寝言に返事をすると、人が死ぬ
ツヨシ
第1話
大学に入り、寮に入った。
人死にの噂がある怪しい寮だ。
もちろん気は乗らないが、結局寮に入ることになった。
風呂、トイレ、台所は共有だし、おまけに怖い先輩が何人もいるが、仕方がない。
一人でアパートを借りるよりも数段安く上がるのだ。
うちの家は決して裕福ではないのだから。
そこで一番気になる人が死んだという噂だが、それはこんな話だ。
ある日のこと、寮で誰かの部屋に集まり酒盛りをした。
するとそのうちの一人が酔って寝てしまった。
「こいつ寝てしまったぞ」とか言いながらそのまま酒盛りを続けると、寝ていた男が寝言を言いだしたそうだ。
それは「やめろ、俺の中に入ってくるな!」と、寝言とは思えないほどにはっきりと言ったそうだ。
聞いているとそれを何度も繰り返したそうだ。
「何言ってんだこいつ」とか言っていたが、そのうちに一人が「いいや、お前の中に入るぞ」と笑いながら言った。
すると寝ていた男が言った。
「そうか。許可をくれるのだな。ありがたい。入らせてもらうぞ」
その声は、普段男にしては高めの声の男のものとは思えない、低くずしりと響くような声だったそうだ。
皆があぜんとしていると男が言った。
同じく低く響く声で。
「入らせてもらったぞ。これで何でもできるというものだ」
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