何を書くか

 エッセイを書こう。


 そう思ったものの、特に書くことがない。


 私の日常はありふれていて、これといって書き上げられるような出来事はなかった。


 ドラマチックなこともなければ、物語性のあるエピソードもない。そもそも、エッセイというものを、どんなふうに書けばいいのかも分からなかった。


 とりあえずネットで調べてみるが、よく分からない。


 私は小説を書くとき、ある程度プロットを決めてから書くタイプだ。


 世界観や物語の流れ、そして終着点。そこを最初に決めてゴールに向かって書いていく。


 途中で矛盾を感じたら微調整はするが、終着点そのものが変わることはほとんどない。


 「どうやら世界の命運はカードゲームが握っているらしい」に関しても、書き始めた時点であの終わり方は決まっていた。


 だからこそ、エッセイのように明確なプロットを必要としない書き物は難しい。


 起きた出来事を書けばいい。頭では分かっているのに、それが逆にできなかった。


 これを書き上げられたら、きっといい経験になる。そう思う反面、筆はまったく進まない。


 この時点で私は、「アクシオンギア」の続きを書いたり、「どうやら世界の命運はカードゲームが握っているらしい」のお礼短編を書いたりと、何度も気が逸れている。


 けれど、他の小説を書いているうちに、ふとあるネタが降りてきた。


 そうだ。どうして私は小説を書こうと思ったのか。それを書けばいいんじゃないか、と。


 ネタさえ決まれば筆は自然と進み始めた。


 今から書く話に特別面白いことはない。ただ、私が小説を書き始めたきっかけは何か。それをつらつらと並べるただけの話である。


 だから、続きを読みたいと思わない人は無理に読まなくてもいい。


 それでも、このエッセイを書き上げたとき、少しでも自分の中で小説を書くためのいい刺激になればいい。


 そんなことを思いながら、続きを書こうと思う。

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