私は天才を育ててる

aoinishinosora

第1話 私は天才を育ててる

 3人の子供を育ててる。1番目は女の子。美人ではないが可愛くていつもニコニコしていて元気な23歳。2番目は男の子。ヒョロっと背が高くて鼻が高くて韓流スターみたいな21歳。3番目は男の子。ニキビがまだある小顔の高校3年生。


 3番目の子供が何と後期中間テストで学年1位を取った。

 高校の偏差値としては高くは無い学校だか、1位は1位だ。私は本人よりも喜んだ。だって私は何も1位になった事は無いから。私の知っている限りの褒め言葉を彼に浴びせた。

 高校へ入学した時に私は3番目の子供と約束したのだ。学年1位を取ったら10万円プレゼントする。私は約束通り、おめでとう。と言って10万円の封筒を渡した。本人は本当に貰えるとは思っていなかったらしく、ホントに貰って良いのか何度も私に確認していた。

 そして部活もとても頑張った。地元の大会で3位。素晴らしい成績だと思う。事務系の資格試験も1級を4種類、2級を1種類取っている。そして、部活を引退してからはアルバイトを始じめて自分の必要な物はなるべく自分で買っている。バイトを始めた理由がまた凄い。

「彼女への誕生日プレゼントは自分が働いたお金で買いたい」

 こんな事言う男に育って私は嬉しい。

 


 2番目も凄い。中学2年春の中間テストの時、


「100点取ったら1万円」

 と言ったら3教科100点取って来た。驚きと喜びだった私に子供は、


「100点じゃなくて学年1位だったらこれからも1万円頂戴」

 と言ってきたのだ。私は3万円払わなくてすんだで儲かった。と思いその条件をのんだ。が、よくよく考えたら1位より100点の方が難しいのかもしれない…。(私にどちらも無理だけど)

 それ以降、何度も1位を取ってくる2番目に私は5年間で一体いくら払ったのだろう…。(高校に入ると模擬試験沢山あるし…)毎回嬉しい出費であった事は間違い無い。その子は、〝青葉もゆる〟大学で今も頑張っている。

 


 1番目は、勉強は大嫌い。だから大学にも専門学校にも行かないと決めていた。

 地元の企業に事務職として採用されて会社の皆に可愛がられている。会社にくる宅急便のオジサンにもお菓子を貰ったり、得意先の人達からも電話での明るい声を褒めて頂いたりしているらしい。人たらしの天才である。友達も多く週末はいつも捕まらない。彼女は何より弟2人からの信頼が厚い。IQは絶対に弟の方が良いのに何故か尊敬されている。


 


 3人とも私が育てた大切ちゃん達だ。

 お金で釣るのは良くないのでは?って言う意見もあると思う。でも、頑張れば何か形で現れた方が頑張り甲斐があるのではないか?

 子育ては子供が何歳になるまで続くものなのか?いつまで口を挟み手を出せば良いのか?終わりはないのかもしれない。だけど、3番目がもう直ぐ18歳になる。何となく一段落なのかもしれない。

 

 凄く頑張った10年間だった。(10年前に離婚をしたのだ)貯金もほぼ0からのスタートだった。慰謝料、養育費貰わずに別れた。初めのうちは子供にも不自由をかけた。子供もきっと頑張った10年間だった。

 離婚して私は幸せだった。当時乗っていた車のムーブは車内が狭くて4人がとても近く感じて、あたたかい気持になった。


 どんどん巣立って行く子供。車も少し大きくなった。それぞれが車の免許を取り1人、また1人と一緒に行動する事も少なくなった。



 私はこの子達を育てる事が出来て良かった。この子達本当に尊敬する。


 


       クリスマスに愛を込めて母より

 

 

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