白雪の魔女
夜桜月乃
白い魔女と、聖夜に舞う純粋な夢
何でも屋というのは、その名の通りどんな依頼でも引き受けるお仕事だ。
と、言い切ってしまいたい気持ちが無いこともないけれど現実的にそれは無理。私は依頼をある程度は選別するようにしているのだけど、種類は問わないから「何でも屋」を名乗らせてもらっている。
魔法学校をそれなりの成績で卒業して、別にやりたいこともなかったから安めの家を貸してもらって、私は何でも屋を始めた。「宣伝してくれたらその分のお金も、入って来たお仕事に応じてお渡しします」なんて交渉もしてみたりした。最初は別でアルバイトでもやりながら伸ばせたらいいなぁとか軽く考えていたのだけど、思ったより噂が広がってかなり依頼が来てかなり焦ったのは笑い話だ。
お店のカウンターで新しく買った本を紅茶をちびちび飲みながら読み、誰かが訪ねてくれば栞を挟んで、営業スマイルを精一杯作りながら応対する。そんな日々だ。
「ん、いらっしゃいませー。本日はどんな御用でしょう?」
そして今日も、クライアントが訪ねてくる。
「あ、相談事でしたら大銀貨十枚程度から受け付けますよ?何かのお手伝いでしたら、内容を聞いてから考えます」
私は最初の相談からお金を取っていくスタイルだ。自分の発言が何かのヒントになって、特に仕事という仕事を貰えないまま帰られても困るから。だけど、今回の相手はそういう相談事ではなさそうだった。
「着手金として小金貨三枚。最終的にいくら払うことになるかは正直わからないが、頼まれて欲しいことがある」
着手金で小金貨三枚。
どうやら今回は、大きい仕事が舞い込んできたらしかった。
「……一旦お話聞かせてください」
報酬が良い仕事は当然、面倒なことになる。
私は少し緊張しながら、姿勢を正して相手と向き合った。
「説明が非常に難しいんだが……」
目の前の男性はそう切り出した。本当に難しそうな顔をしている。
「別に今他に仕事来てないんで良いですよ、ゆっくりで」
その分時間分お金貰ってもいいのだけど、なんて言ったって小金貨三枚だ。仮に受けないにしても、後から相談料貰えばいいと思った。
「端的に言えば、これから起こるであろう事件の阻止をしてほしいんだ」
「事件の阻止?」
「そろそろ聖夜がやってくる。聖夜には多くの家庭の親が子供に対してプレゼントを用意するだろう?俺は運送やってるんだが、そのプレゼントたちに魔法を仕込んでばらまくっていう話を小耳にはさんだんだ。そんなことされたら悲惨だし、話が広まれば俺たちの信用に関わる。しかも、会社にいる誰が敵なのかがわからない。だから魔女さんに話をしに来たんだ」
「なるほど……」
情報が足りないと思った。
誰が敵かわからないから探りにくい。下手なことをしてしまえば自分の首が飛んでしまう。なるほど、これは確かに小金貨三枚が着手金になる。
「引き受けてくれるか?」
「できる限りのことはしますよ?前金ではなく着手金ですし、ここら一体に被害が及べば私にも他人事じゃないですしね」
「ははは……悪いな、面倒ごとに巻き込んで」
「何でも屋ですから。ここまでは初めてですが」
「こんなのがぽんぽん起こられては困る。で、着手金は俺の手持ちからだ。最終的な報酬は、うちの会社から出してもらおうか」
彼はそう言って、懐から小金貨三枚を取り出した。
「確かに受け取りました。何か変わったことがあれば報告をください。私は私で調べます」
「もちろんだ。子供の夢を壊したくないしな、よろしく頼む」
「そですね」
私はよっこらせと立ち上がる。
「ちょっと私服に着替えてくるんで待っててください。職場まで案内してくれません?」
「え?あ、ああ。いいぞ」
早速動くとは思ってなかったのか少し驚いた感じで返事をされた。
流石に魔女と歩いてるのを見られるのは悪目立ちが過ぎるだろうし、普通の女の子という感じの服でいた方が良いと思った。
着替えて店に戻ると、依頼主は欠伸をしていた。
「寝不足ですか?」
「あー、まあそうかもな。服似合ってるな」
