2025年11月〜12月雑詠集

森野きさ

雑詠

念力でスプーンを曲げたその日から言葉のための復讐がはじまる


春風にそよぐキラめき胸いっぱい吸い込んだなら翠の沼だ


ジンそそぎICEBOX浮かべてみ クリオネおどる海になるから


積まれたる画集の革の表紙には馴染まず光るレモンは鼻歌


もっとツノ立たせなくちゃ掻き混ぜる雲の海が消えないように


わたくしの「し」のあとにわたくしたるは残像ですらない印象の


「ぼくはこの世にいたことを悲しみで終わりにしたくないのです」


海蛍冷たく灯る都めく波の下にはないこと知るも


まっさらにお化粧をした雪野原 足跡つけてけがさねばならない


雪あまくとけてソーダになったならヤカンめく息透きとおるのに


いつぞやに降りて根雪と成り果てり土のにほひはつひにおきさり



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本稿には、未発表作品と短歌アプリ「57577」で投稿した作品の改稿を合わせて収録しました。




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2025年11月〜12月雑詠集 森野きさ @kisamorino

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