BL創作

Suica.

第1話

朝。道には、学校へと向かって歩く生徒が大勢いる。

朝陽は、その中の数人に挨拶する。

7月になって、高校一年生の生活にも慣れてきた朝陽は、ポケットに手を突っ込みながら、学校へと向かう。

横には、幼馴染の蓮がいる。

「それでさ、その時何が出たと思う?」

「んー、猫??」

「お前さ、話聞いてねぇだろ!?ゲームの話だよ!!」

「あぁごめんそっか」

「そっかじゃなくてよー!」

そんな他愛もない会話を繰り広げる俺たちの横を、一人の男子生徒が通り過ぎる。

髪は黒くてさらさらで、平均よりも少し高めな身長の、まだ新品同様の制服に身を包んだその男子生徒に目がいく。

俺の目が無性に引き寄せられたのは、きっと、見かけない生徒だったからだろう。

(ん?見かけない顔だな、先輩か?いや、ネクタイが青いから一年か、イケメンだなー)

この学校は、上履きのラインの色とネクタイ、リボンの色で学年が区別されている。

(ま、一年も多いしそのうちの誰かだろうな)

蓮と一度離れ、下駄箱へ向かう。

蓮は俺とは違いc組だ。

クラスが違ってしまってはいるが、こうやっていまだに一緒に学校に行っている。

a組の下駄箱で、俺の上履きに履き替えて、蓮と合流しようと立ち上がると、頭が何かにぶつかり、尻もちをつく。

「す、すいませんっ」

上を見上げると、さっき見かけた男子生徒がいた。

やっぱ近くで見ると凄いイケメンだなー、と見惚れていると、「大丈夫ですか?」と手を差し伸べられて、我に帰る。てか、こんな声だったんだな、良い声だなー、と考えていると、「では」とどこかへ行ってしまった。

「行っちまった、、でも、イケメンだったなー、」

小さな声でそう呟いてから、蓮と合流し、上の階へ上がる。

その直前、一度軽く振り返ると、そこには、もうすでに男子生徒の姿はなかった。

聞いてよ蓮、さっきのやつがすげーイケメンだった!と話したあとに、教室の前に着いたので、じゃあな、と言い、自分のクラスに入る。

そして、おはよー!とドア近くの生徒に声を掛け、自分の席につく。

朝陽は、前の席の小鳥遊莉星に話しかけた。

「おはよーっ」

「うんおはよう。そういえば、前田くん昨日の英語の課題やった?一時間目回収だよ?」

それを聞いて、少し焦って準備を急ぐ。

「は!?うそだろ!?やび、やってねぇ」

小鳥遊は「ふふっ、」と笑い、

「だよね、そうだろうと思った。」と言った。

それに対し、「俺のこと舐めてるだろ?」と文句を言うと、

「そんなことないよー、」と笑った。

俺は、いつもより少し早めに準備を終わらせ、小鳥遊に助けを乞う。

「お願いします!!英語の課題見してください!!」

「はいはい、これでいい?」

「せんきゅ!やっぱ小鳥遊は天才だわ!」

「次からはちゃんとやってきなよー?」

「わぁってるって!」

英語の課題は、小鳥遊に見せてもらい、無事、授業が始まる前に終わらせることができた。


課題が早めに終わったのでクラスの男子に話しかける。

「おっはよー」

「前田おはよ」

「何の話してたん?」

「お前も混ざるか?このクラスの女子で、誰が一番可愛いか、って話!」

「あー、」

「だよな、!まぁ、前田はな、アレだもんな」


「ゲイだもんな」

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