「え?あ、ありがとうございます。行きますよ……」
服装をさらっと褒められてびっくりしてしまった。どぎまぎしつつ、店の扉を開ける。
お父さんくらいの年齢の男性と、まだ学生に見えなくもない私。なんともまあ、奇妙な組み合わせ。ある意味これも目立つんじゃないかなと思いながら依頼人の後ろを着いていく。
なんだか、よくわからない緊張を感じている私がいた。
依頼人に着いて行った先にあったのは大きな倉庫だった。
この地域の物流の一拠点であり、様々な場所から集められた商品が保管されているようで、建物外周を一周するのだけでもちょっとした運動になりそうだった。私なら箒に跨って飛びたいと思う。
「ここからどうするんだ?」
依頼人が私の方を見てそう尋ねてきた。
「場所の確認がしたかったのが大半ですけど、中でも見てこようかなーとも思ってるところです」
「忍び込むのか?」
「まあ、通常の状態確認しておきたいですし」
私は杖を取り出して、どうやって入ろうか考える。やっぱりネズミに化けるのが安牌か。
「この倉庫ってネズミ出ます?」
「普通に出るぞ。商品に被害が出ないように棚はネズミが登れないようにはなってるが」
「なるほど」なら大丈夫かな。
私はえいっと自分に杖の先を当てて、変身魔法を使った。視点がめちゃくちゃ下がって変な感じがする。
柵の隙間から侵入して、商品の搬入をしていたのか出荷をしていたのか開きっぱなしの扉か倉庫内部にお邪魔する。
入ってすぐに、めんどくさいなと思った。
いくらなんでも多すぎる。これらに付与された魔法の解呪は不可能に近い気がした。そもそもなんの魔法をかけてばら撒く気なのだろうか。
とりあえず私は出荷口付近にある商品に近づいて、認識阻害と変身解除を同時に行って人の姿に戻る。
そして、適当なやつに解析魔法をかけた。
「防護魔法くらいしかかかってない、か。あとは持ち出し対策の警報装置くらいかな」
警報は簡易的なものだから解除自体は可能。ただちょっと弄っただけでも術者にはバレる気がする。
「……逃げるか」
もしかしたら解析魔法も感知されるかもしれないので、ネズミの姿に再びなってさっさと逃げることにする。バレてたらその時はその時だ。
早速ネズミの姿になった私は今度は出荷口の方を通って倉庫を脱出。柵まで一直線に、一気に駆け抜けた。
柵の隙間をすり抜けて敷地から出て、周りに誰もいないことを確認してから人の姿に戻ると、少しだけふらついた。変身魔法なんてあんまり使うものでもない。
最初侵入した位置に歩いて戻ると、依頼人が欠伸をしながら柵にもたれていた。
「早かったな」
「まあ、そんな時間かけてやるものでもないですし」
それもそうかと彼は笑って、他にすることあるかと聞いて来た。私は別にと首を振る。
「貴方たち、そこで何してるんですか?」
「はい?」
路地から出ようとすると、後ろから声をかけられた。女性の声で、多分魔法使い。私たちのことを警戒しているようだった。
「何かあったんですか?」
もしかしたら侵入バレたのかなとか考えながら、私は彼女に尋ねた。依頼人は黙ってみている。知り合いだったりするのだろうか。
「そのネックレス、あなた魔女ですよね?先程この倉庫に保管されてるものに何らかの魔法がかけられたんですよ」
「そうなんだ?」
「そうです。で、ずっと黙ってるけど、貴方は何も知らないの?」
「俺は知らないぞ。ずっとこいつと喋ってたからな」
依頼人はさらっと私をフォローしてくれた。目は何してるんだお前と訴えかけてきているけど。
「そうですか……。はぁ、お邪魔しました……ったくめんどくさい」
一旦は誤魔化せたらしい。魔女だと看破されたし疑念は晴れないだろうけど、別に良いだろう。
ぶつぶつと呟きながら彼女はとぼとぼと引き返していった。お疲れ様ですと他人事のように思った。
「ネックレス、か」
路地を出て大通りを歩きながら、私はぼそっと呟いた。
「魔女認定試験に合格した人に与えられるとかいうやつか?」
