『世界最強だった《終焉の大魔法使い》は捨てられたので、無詠唱魔法国家ノクス・アーク連合国を作って差別世界を更地にする』
神崎りん
第1話 終焉と呼ばれた理由
世界は平等を口にするほど、、不平等だった。
生まれた種。
与えられた血。
神に祝福されたか、されていないか。
それだけで、人の価値が決まる世界で、
俺はーー価値がありすぎた。
かつての人々は俺のことをこう呼んだ。
《終焉の魔法使い》
無詠唱魔法。
神官が祈り、魔術師が詠唱をしている間に
俺の魔法はすでに終わっている。
戦争は短くなった。
犠牲も減った。
国は救われ、多くの人々が救われた。
それでも、最後に残ったのは
ーー"復讐"ただこれだけだった。
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「彼はあまりにも危険すぎる」
「寿命を持たぬものはいずれ世界の秩序を乱す」
「差別をなくすだと? 力や学などが平等で
ない以上、それは無理だ」
誰もが同じような声を上げた。
誰1人、俺の方を見なかった。
気づいた時には俺は、"英雄"ではなくて
"世界の欠陥"になっていた。
誰しもが俺のことを見捨て、見向きもしなかった。
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追放は静かに行われた。
牢屋に入れられることも、鎖に囚われることも、
封印されることもない。
ただ、世界から"必要ない"と言われた。
ただそれだけだった。
でも、その言葉が胸の奥から離れず、
長い人生でその言葉を背負い続ける羽目になってい
た。
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それから100年後ーー
世界はあれから何一つ変わっていなかった。
いや、正確にはーー悪化していた。
差別は、いじめのようなものから、制度になり、
法律になり、信仰になった。
弱い種は「弱いからしょうがない」と捨てられ、
強い種は「神に祝福された存在」ということで、
他者を踏みにじる。
それが今の"社会の構造"となっていた。
かつて俺が守った国、民が
差別を正当化する中心となっているのを見た時
どこか胸の奥で、何かが静かに壊れた。
怒りでもない。
復讐でもない。
ーーこのとき理解してしまったのだ。
この世界はーー説得では何も変わらない。
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ならば、方法は一つしかない。
世界が信じている価値基準自体を、破壊する。
種でもない、血でもない、神でもない。
レベルと力だけで、全てを決める世界を作る。
強くなれる可能性がある限り、差別は決して
起こらない。
それを証明する国家、世界を俺が作る。
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その日、俺はそう決めた。
世界に復讐するためではない。
世界を理解できないほどに、上から殴るために。
そうして生まれたのが、
夜に現れ、
理を超え、
腐り切ったこの世界を破壊する国。
そしてー
かつて《終焉の魔法使い》と呼ばれた俺は、
再び世界の前に立つ。
今度は、
救世主ではなく、ただ一つの選択肢として
腐り切ったこの世界を蹂躙する。
『世界最強だった《終焉の大魔法使い》は捨てられたので、無詠唱魔法国家ノクス・アーク連合国を作って差別世界を更地にする』 神崎りん @kanzaki_rin_x
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