JKの娘の友達とエッチな関係になる父親に転生したが、明らかに娘の方がかわいいので溺愛します。

アサガキタ

第1話 娘からの疑惑。

「お父さん、マミとどういう関係なの⁉」

 目を覚ますと、オレはお父さんになっていた。しかも明らかにJKの。そしてこのショートカットの娘、知っていた。

『娘の親友と恋に落ちて』

 絶大な人気を誇る少女漫画で、書店で表紙の娘にひとみ惚れそして即購入。しかし、この父親はなんと、この表紙のかわいい娘の言葉を聞かず、娘の親友『マミ』と深い仲になり、娘をどん底に陥れる、なかなかのクズ親父。

 やることはクズだが、見た目はイケメン親父。


 あ……っ、思い出した。オレ、エナドリの過剰摂取だ……


 いまどき絶滅危惧種になりつつある超絶ブラック企業。オレは上司の指示通り、残業に次ぐ残業を繰り返した。エナドリを片手に。


 エナドリの主成分はカフェインと糖分。血糖値爆上げ。結果、血管がぷっちと逝ったわけです、はい。皆さんもカフェインと糖分そして、残業は控えめに!


 まぁ、私事わたくしごとはさておき、めっちゃ睨んできている愛娘の沙希さき。もちろん、実の娘でオレこと西崎にしざき海斗かいとは妻と仲が悪く、数年目に離婚。

 娘はオレがひとりになるのがかわいそうと、付いて来てくれたのは確か小学低学年の頃。そんな健気な娘の友達とオレは……


 死ね。


 最低サイアクだ。覚えてろよ西崎海斗! オレがすべてのフラグを折って折って折りまくってやる‼ それにはまず、娘沙希との信頼関係の構築だが……なかなか、すれ違うんだ、これが。さて、どうするか……


「ねぇ、お父さん! はぐらかすつもりなの‼」

 確か原作の漫画では、オレはこの日上司への接待ゴマすりゴルフ。その帰りに娘の親友で例の『マミ』のバイトするファミレスに、癒しを求めて立ち寄るワケだが……

 確か、この日。オレは帰らない。マミとラブホに行く。結果として何もしないが、その時のマミの健気さにやられることになる。


「ちょっと待て、電話する」

「なに、またゴルフ? そうやっていつも逃げるんだから!」

 沙希は拗ねてオレのベッドに座る。おい、海斗。見たか? めちゃくちゃかわいいじゃないか‼ そもそもオレはショートヘア大好きおっさんだ。

 なんであんな、女子女子したマミがいいんだ? わけわからん!


「あっ、部長ですか? スミマセン、家の用事してまして。はい、シングルファーザーなんで。たまには揚げ物でもって……そうしたら指火傷しちゃいまして。クラブ握れそうにないんですよ、また今度お誘いください! 失礼します~~」


 チン。

 いや、スマホ切ってもチンとは言わんか。きょとんとした顔する沙希。そりゃそうだ、漫画ではこのシーン。娘の言葉をろくに聞かないでゴルフに行くんだもんなぁ……最低親父め……


「えっと、お父さん。火傷してるの?」

 何が起きたかわからない沙希は、落ち着かない素振りでオレを見た。


「いや、仮病。言うだろ? 嘘も方便って。だいたいなんで休みまで部長だの課長だのの顔見にゃならんのだ~~ダルっ」

「ダルってお父さん、若い子みたい……もしかしてマミの影響とか?」

 そう来たか……なるほど、そうそう。仲よくなりかけて、娘のかまを掛けるような言葉で距離を取ってマミに逃げ込むんだ、海斗って野郎は!


「いや、動画とか観たりしてると言ってんだろ?『おまえ、ダルっ‼』とか?」

「言ってるけど……お父さん、そういう動画観るの? 意外……」

 そう、確かに意外だろう。

 だってこの海斗はミスタークソ真面目。そんなクソ真面目が娘の親友と後戻りできない関係になるから、100万部越えの大ヒットなんだけど。


 そんなの関係ねー!


「っていうか、いいの? その……そんな仮病使って」

「いや、いいよ。お前の方が大事だろ? オレに聞きたいことあるんだろ?」

「あるけど……いつも逃げてばっかじゃない……」

「大丈夫、ゴルフも逃げ場もない! 何なら夜まで質問大会でもかまわないぞー」

 目をパチクリする娘の沙希。まじでかわいい……

 すると、遠慮がちに言葉を選びながら質問してきた。娘の親友マミとのなれそめというか、出会いを。


「あれは……そう。ファミレス。残業で遅くなって家で食うのも面倒だし、腹減るしで入ったファミレス……確か……」

「オーガスタ。マミがバイトしてるファミレス」

「そうそう『みんな大好きオーガスタ♪』のオーガスタだ」

 ファミレス『オーガスタ』のCMソングを歌ってみたがスルーされた。そんな気分じゃないよな、でも空気読むばっかで何も言えなくなるのが、コイツ海斗だ。


「――で、どうなの。マミと」

 緊張した顔。原作でも何度もある追及シーン。その度に下手な嘘を重ね、娘の信用をなくしてゆく。


「まず、その時の話聞く?」

「聞きたい……」

 オレのベッドの上で膝を抱える。不安でしょうがないんだろう。母親よりオレを選んでくれた娘にこんな顔させるなんて、最低サイアクだ。


「助けたんだ」

「助けた? マミを?」

「そう、客に絡まれてた。若いオトコたちに。カラオケ行こうとか、ID教えてとか。それでつい……」

「助けたんだ……」

「うん、ごめんな」

「あっ、いや……それはその……凄いね、うん。そんなことしてくれる大人いないし……それでか」

「うん、それでだな」

「えっと、その……お父さん、知ってるの? マミの家庭の事情」

「聞かされた。お父さんがいないんだろ? それで、勘違いさせたというか、誤解させた感じなんだろうなぁ。お父さんみたい、なんて思わせたんだと思う。ごめん、心配掛けて」

 オレは素直に謝った。そりゃ、不安だろ。沙希とマミはお互いに親がひとりしかいない。オレがマミになびいたら、天涯孤独だし何より娘の同級生なんて、普通にドン引きだよな。


「いや……いいよ。そのお父さん?」

「ん?」

「なんか……なんか思ってたのと展開違うんだけど……」

 よし! これだよこれ! なんか違う展開で原作ガン無視大作戦だ!

 そして娘ファーストで溺愛するぞ!






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