「そうです。まさか即看破されるとは思いませんでしたが。見た目がかなり気に入ってるのでいつも付けてるんですけど、意匠までしっかり見られてたら私が『白雪の魔女』で『何でも屋』やってるとこまでたどり着かれるかもですねぇ」
「あぁ……そうなったらめんどくさいな」
ネックレスの意匠は魔女によって異なる。
私の場合は雪の結晶の形をしていて、白雪の魔女の異名にふさわしいものとなっている。ちなみに、白雪の魔女の由来は私の髪色と、試験で雪とか氷の魔法をメインに魅せたから。結構安直だったりする。
「あ、私は店に戻りますね」
「ああ、またなんかあったら報告する」
「よろしくお願いします。それじゃあ」
店が近くなったので、私は依頼人に別れを告げた。
営業スマイルを消して、私はぶつぶつ呟きながら大通りの端っこを少し早足で歩く。
私の解析魔法が感知された。別に対策とかはせずに使ったからそれ自体は何もおかしくはない。だけど、引っかかることがある。
「感知されるのに、どうやって魔法をあの膨大な量の商品にかけるのか」
プレゼントに魔法を仕込んでばらまく。そんな行為を成立させるためには、運送業者側に協力者がいなければ成立しない。というか、依頼人の話からそれは前提だ。内部に敵がいる前提で、その敵が誰かが見分けられないという話だったはず。
であれば、それが本人の意志によるものかはさておき、警報を商品に仕込んでいたさっきの魔法使いは今回のお相手と繋がっているのでは?
店の扉を開ける。
カウンターの椅子に座って、冷めた紅茶を口に含む。
「はぁ……」
今までで一番難解な依頼だ。
探偵のように標的の尾行をしたこともあるし、逃げたペットを探したこともある。だけど、こんながっつりと調査を要するような依頼はこれまで無かった。
どうやって調査すればいいのだろうか。運送業者の裏の繋がりを調べる?一体どうやって調べたらいいのだろうか。
「眠い……」
何も考えが纏まらない。今日はもう店閉めようかな。
はぁ、と溜息をつきながら店を閉めようと立ち上がった。
「魔女さん魔女さん!!!」
「っとああ!?」
店の扉が勢いよく開いて、私は情けない声を出した。心臓に悪い。
「な、なんですか……」
「近くで喧嘩起きてるんですよー!止めてあげてください」
「え、えぇ……」
私は心底から嫌そうな顔をしながら、一応様子を見に行くことにした。
とりあえず大銀貨三枚要求した。
現場に行くと、何やら見覚えのある人と、よく知らない奴らが睨み合ってた。
「え、だるい」
「魔女さん、あと大銀貨五枚くらい渡すから止めてくれ」
「仕方ないですね」
「お金に汚い……」
睨み合ってたのは依頼人さんだった。何をしているんだろう。私はゆっくりと近づいて、依頼人さんの肩をとんとんと叩いた。
「何してるんです?」
「見たらわかるだろう?」
後ろを振り返ると気の弱そうな女の子が二人肩を寄せ合っていて、前を見たら如何にも柄の悪そうな男性が二人いた。質の悪い奴に絡まれてたのに割って入ったらしい。優しいのだろうけどトラブルメーカーだなと思った。
「ねぇ君、こいつの知り合い?邪魔だから連れて行ってくれない?」
「それは構わないんだけど、状況がわかってないんだよね。何してるのー?」
そういえば私服から着替えていなかったので、私はぱっと見魔女ではなくただの少女だった。普通に話しかけられたので普通に気楽に返しておく。
一目で魔女とわかって融通の利くローブだとかとんがり帽子を身に纏うことが多いものだから、私服だと案外魔法使いとまでは認識されても魔女とは言われなかったりする。
「何って、そこにいる女の子と話してただけだよー。邪魔されちゃって迷惑してるんだよね」
「そうなんだ。二人、怖がってるみたいだよ?」
「そりゃあ、知らないおじさんが割って入ってきたらびっくりしちゃうよね」
「あははー。確かにね」
私は振り返って、女の子二人に話しかけた。
「あなたたちは、どうしたいの?そこにいる軟派なヒトと遊びに行く?」
女の子たちは小さく首を振った。私はにこっと笑って、男性の方に振り返った。依頼人さんはやれやれって感じで立っていた。
