お嬢様の専属おしっこ係として生まれました
ももりんご
第1話
パーティーは、盛況でした。
お屋敷には、正装をされた紳士淑女の皆さまが次々と訪れ、談笑を交わされています。
色とりどりのドレスで着飾ったご令嬢たちは、ホールを飾る花のようです。かぐわしい芳香に誘われるように、青年たちは彼女たちを取り囲みます。
華やかな社交の場は、恋のお相手を選ぶためのパーティーでもあります。本日も、素敵な出会いの場となりそうでした。
この日のために忙しく準備をされてきた奥方様は、満足そうにホールを見渡して、微笑みました。
私たち使用人は、部屋をぐるりと囲むように配置されたカーテンの後ろに控え、布の重なる合間から、自分の使える主人の様子を伺っています。彼らは、それぞれ趣向を凝らした陶製の細長い筒を手にしています。
高貴な方の世界では、ご婦人はトイレに行かないということになっています。ですが、それはもちろん建前。
非常事態となると、ご婦人たちはカーテン前に移動をされます。使用人はカーテンの合間から手を伸ばし、尿筒をスカートの中へ差し入れて、放尿を受け止めることになっているのです。
カーテンの後ろで行われていることは、気づかぬふりをするというのがマナーです。音も聞こえないことになっています。
しかし本物の貴婦人はそのような気づかいの必要もなく、放尿の勢いを自由に操り、また使用人も尿筒を傾ける角度で調整し、音ひとつ立てずに用を足せるものなのでございます。
今もまた、一人のご婦人がさりげなくカーテン前に移動され、前を向いて談笑しながら、顔色ひとつ変えずに放尿を終えられました。会話に夢中になっていた方々には、さりげなくカーテンの前に位置取られたことも気づかれていないかもしれません。
ああ、お見事でございます。
使用人の手にしている尿筒には、豊かに注がれた黄金色の液体が光っていました。
顔色ひとつ変えずにあんなに我慢をされて。放尿する際も音ひとつ立てず。貴婦人の矜持というものでしょう。
おくびにも出さずに「カーテン前」を終えられたご婦人に、カーテン後ろで待機中の使用人たちは皆、心の中で称賛を送っているはずでございます。
運ばれていく尿筒に敬意を払って一礼し、私はお嬢様に目を向けました。
私の主人、シャーロット様。御年十六歳、最近ますます美しくなられました。水色のドレスと揃いのリボンが、金色の御髪によく似合っています。陶器のような白い肌と、スミレ色に輝く瞳に、周りを取り囲む同世代の男性方が釘付けになっています。このホールの中で、ひときわ美しく輝いて見えるのは、決して私の欲目ではないはずです。
ですが、どうも先ほどから息が浅く、顔色が悪い気がします。パーティーが開始されてから二時間ほど経ちますが、お嬢様の気を惹きたい若者たちに囲まれて抜け出せず、勧められるがままに飲み物を口にしています。
平気なふりをして談笑し、グラスを空にして移動しようとしますが……、また新たに現れた男性にグラスを渡されてしまいました。シャーロット様は笑顔で受け取り、じりじりとこちらへ移動しながら、なんとか会話を終わらせようと必死です。
震える手でグラスを飲み干し、ようやく解放されたお嬢様は、下腹部を揺らさないように、そうっとこちらへ歩いてきます。顔には笑顔を貼り付けていますが、スカートの下では太ももを擦り合わせて歩き、必死で我慢しているのが、長いつき合いの私には目に見えるように伝わってきます。
もう、今、誰かにぶつかられたら漏らしてしまう。
ああ、神様……。
私は祈るような気持ちでお嬢様を応援しています。
お嬢様は静かに人の合間をすり抜け、なんとか、私の元へ辿り着きました。
「ぁ……!」
カーテンの後ろに私の顔を見た途端、気が抜けてしまったようで、小さな声を漏らしてカーテンにしがみつきました。
「早くっ、早く……っ」
お嬢様は涙を浮かべながら、私を急かします。
こんなにあからさまにカーテンにしがみつくなど、貴婦人としてあるべき姿ではありません。もっと平然と立っていていただきたいところですが、そんなことを言っている場合ではありませんでした。
私は急いでスカートの中に手を伸ばし、中に履かれているドロワーズの腰紐に手をかけました。ドロワーズを下ろして触れた下腹部は、かわいそうなくらいパンパンに膨らんでいました。
「ひゃう……っ」
私の手が肌の上を掠めると、お嬢様はかすかな悲鳴をあげて全身にぎゅっと力を入れます。
固く閉じた脚を開かせると、零れた雫がぽたりと一滴、指先を濡らしました。もう、とっくに限界を超えているようです。
慌てて尿筒を差し込み、お嬢様の股間に当てた瞬間に、ジョワワワワッ!と勢いよく放尿が始まりました。
「はぁぁ〜〜……っ」
ようやく解放されたお嬢様は、気持ち良さそうに長いため息をつきました。目も口もとろんとさせて、すっかり力が抜けてしまったようです。
しばし快感に浸っていたお嬢様ですが、安心してみると、自分のはしたない姿に気づいたようで、みるみるうちに頬を赤く染めました。
「や、やだ、見られてる……?」
お嬢様は背後を気にされ、早く終わらせようとしますが、我慢の限界を超えた量のおしっこは止まる気配を見せず、放尿音は周囲に響き渡っています。
せめて水音を消そうと、私は角度を変えてみますが、あまりの勢いに筒の中でおしっこが跳ね返り、うまくいきません。おしっこはジョロジョロと派手な音を立てて、筒の中へと溜まっていきます。
拷問のような時間を過ごしたお嬢様はチョロ、チョロ、と最後は絞り出すようにおしっこを終えました。取り出した尿筒のずっしりとした重みは、本当によく我慢されていたことを伝えています。
大きな膀胱は、貴婦人のたしなみ。
多少の恥ずかしい思いはされたかもしれませんが、お嬢様はまだ社交の世界にデビューしたばかり。よくここまで耐え切ったとお褒めしたいくらいです。まだ年若きご令嬢の方は、漏らしながらカーテン裏へと駆け込んでくることも珍しくはないのです。
私はいったん尿筒を床に置き、ポケットからチーフを取り出しました。お嬢様の股間にやわらかい布を押し当てて、おしっこを拭き取っていきます。
跳ね返ったおしっこが、お嬢様の股間をずいぶん濡らしていたようで、染み出したおしっこの温かさが私の手にまで伝わってきました。おおまかに吸い取ったあとは、お嬢様の形に沿って、丁寧に拭いていきます。細かいところに布を沿わせると、お嬢様はぴくぴくと太ももを震わせました。恥ずかしそうに俯き、唇を噛んで耐えています。
ああ、いけません。しゃんとしてください。背筋を伸ばして、顔をあげて。何事もない顔をしてください。お嬢様は、また会場に戻らなければならないのです。
婚約者の候補たちも、きっとお嬢様の異変に気づかれてしまったことでしょう。ですが、互いに何事もなかったかのように振る舞わなくてはならないのです。
ああ、心配です。お声をかけて、安心させて差し上げたい。ですが、お嬢様と私はカーテンを隔てた身分。いくら心配でも、この境界は超えられないのです。
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