と僕

その川に近づいていくものは、誰一人としていなかった。私一人を除いて。

道には背丈ほどの茶色い雑草が茂り、踏み分け道は土埃がすごかった。安全長靴を履いていたため、足下がおぼつかなかった。川は左から右に向けて流れており、川底の岩が水流にさざ波を起こしていた。流れは少し速い。

川の向こう岸には、踏み分け道が続いていた。こちら側と異なるのは、踏み分け道に生い茂る草が生き生きとした緑色となって揺れていることだ。強い太陽光が私から見て前の少し向こうからこちらを照らしている。青々とした空には、薄い雲が、まるで白い絵の具をこぼしたように細く散っていた。

勇気を振り絞ってあの女を追いかけないといけない。向こう岸の道は、数歩先が丸いカーブとなって右側に曲がっていた。その、草に飲まれて見えなくなるあたりを、杖をついた老婆が、腰を曲げて進んでいた。

それは、人間ではない。豚を飲む、化け物だ。人間の憎しみを滋養にして生きながらえている。進む足下には、ヌメヌメとした、緑色と灰色の混じった液体と体のカスをこびりつけていった。

「許せない。」私の頭に浮かぶ言葉はそれだけだった。私はあれを憎んでいるのだろうか?自分にそう問いかけてみる。しかし私の心は空白を抱えたまま、どのような答えも示さなかった。

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