「見えてたー?この子たち首振ってたよ。無理矢理は良くないんじゃない?」
「つれないなぁ。お姉さんは?俺らと遊ばない?そのおじさん放っておいてさ」
「うーん。どうしよっかなぁ」
依頼人をちらりと見ると、滅茶苦茶渋い顔をしていた。野次馬はというと、私が「何でも屋」なことを知っているものだから、もはや見世物のように楽しんでいる。
私は念のため身体強化の魔法を自分にかける。
元気な女の子という役になりきるんだ。少し気分が乗って来た。バカな奴をからかうっていうのは楽しいんだ。
「お前ら、いい加減に」
私が次の台詞を言おうとした瞬間、依頼人が口を開いた。「バカ」と私は呟いて、割って入る態勢になる。
「うるっさい黙れ!」
「ちょっ……」
男二人のうち一人が依頼人に殴りかかった。
私は慌てて前に飛び出して、ギリギリで拳を受け止める。
「何してるんですかバカ。私は大丈夫ですよ」
「すまん……」
「ねぇ、女の子一人に受け止められる程度?悔しい?」
「は……?」
私は男を押し返して、手首をぷらぷらさせた。ただの煽りだった。
「ねぇ、自衛できるの?」
「うーん」
「なんであの子たち守ろうと思ったの?それで」
依頼人は別に戦闘慣れしてるわけでもないらしい。
私は溜息を吐いて、とりあえず男たちを拘束しようと杖に手を伸ばす。
目が合った。
軟派な男たちじゃなくて、その奥に居る少し強面な集団の、先頭に立っていたボスっぽい風格の人と。なんだかとんでもなく嫌な感じがした。
「お姉さん!」
「え?」
後ろを振り返ると新手の男が一人近づいてきていた。
私に向かって叫んでくれた女の子とは違う方の女の子が走って体当たりしてくれて、男の攻撃は間一髪で回避できた。
「ご、ごめん」
「当たらなくてよかった。っつ」
「クソっ!」
女の子は思いっきり擦りむいてしまったらしく、立つのも辛そうだった。一方男は毒づいて、そんな女の子を蹴っ飛ばそうとしていた。
異常を察した野次馬は慌てた様子で、数人はもう一人の女の子に駆け寄り、数人は私たちの間に割って入る隙が無いかを見極めている。
「邪魔だっ!!!」
「っあ……」
展開が急過ぎて脳の処理が追い付かなかった。私は守ってくれた女の子が蹴っ飛ばされるのを見過ごしてしまった。
そこからさらに数瞬私はフリーズしてから、杖の先をとんと地面に当てて魔法を行使。女の子を蹴っ飛ばした男を蔦で拘束し、おまけに蔦から冷気を出しておく。
「あ、がああああ!」
「うるさい」
「あ!」
私は男の口を塞いでから、私のことを守ってくれた女の子に治癒魔法をかける。ごめんなさい、ありがとうと言ったら小さくえへへと笑っていた。強い子だなと思った。
最初の二人の男はどうしたのかと思って顔を上げると、野次馬だった男の人が組み伏せていた。思わぬ事態でかなり疲れてしまったから、ありがたい。
「あっ」
私はそういえばと辺りを見回す。さっきの強面集団は何をしている?さっきいた場所にはいなかった。
魔法が効いて来たのか女の子がゆっくりと立ち上がって、きょろきょろしている私を見てきょとんとした。
「誰か探してるの?」
「うん……」
「さっき凝視してた怖い人なら……あそこ」
「え?」
女の子に言われた方向を見ると、確かに居た。私が気づかなかったのは、集団ではなく一人でそこに立っていたからだろう。
私のことを見ていると、なんとなくそう感じた。寒気がした。
男の口角が上がった気がした。
手に持っているのは何?杖かな。その先をこちらに向けた。
「っ!!!」
私は未来予知でもしたのかという速さで杖を振り上げ、防壁を展開した。
間髪入れずにばちーんという音が響いて、傍にいた女の子がきゃっとよろけて私に抱き着く。
そんなことを意識する余裕はなくて、私はすぐに彼が居た方向を見たけれど、そこには誰もいなかった。
私はしばらくただ茫然と、彼が居た方向を眺めていた。
その後私はほぼ無意識のうちにお金をもらってお店に戻り、そこから何も考えずにぼーっとしていた。気づいたら寝ていて、気づいたら翌朝だった。
