近すぎませんか近猪さん!?
G0st
プロローグ
「おはよう!遠野くん!」
自分の席に座ると、隣の席の女子が俺、
「…おはよう、近猪さん」
彼女の名前は
感情表現がとても豊かで、よく表情がころころ変わるタイプのおかげかクラスでは結構人気だっだりする。
ただちょっとだけ俺は困ったことがある。それは──。
「遠野くんは昨日の数学の宿題やった?結構難しくてさ~。終わらせるのに時間が掛かっちゃってさ~」
「……宿題?」
──宿題。
やべぇ完全に忘れてた!『後でやろ~っと』って思ってそのまんまだった!今からやればギリ間に合うか?
「あ…もしかして、忘れてた?」
「…忘れてました」
素直に白状する。あちゃ~っと困った顔をしていた。
「まあ今からやればギリなんとかなる?と思う?」
「凄い疑問形だね。最悪あたしの写す?」
「いや、それは悪いよ、でもありがとう、近猪さん」
近猪さんの申し出を断って、宿題をスタートさせる。
「そっか、あ、じゃああたしが教えるよ。一緒にやろ!」
そう言って、自分の椅子を寄せる。寄せるのは良い、良いんだが。
「ここの問題ちょっと難しくてね、この式を応用するんだけど──」
…近すぎません?
さっき困ったことがあるって言っただろ?これです。
椅子を寄せてきたと思いきや肩と肩がぶつかる距離まで詰めてきた。
近猪さん、急に距離感バグる時があるんだよね。
「…ち、近猪さん?」
「ん?どうしたの?なにかわからないとこでもあった?」
「そうじゃなくって、その、距離が、近いんじゃないかな~って…」
「え?友達なんだから普通じゃない?それより!ここ、ここなんだけど──」
絶対!ぜっっっっったい!普通じゃない!友達少ないからよくわからないけど!!
すぐ隣から聞こえてくる透き通った声。
ふわりと香る女子特有のいい匂い。
視界端に映る近猪さんの真剣な、とても楽しそうな横顔。あ、まつ毛長いなぁ。
嫌でも心蔵がドキドキしている。
近猪さんって綺麗で可愛いから、俺の心臓が持たない、持ってくれ俺の心臓!
「──で、答えが出てくるって感じ、遠野くんわかった?」
「あ、ああ!……わかった!」
嘘です6、7割ぐらい聞けてないですはい。
「よかった~、じゃあ次行こっか!」
そう言って笑う近猪さん、やっぱり近いんだよね。
なんでここまで仲良くなったんだろう?多分あの時からだったような?
そう思い、近猪さんと仲良くなってこの距離感になったきっかけを思い出していた。
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