ウザ絡み後輩カノジョときらめくみなとみらいのクリスマス

のら坊

第1話:五時間目の教室で


今日の五時間目も自習だった。


そして、後輩カノジョのカホは、昼休みから当たり前のようにソウヤの前の机に座っている。


まるで自分の席のように。


手鏡を見ながら顔にニベアクリームを塗り、今は、前髪を固定しているところだ。


もう、あえて聞かないが――カホのクラスも自習なのだろう。


「カホ、上級生の教室にすっかりなじんでるな」

そう言うと、カホはさらりと返す。


「別にセンパイ以外、気にしてませんから。関係ないです!」


(毎度、カホに机を占拠されているクラスメートは、気を利かせて移動してくれているのだろう。申し訳ない……)


カホは鏡を見ながら言った。

「センパイ、私の前髪、決まってません? カホのベストショットです!」 といいながら、さりげなく、ソウヤの方に体を寄せてきた…


(始まった、始まった)


周りのクラスメイトたちは生暖かく見守っていたが、いつものやりとりが始まったので、気とられないように二人の様子をうかがっていた…


確かに前髪を整える気持ちはわかるので・・・

「いいじゃん! カホ、今日もキレイだよ」 と言うと、


カホは少し照れながら笑った。


「センパイ!お世辞でもうれしいです」


続いて、つやつやのリップを塗り、上唇と下唇でなじませながら、横目でソウヤの様子をうかがっている・・・


(女子がリップをなじませるしぐさってドキッとする、つやつやリップもなんか破壊力あるけど、カホにばれるとドヤりそうなので黙っていよう・・・)


ソウヤは平静を装って「なんか、そのリップ、つやつやできれいだな」と言った。


(校則違反じゃないか?言わないけど…)


するとカホが、ふいにこちらを見て言った。

「センパイ! キスしたいって思ってません?」


(エッ、突然、何を言い出すんだ…)


「カホは、全然OKですよ――」と、ニヤリと笑う。


(からかおうとしているな・・・絶対・・・)


「センパイに、ここでキスする勇気があれば……」


(やっぱり・・・)


「いやいや、ここで、今、するのはさすがにムリだ。」

そう答えると、カホはいたずらっぽい目をして笑った。


「センパイ、気が小さいですね。もう、この後、カホの気が変わって、二度とチャンスがめぐって来ないかもしれませんよ」


そう言って、もう一度ニヤリと笑った。


まわりのクラスメイトはふたりのイチャラブシーンを生暖かく見守っていたが・・・

めいめいがいろいろ今後の展開を勝手に想像して楽しんでいるようだった・・・ 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る