銀級のオッさんと修道女

マロッシマロッシ

銀級のオッさんと修道女

「ねぇ……引き受けてよ、エリック?」


「嫌だ。都合の良い時だけ甘えるな。この、ボンキュッボンが」


「……オッさんから、卑猥な言葉で悪口を言われたのは分かるわ。何処で知ったの、そんな言葉を? それと、どんな意味?」


「帝国が召喚した勇者が言っていた言葉らしいぞ。意味は良い女が、良い体してるってコトだ」


「ああ……無駄に潜在能力が高くて、無双だハーレムだをのたまって、実力が伴わない場所に突っ込んで死んだらしいわね。そんなヤツが言った言葉かぁ……褒められてるか、貶されているか分からないわ」


「お前な、もっとゆるっとした修道服を着ろよ。何で、胸と尻が強調されてんのか分からんぞ。それなりに長い付き合いになるが……リナよ、お前ホントに修道女か?」


「なっ、何よ今更!? 神の敬虔な、しもべに決まっているでしょ! 話を戻すけど……王国が召喚した勇者の教育を引き受けてよ!」


「だから、嫌だっての。帝国のアホの失敗を知ってるのに、どういう理屈で俺が首を縦に振ると思ったんだよ?」


「それは……私とアンタの仲だから?」


「まぁ……シンドいヤマで回復役として、こんなオッさんに何度も同行してくれたのは感謝してる。けどな、コケられない勇者の教育なんてヤマは、金級冒険者にでも頼めば良い。それに1番の疑問は、何故リナが仲介者みたいなマネをしてるんだ?」


「それは過去に、アンタが第3王子のケツを吹き飛ばしたからでしょ!? だから、教会に話が回って来たの! それで! 私が! 貴方にお願いしてるの!」


「ああしないと、調子に乗ったブタ王子は、魔物の攻撃を躱す事が出来なかったからな! ……あれ? 俺って未だに王室に嫌われているじゃねぇか。城に呼んで貰えねぇし、条件を満たしても金級に上がれねぇし……益々、俺に依頼する事じゃなくないか?」


「だから王室は、エリックが勇者の教育を引き受けてくれたら赦すって事じゃないかしら?」


「はぁー……エラく高いケツ代になったな。ちなみに聞くが、金級冒険者の皆さんは?」


「帝国へ、死んだバカ勇者の尻拭いに行ってるわ。本当に貴方にしか頼めない状況な訳よ」


「……断ると?」


「帝国兵か、王国兵に八つ裂きね」


「聖国に逃げる」


「手配書を回されて、聖国で火炙りか水責めね」


「教会の神父に転職して良いか?」


「第3王子の、ケツを吹き飛ばした有名人が? エリック、私も手伝うからさ……頑張ろうよ?」


「……ボンキュッボンの着こなしは辞めろよ? 勇者が欲情するぞ」


「その時は、冒険者の装備を着けてるわよ!」


「ハハ。あれはあれで、エロいけどな……じゃあ、家に帰る。色々決まったら、連絡をくれよ」


「またね。………はぁ。引き受けないと、本当に殺されるトコだったんだから……」


「ハハハ! 大変な男に惚れましたな、リナさんも!」


「司祭様! い、いつからそこに!?」


「割と最初から聞いていましたよ。お2人は、声量を落とした方がよろしいかと」


「うっ。すいません……」


「まぁ貴女のお陰で、真の勇者たる優しさと強さを備え、少年時代を過ごしたこの教会にずっと寄進して下さるエリックは、王家の牙に暗殺されずに済みそうですからね」


「ええ。そうですね……」


「教会の仕事は、しばらくお休みにして良いですから、エリックが動き易い様に努めなさい」


「はい司祭様!」


「ああ、それと……」


「?」


「ボンキュッボンの修道服は、ニセモノの修道女とバレますし、王太子の間諜とカンの良い者には分かりますよ? 目の保養にはなりますがね。では……」


「……何だかなぁ。この服は脱いで良いですか、王太子様……?」


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銀級のオッさんと修道女 マロッシマロッシ @maro5963

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