プティ・フェスタへようこそ

プティ・フェスタへようこそ

 ここは、どこかの国の、どこかの都市にある路地裏。

 大通りから少し入ったところにある、かわいらしいレンガでできているお店。

 扉の上には、『プティ・フェスタ』と書かれている。


 ドアを開ければ、店内の色とりどりの商品たちが目に入る。


 おもちゃ、雑貨、家具、家電、服、本。

 たくさんの商品たちが、並べられている。


 そんな店内を歩く少女がいた。まだ10を超えたくらいの、幼い少女だ。


「ベル、このあいだなくなった商品、注文してくれない?」


 そう問いかけた相手──ベルと呼ばれた者は、妖精だった。

 人の手のひらに収まるくらいの、白銀の妖精だった。

 パタパタと少女の元にベルが飛んでくる。


「はーい!ステラ、それぞれ2つずつでいい?」


 どうやら、その少女はステラと言うらしい。

 この店のあるじでもある。

「うん。そうだ、もうそろクリスマスになるから、クリスマスのラッピング用意しなきゃね」

「あ、カタログ向こうにあったよ!取ってくるね!」


 パタパタとステラの手を飛びたち、店の奥のカウンターに消える。再び姿が見えた時には、自分の3倍はあろうかという、大きなカタログを抱えていた。

 大きさは普通のカタログと同じであるが、表紙がかなり変わっている。『クリスマスカタログ』とあり、普通のカタログではありえないであろう、革表紙なのだ。オマケに小さな宝石まで埋まっている。色からしてダイアモンドであろうか。

 カタログには文字通り、ラッピングシートやリボン、メッセージカードが載っている。


「ありがとう。ラッピングシート、今年の新作あるかなぁ」


 ステラはカタログの表紙、ダイアモンドに触れると、そう呟く。

 すると、パっとダイアモンドが自らひかり、文字が浮かんできた。『193P〇』

 この文字が表す意味は、193ページに求めているものがある、ということである。

 ステラがそのページを開くと、『2025新作』というページが現れた。

 クリスマスカラーを元にしたラッピングシートがたくさん載っていた。


「ベル、どれがいいかな?」

「私が好きなのはねー、これとこれと───」




 イベントで困った時に、目の前がパっと光れば、プティ・フェスタに辿り着く。

 いつでも大丈夫、なんでもある。

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