第2章:夜の公園と距離のはじまり
居酒屋の喧騒から少し離れ、璃音は渚に声をかけた。
「……少し外に出てみる?」
「……いいの?」
「もちろん!夜風に当たるのも、たまには悪くないしね」
渚は少し戸惑いながらも、静かにうなずく。
夜風に当たりながら、ふと自分の胸の高鳴りに気づき、考え込む。
(璃音って……なんで、こういう時にあんなに自然体でいられるんだろ……)
小さく呟くように、渚は問いかける。
「……璃音って、なんでこういう時に自然体でいられるんだろ」
璃音は微笑み、肩の力を抜いたように答える。
「ふふ、慣れってやつかな。でも、渚も十分自然体だよ」
小さな笑みを浮かべる渚の肩の力が、少しずつ抜けていく。
二人は公園のベンチに腰を下ろす。
夜風が頬を撫で、街灯の光が柔らかく照らす。周囲は静かで、居酒屋の騒がしさとはまるで別世界だ。
「……こうして座ってると、ちょっと落ち着くね」
「そっか、そう思うなら、もう少し近くにいてもいいんだよ」
軽く肩を寄せる璃音に、渚の胸が高鳴る。
渚は一瞬息をのみ、視線を逸らす。
(……近くてもいいのかな……でも、ちょっと怖い……)
「……あの……その、手……つないでもいいかな……?」
小さな声に、璃音はにやりと笑う。
「ふふ、じゃあ少しだけだぞ?」
そっと指先を重ねると、渚は少し緊張しながらも、手をそっと添えた。
「……緊張する……」
「そうだな。でも、こういうの、悪くないだろ?」
「うん……悪くない……」
頬を赤くしながら、渚は目を伏せる。言葉少なでも、互いの鼓動や手の感触がすべてを語っていた。
夜風が二人の間を通り抜け、ほんの少しずつ心の距離が縮まる。
初めての公園での時間は、静かで甘く、そして少しだけ胸をざわつかせる夜だった。
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