💯「NTR女子、星乃心奈」純潔の壁が崩れ落ちるNTRの連鎖、世界はキミを待っているのに ※エッチ場面はありません。

🌸モンテ✿クリスト🌸

第1話 NTR女子、星乃心奈 Revised

 神奈川県、横浜の石川町駅近く。海風が頬を撫でる秋の午後、星乃心奈ほしの ここなは制服のスカートを揺らしながら、いつものように駅のホームで電車を待っていた。


 彼女はプロテスタント系の女子高に通う三年生。黒髪をポニーテールに結び、鋭い目つきで周囲を牽制するその姿は、まるで「近寄るな」と警告を発しているようだった。心奈は自分のこの外見を、意図的に選んでいた。


 長い髪を結ぶことで、素朴で近寄りがたい印象を与え、不要な人間関係を避けられるからだ。でも、心の奥底では、そんな自分を少し寂しく思う瞬間もあった。なぜなら、このポニーテールは、幼い頃からの習慣で、変わらない自分を象徴するものでもあったから。


 心奈の通う学校は、厳格な校風で知られる中高一貫の女子校。彼女自身、筋金入りの「テーソー観念」を持つ少女だ。恋愛? 興味ない。身体の関係? 論外。そんな価値観を、彼女は「心奈マインド」と密かに呼んでいた。このマインドは、家族の厳格な教育から来るもので、心奈にとっては盾のようなものだった。でも、時折、クラスメイトの恋バナを耳にすると、なぜか胸がざわつく。自分は違う、特別なんだと自分に言い聞かせながら。


 そんな心奈の前に、ある日突然現れたのが高橋悠真たかはし ゆうまだった。一駅離れたカトリック系の男子校に通う三年生。背が高く、優しげな笑顔と少し天然な性格が特徴の彼は、友人の紹介で心奈と知り合った。心奈は最初、こんな出会いが自分の日常に割り込んでくることに苛立ちを覚えた。なぜ私? ただの紹介なんて、面倒くさいだけなのに。


「ねえ、星乃さんって、ツンデレだよね? なんか、冷たくしてるけど本当は優しいんでしょ?」


 初対面でそんなことを言い放った悠真に、心奈は眉をひそめた。ツンデレ? そんな軽い言葉で自分を括られるのが、腹立たしかった。自分はただ、自分のルールを守っているだけなのに。


「は? ツンデレ? 何それ。気持ち悪いこと言わないでくれる?」


 彼女の声は冷たく、まるで氷の刃のようだった。だが、悠真はめげない。


「え、でもさ、なんかそんな雰囲気あるじゃん! 照れてるんだよね?」


 心奈は内心で舌打ちした。 この人、頭おかしいんじゃない? それでも、なぜか悠真は心奈に絡み続け、気づけば二人は「付き合う」ことになっていた。心奈は後になって思う。この流れは、自分の弱さの表れだったのかもしれない。悠真の明るさが、普段の孤独を少しだけ埋めてくれたから。でも、それを認めるのは悔しかった。付き合うって、何? ただの言葉の遊び? 心奈はそんな疑問を抱えながら、関係を続けていた。


 心奈自身、なぜこんな流れになったのか理解できなかったが、悠真の明るさが少しだけ、ほんの少しだけ、彼女の心を揺さぶったのかもしれない。


 付き合い始めて数週間。心奈と悠真の関係は、まるで綱渡りのようだった。悠真は心奈に積極的にアプローチを続けた。手を繋ごうとしたり、デートの最中に肩を抱こうとしたり。だが、そのたびに心奈は冷たく拒絶した。触れられるのが怖い。汚される気がする。そんな恐怖が、心の底から湧き上がる。


「やめてよ、気持ち悪い」

「え、でも、付き合ってるんだからさ、普通こういうのするんだよね?」

「普通? あなたの普通なんて知らないよ。私には私のルールがあるの」


 心奈の言葉は、悠真の心に小さな傷を残した。最初は「ツンデレだから」と笑って受け流していた悠真だったが、彼女の拒絶が続くにつれ、笑顔が曇り始めた。

 ある日、横浜の赤レンガ倉庫でのデート中、悠真が心奈の手を握ろうとした瞬間、彼女は手を振り払い、鋭い目で彼を睨んだ。


「何度言えばわかるの? そういうの嫌いだって言ってるよね?」

「ご、ごめん……でも、星乃さん、ぼくのこと嫌いじゃないよね? 付き合ってるんだから……」


 心奈はため息をつき、冷たく言い放った。


「嫌いじゃないよ。でも、だからって何でも許すわけじゃない」


 その夜、悠真は家に帰ってベッドに突っ伏した。 星乃さん、ほんとにぼくのこと好きなのかな……? 彼の心は、だんだんと重くなっていった。


 そんなある日、悠真は心奈の親友、佐藤美咲さとう みさきと偶然カフェで出会った。美咲は心奈とは対照的に、明るく親しみやすい性格の持ち主。ツインテールの髪と、笑顔がチャームポイントの彼女は、心奈の学校のクラスメイトで、心奈の「心奈マインド」をよく理解していた。美咲のツインテールは、彼女の活発さを象徴していて、心奈とは正反対の明るさを放っていた。