近所の人に聞いたのか、いつも通り紅茶を飲みながら座っていると、昨日助けて助けられた女の子が訪ねて来た。
「こんにちは、怪我は大丈夫?」
「大丈夫です。昨日はありがとうございました」
「いえ、依頼されたのでお気になさらず。むしろ私の方が助けられちゃったから」
「えへへ、あれは咄嗟に」
「咄嗟に動けるのすごいね。私は動けなくなっちゃったよ焦っちゃって」
彼女はお礼がしたかったようで、お昼ごはんにとパンを買ってきてくれていた。良い子だなと思いつつ、お礼を言うのは私の方なのにとも思った。丁度、お昼ごはんを何にするか悩んでいたところだったので、ありがたく貰った。
一緒にパンを食べていると、女の子が興味深いことを教えてくれた。
「昨日の軟派野郎、どうやらそうさせた上がいるみたいですよ。最初私たちの前に立ってくれてた人が真のターゲットだとか言って」
「え?」
「もしかしたら、最後に魔女さんに攻撃してきた怖い人がそれなのかなって」
命令で、優しいあの依頼人に危害を加えられる理由を作るために近くにいた女の子に話しかけた?
一体どうしてそんなことをする必要性があるのだろうと思って、すぐにある理由が頭を過った。
「あー、そうそう。魔女さんも気を付けてくださいね。怖い人たちが『白雪の魔女』『何でも屋』って呟いてたらしいんで」
「えぇ……。忠告ありがとう。気を付けるね」
はい!と女の子は笑って、立ち上がった。「また来ても良いですか?」と聞いてきて私が頷くと、嬉しそうにまたと言って去って行った。どうやら懐かれたようだった。
可愛い女の子と話せるのは嬉しいことかなと、それで良いのかわからない納得をしつつ、教えてもらったことを考える。
あの依頼人が狙われる理由なんて一つしかなくて、テロ計画が露見してしまったということが露見したからだろう。無駄に手の込んだ襲い方だけど、彼の優しさを利用できているから、やはり彼をよく知る人物が関わっているのはまず間違いがない。
そうだとして、なぜ私も攻撃されたのか。
私が呼ばれることまで想定されていたのか、私が彼と話しているのを見て繋がりを見出したのか。昨日私は魔女の格好をしていなかったのに、私が魔女だと気づいた、あるいは知っていた。
私はそこまで有名な魔女ではない。精々ここら一体で名が知れているだけの魔女だ。
白髪で、紫の目をした、雪の結晶の形のペンダントのついたネックレスをかけた少女。そういった外見的特徴を当てはめていけば私にたどり着けはするだろう。
しかしながら、あそこまで明確に傷つける意図を持った攻撃をしてくるものなのか。
「私が調査していることに気づかれている?」
これは、本当にどうしたらいいのかな。
こそこそと裏で動くのは無理な気がしてきた。
店の外に出ると、隣で雑貨屋をやっているおばさんが声をかけて来た。
「魔女さん、昨日は大変だったね」
「あー、はい。だらしないところ見せちゃって恥ずかしいです」
「いやいや、魔女さんも魔法が上手なだけの普通の女の子なんだから。あんまり無理はしちゃだめよ?」
「そですね。ありがとうございます」
この人は常識的な良い人だなと思った。
魔女はそれなりに難しい試験を通った人に与えられる称号だから、当然敬意の対象になる。魔法自体、少し高度なことをやろうとするだけで難易度がバカみたいに跳ね上がる技術であって、試験の内容以前に使いこなすこと自体難しかったりする。簡単なものは少し練習して慣れれば出来るけど、魔法を頑張ろうと思わない限りそこで終わってしまう。
魔女は敬意の対象であると同時に、恐怖の象徴になることもある。
この地域は魔法に好意的な場所だけど、別の場所に行けば全く異なる思想が主流なことも多いらしい。私は旅をする気がないので目にする機会は無いと思うけれど、旅をする気がない理由の一つにその事実への恐怖感は少なからずあったりする。
「そういえば聖夜が近づいて来たわね。何か予定あるの?」
