妖怪憑きになった俺が学園で生き残るには。
るー
嵐の前触れ
第1話 おめでとう。
「ねえねえ、起きないと遅刻するよ?笑」
笑い声が混じったがすぐそばで聞こえて、目を覚ます。目を開けるといつもと変わらない天井が、、あるはずだった。
目を開けると、顔のすぐ近くに知らない男の顔があった。
「うわぁぁぁ!!!」
「うるさ!?」
ガンと音がして、顔と顔がぶつかる。
ぶつかった事で、少し冷静に周りが見える。
「いっだ!?」
男は声を出して痛がる。
俺は石頭なので、ヒリヒリぐらいで耐えたが相手は相当痛いだろう。
数十秒経ったぐらいで、男がまた話しかけてくる。
「ねえ、君なんでそんなに石頭なの!?」
少し怒気を含んだ声で言う男を背に、足早に俺は部屋を出た。
◇
「おはよう。颯斗」
「うん、おはよう母さん」
下に降りて、母の挨拶に少し遅れて挨拶する。
いつもと変わらない母の姿にほっとした俺は心の中で
さっきのは悪い夢だと思おう、いやきっと悪い夢だと自分に言い聞かせる様に唱えた。
「早く朝ごはん食べて、あと今日は遅くなるから」
「分かった」
「時間ね、じゃあ行ってくるわ」
「行ってらっしゃい」
席についた俺は、出て行こうとする背中に少し手を上げてふる。
いつもどんなに忙しくても俺の飯だけは用意してくれる母には感謝しかない。
そして、なにより大切な母だ。
「はぇ〜、美味しそう〜」
急に誰もいなかったはずの正面から響いた声に、ガタガタと音を立てて椅子から転げ落ちる。
「なんでお前、悪い夢じゃ、」
「おはよう、颯斗君。座って?」
男に促されて、警戒しながら席に着く。
そんな俺を男はにこにこしながら見守っている。
正直気持ち悪いが、言えない。男からは有無を言わさない何かを感じていた。
「まずは、おめでとう颯斗君。君は妖怪憑きになったよ」
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