「悠真くん、大丈夫? なんか元気ないね」


 カフェの窓際の席で、美咲が心配そうに声をかけた。悠真は苦笑いしながら、ポツリと本音をこぼした。


「星乃さん、ぼくのことどう思ってるんだろう……。いつも冷たくて、ぼく、なんか疲れてきたかも」


 美咲は少し考えてから、優しく言った。


「心奈ってさ、ほんとに頑固なの。自分の価値観にすっごくこだわるタイプだから、悠真くんが思ってるような『普通の恋愛』には向いてないのかも。でも、悪い子じゃないよ。心奈なりに、悠真くんのことは気にかけてると思う」


 美咲の言葉に、悠真は少し救われた気がした。彼女の優しさと、気さくな笑顔に、悠真の心は少しずつ癒されていった。


 それから、悠真と美咲はたびたび連絡を取り合うようになった。心奈の話題から始まり、徐々に二人の趣味や好きな音楽の話で盛り上がるようになった。美咲は心奈とは違い、気軽に冗談を言い合える相手だった。悠真は、彼女と話しているとき、初めて「恋愛って楽しい」と感じた。


 秋も深まったある日、悠真は心奈を駅前のカフェに呼び出した。心奈はいつものように少し不機嫌そうな顔で現れたが、悠真の表情を見て何かを感じ取ったのか、黙って席に着いた。心奈の胸に、不安がよぎった。この表情、何か悪い予感がする。


「星乃さん、話があるんだ」


 悠真の声は、いつもより重かった。心奈は眉をひそめながら、黙って彼の言葉を待った。


「ゴメン、心奈。ぼく、君を誤解してた。君がツンデレだとか、照れてるだけだとか、勝手に思ってた。でも、君は全然そんなんじゃないよね。ぼくたちの間に、愛情なんて育たないんだ」


 心奈の瞳が一瞬揺れたが、すぐにいつもの冷たい表情に戻った。胸の奥で、何かが崩れる音がした。でも、認めたくない。


「……それで?」


「友達として、これからも付き合ってほしい。ぼく、君を傷つけたくない」


 心奈は唇を噛んだ。胸の奥で何かざわめくものを感じたが、それを押し殺して言った。


「わかった。友達でいいよ。別に、期待してなかったし」


 その言葉とは裏腹に、心奈の心は静かに軋んだ。でも、彼女はそれを認めなかった。 これでいい。これが私のハッピーエンド。なのに、なぜこんなに胸が痛むの? 悠真の言葉が、予想外に深く刺さっていた。


 それから数週間後、悠真と美咲が付き合い始めたという噂が心奈の耳に入った。最初は「ふーん」と流そうとした心奈だったが、なぜか胸の奥がモヤモヤしていた。学校の廊下で、美咲が嬉しそうに悠真とのデートの話をしているのを聞くと、なぜか苛立ちを感じた。美咲、私の前でそんな話をするなんて、わざと? そんな疑念が、心を蝕む。


「心奈、聞いてよ! 悠真くんとこの前、鎌倉行ってきたんだ! すっごく楽しかったよ!」


 美咲の笑顔は、心奈にとって眩しすぎた。


 残忍な女め!こいつ、性格がこんなに悪かったか?わざわざ、私に言うことか?この私に!と心奈は思った。


「へえ、よかったね」


 心奈はそっけなく答えたが、内心では自分でも驚くほどの感情が渦巻いていた。 なんで? 私には関係ないはずなのに。悠真の笑顔が、美咲に向けられている想像が、頭から離れない。


 ある夜、心奈は自室のベッドに寝転がり、天井を見つめながら呟いた。


「私には悠真に与えられるものなんてないんだもん。しょうがないよね」


 そう自分に言い聞かせながら、彼女は目を閉じた。でも、なぜか涙が一筋、頬を伝った。涙? なぜ? これはただの疲れだ、と心奈は自分を騙そうとしたが、胸の痛みは本物だった。


 冬が近づくころ、心奈はいつものように駅のホームで電車を待っていた。ふと、隣のホームで悠真と美咲が笑い合っている姿が見えた。二人の距離は近く、まるで絵に描いたようなカップルだった。


 心奈は目を逸らし、スマホを取り出してイヤホンを耳に突っ込んだ。音楽の音で心のざわめきを消そうとしたが、うまくいかなかった。 これが私のハッピーエンドなのよね? そう思うたび、胸の奥がちくりと痛んだ。悠真の姿を見るだけで、失ったものを思い知らされる。


 心奈は知っていた。自分の「心奈マインド」が、悠真との関係を壊したのだ。でも、それを変えるつもりはなかった。彼女にとって、テーソー観念は自分そのものだったから。それでも、心のどこかで、別の道があったかも、という後悔が芽生え始めていた。


 それでも、心奈は小さく呟いた。


「……いつか、私も変われるのかな」


 その言葉は、電車の到着音にかき消され、誰にも届かなかった。でも、心奈の心の中で、それは静かに響き続け、未来への小さな疑問を植え付けていた。

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