巡り巡って✕となる

夢見戸イル

0.調査報告書(✕✕✕視点)

 ✕✕✕は、届いた封筒を震える手で開封した。その中身は、探偵事務所に依頼していたとある人の調査結果だと、中を見る前にわかった。


 ずっと探していた人だった。突然音信不通になって何年経っただろうか。待つだけではなく自分で動けるほど成長できたのだから、もう待つのはやめることにした。

 ここに来れば会えると思った。話したいことが数え切れないほど沢山あった。


「……え?」


 調査報告書を開いた後、✕✕✕は言葉を失った。


調査結果

調査対象:✕✕✕・✕✕✕✕

所在:死亡(死因不明・調査不可)

所属:フューチャー・ラボ

   ※調査対象者死亡のため最終所属先

   ※六年前の爆破事故のため該当研究所は閉鎖

別紙添付:調査対象者の死亡証明書

以上


「なん、で……」


 涙は出なかった。突然のことで、思考が追いつかなかった。ただ頭の何処かで、死亡証明書に書かれた死亡日と音信不通になった時期が重なって、疑いたくても疑えない自分がいた。


「✕✕✕ー! ご飯できたよー!」


 部屋の外から、自分の名前を呼ぶ声がする。その声に、✕✕✕は大きく息を吸う。

 涙が出ていなくて良かったと思った。そんなの、自分のキャラじゃない。それに、まだ自分にはやらねばならないことがあった。


 ✕✕✕は届いた書類を封筒にいれ、机の引き出しにしまって部屋を出た。

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