君と共にスカイライン
石鎚榛名三里の山
走りたいから走る
港湾のアスファルトはとても熱い。夏、門司、赤坂海岸をドリフトで駆けていく1台の32スカイラインがそこに居た。
―――「お前のスカイラインは足が柔いよ、もっと硬くしようぜ!」
ドリフトのスキール音が木霊する、あいつの愛車自慢は鬱陶しい。俺の愛車はR32スカイラインクーペ、言わばGTRを買えない若者の為のグレードと言った所か。
―――「うるせぇよお前の鉄仮面の足、硬すぎなんだよ。乗るたんびケツが痛いぜ」
信号待ち、ガラケーの通知が来る度あいつの事を思い出す。あの綺麗な黒髪ロング、学校の生徒会長のあいつ。笑えるぜ、高校で校則違反のバイト、車、免許、全部やってる劣等生の俺が気になるにはおこがましいくらいだぜ。
―――「おいお前ボーとすんなよ、信号青だぞ。あ、そーいえば今夜石上先輩がゼロヒャクするから来いって言ってたぞ。」
―――「はぁ?あのバカタレ石上がかよ、行くかよ面倒クセェ、それに明日は俺生徒総会行かなきゃなんねぇんだから無理だわ」
一応俺も生徒会副会長なのを忘れそうになる。でもあいつとは真反対すぎて、みんなからは黒白生徒会とかバカにされてる、まぁ事実なんだけどな。
―――「あ、てかそろそろだぜ板金屋。この間山でぶつけちまったから唐澤のおっさんに治してもらってんだ。」
―――「お前毎回ぶつけ過ぎなんだよアホ。少しは車の事考えろよ、治すだけマシだけどよ。バカタレ石上はこの間また廃車にしてやがったからな。」
俺は石上先輩から車を譲ってもらった手前あんまり言えないが、でも嫌いなのは変わりない。
板金屋の前に車を止めコイツの鉄仮面を取りに行く、今夜また走りたいから走るからな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます