(2/3)異世界、アナーキー、不思議の国、ホラー展開、運命の出会い――?

 見知らぬ道の幅は、だいたい大人が二人並んで、ギリギリ通れる程度の狭さ。誰かとすれ違うことになったら、少しだけ難儀しそうだ。


 マンションの壁が日光を遮り、塀も妙に高く、少し曲がる所もあったりして、先が見通せない。

 薄暗い雰囲気が何だか物々しくて、ただの裏道ではなさそうな印象をなおさら強める。


 通ったこともない、初めて見る道の先には、一体何があるのだろう。

 ……たとえば。


<A>

 道を進んでいると、いつの間にやら深い森、遭遇するのは見たこともない奇怪な生物。

 迷い込んだのは異世界、待ち受けるのは剣と魔法のファンタジー!


 ……もしくは。


<B>

 たむろする不良、交差する拳と拳、アウトローがぶつかり合うバイオレンスな世界観!

 表には出てこない、アナーキーな裏社会の事件に巻き込まれちゃう!?


 ……あるいは。


<C>

 落とし穴に、落っこちて。転がり出た先でぶつかったのは、人間サイズのもふもふ巨大なお喋りできる動物さん。

 不思議な国で、奇妙なお茶会に招かれる――もちろんモフり放題だっ!!


 ……それとも。


<D>

 奇妙な雰囲気、ひんやりとした空気……進めば進むほどに、黒い予感が禍々しい輪郭をもって、頭をもたげる。

 これ以上進むな、引き返せ――胸がざわつき、耳の奥で警鐘を鳴らす。いつしか、こんな道に入ってしまったことを、後悔していた……。

 見知らぬ道の先に、待ち受けていたのは……背筋が凍るようなホラー展開……。


 ……さもなくば。


<E>

 勇気を出して進んでみた道で、ばったり遭遇したのは……

 胸ときめく恋愛相手?

 熱く互いを高め合う好敵手ライバルなんていうのも悪くない?

 未知との遭遇なんて果たすSF展開なんていうのもいかが?


 運命の出会いが、あるのかもしれない……。



 etc.etc...他にも色々な可能性もうそうが考えられる。それはきっと、人の数ほどあるのだろう。

 そうやって、どれほどその場に釘付けになっていただろうか。


 ついに――


「……ごくり……」


 意を決して、見知らぬ道に、足を踏み入れたのだ。

 その先で、見た光景とは――?

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道の先には、未知があった。のに。 初美陽一@10月18日に書籍発売です @hatsumi_youichi

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