第10話

日本政府の反応


動画公開から数時間後。

内閣官房の一室で非公式の情報共有が行われた。


総務省。


「ステータスUI表示が一切映っていません」


「数字やステータスはすべて本人の口頭説明のみです」


防衛省。


「戦闘時の挙動が現実の物理に近い」


「CGだとしたらコストと手間が異常です」


文科省。


「仮にフェイクであっても新しい映像表現として研究価値があります」


官房長官。


「ただし現時点では“事実確認不能”」


結論。


「静観」


「過剰反応は避ける」


日本のニュース、夜のニュース番組


キャスター。


「動画投稿サイトに奇妙な映像が投稿されました」


映像。

・地下に続く広大な空間

・青いスライム状の生物

・投稿者による説明音声


キャスター。


「映像内にはゲームによくあるHPやレベルといった数値表示は見当たりません」


専門家。


「逆にそれが本物らしさを強めています」


情報番組・ワイドショー


司会者。


「これゲームなんですか?」


コメンテーター。


「本人が全部説明してるのが不自然」


街の声。

「怖いけど面白い」

「フェイクっぽいけどなんか違う」

「作り込みがすごい」


日本ネットの反応


動画サイト コメント欄

「UI無いの逆に怖い」

「これゲームじゃなくね?」

「説明が妙にリアル」

「カメラの揺れ自然すぎ」

「スライムの動きが生き物」

「フェイクにしては金かけすぎ」

「本人しかステータスUI見えない設定とか?」

「二本目待ち」


SNS、掲示板

「ステータスUI無いのが一番引っかかる」

「なんで数値映さないんだ?」

「逆に現実っぽい」

「日本また変なこと起きてる」

「続き出るかどうかで判断」

「これが本物だったらヤバい」

「場所特定できないのも怪しい」

「ゲーム配信じゃないな」

「説明全部声なのが不自然」

「でも映像はリアル」

「フェイクならもっと派手にするだろ」

「これ続編前提だよな」

「一本目としては強い」

「判断材料が足りない」

「次で決まる」


総評


一本目の動画に対する日本の反応は大半が懐疑的。


しかし「ただのゲームではないかもしれない」という空気に変わりつつあった。


特にステータスUIが一切映らないという点が、不気味さと現実味を同時に生んでいた。


そして人々はまだ知らない。


この先の動画が日本社会を巻き込む大きな流れの始まりであることを。


一本目は火種としては十分だった。


藤堂遥斗は次の動画を準備しながら静かに確信する。


――世界はもう戻れない。

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