「いつもと変わんないんじゃないかなーとは」
「せっかく可愛いのに色気がないわね」
「うるさいです」
「あっはは!そっちの方が貴女らしいわよ。今年は雪降るかなぁ……」
「さぁ?降ったらロマンチックですね、なんか」
私はなんとはなしにそう答えた。
降れば綺麗だと思うけど、降らなくてもどうということはない。降ったら運送の人が大変そうだなと夢の無いことを考えてしまう。
雑貨屋のおばさんがお客さんに呼ばれて離れていったので、私は箒を取り出して座り、軽く地面を蹴って宙に浮いた。別に行く当てなんてなくて、気分転換だ。
空を飛ぶのは風が気持ち良くて、気分転換に丁度良い。夜ご飯どうしようかなとか考えながら、建物の上を快調に飛ばしていく。
「何でも屋ー!」
「ん?」
後ろから誰かに呼ばれて、私は箒を空中で静止させた。振り返ると、緑に髪を染めてる魔女が箒に跨って追って来ていた。
「何か用?『不在の魔女』さん」
「呼んだだけだよ?」
「その箒ひっくり返してあげようか」
彼女は魔法学校時代の同級生で、「不在」を冠する通り隠密やら陽動に長けている変な人。情報収集が好きで伸ばしていただけらしく、普通に魔法使いとして強い。今は情報屋とか探偵をしているらしかった。
「で、状況はどう?」
「なんの?」
「いまなんか追ってるんでしょ?昨日盛大にやらかしてたみたいだし―?」
「うるさいよ」叩き落としていいかな。
流石情報屋とでもいうべきか、耳が早い。私は溜息を吐いて、指を四本立てて見せた。目の前の魔女と無条件で会話をするべきじゃない。
「へぇ?とりあえず私が知ってるのは運送業の人がクライアントで何かを追ってるんだろうってことと、昨日揉め事の仲裁に入ってらしくない判断ミスをやらかしてたってことくらい。払ってあげるからそれ以上を教えてね」
「手伝え。手伝わないならこれ以上取るか喋りません」
「はいはい。どうせ困ってたんでしょ?」
私は大銀貨四枚を受け取って、一連の流れを教えた。正直一人で出来ることが思いつかなかったから、別に構わないかなと思った。
彼女はふーんとか言いながら手帳にメモを取っていて、書き終わってからよしと頷いた。
「まあ、確かにあの運送業者の上で人員の入れ替わりがあったとかいう話は聞いたことがあるかな。別に追ってなかったからそれ以上は知らないけど」
「まあとりあえずまだ数日余裕があるから様子見……ん?」
不在の魔女が何かをじっと見ていたので、私はそれに倣って視線を合わせる。ここは大通りの真上。何を見ているのかがよくわからなくて聞こうとすると、先に彼女が口を開いた。
「昨日の騒動はこっそり見てたんだけど、君が気を取られたのってあの人だよね」
「んえ?」
「ほら、あの倉庫の通りをこっち側に向かって歩いている」
そう言われて、こちら側に歩いてきている人にのみ注目すると、確かに居た。心拍が早くなる。私はなんでこんなに緊張しているんだろうと思った。
手汗が滲んできたので少し目をそらして両手を擦り合わせていると、「見られた」と不在の魔女が言った。あいつには第六感でも働いているのか気づくのが早すぎる。
慌てて男の方を見ると何やら仲間と話しているようだった。何をしているんだろう。
「隠れるよ。視認されたんだ。昨日攻撃されてたでしょ、狙われてるかもしれない」
「え、ああ、うん。ここってこんな治安悪い街だっけ……」
「別の街の治安が悪いんだよ」
そうなんだと思いながら、彼女に導かれるまま距離を離していく。一応杖を握って、周りを確認しながら。
大通りの真上なので飛んでいる魔法使いが一定数いて、少し速度を出しにくい。事故らないようにも注意を払う。
「嘘」
「まじか」
少し高い建物の屋上に、仲間と思しき人が杖をこちらに向けて立っていた。どこまで用意周到なんだと思いながら、並走者と目配せをして、箒から飛び降りた。一瞬狙撃手の顔が驚愕に染まったのが見えた。
何も自殺行為ではなく、それなりの高さがあったので急降下してきた箒が地面すれすれで拾ってくれる。ほぼ大道芸みたいな感じで、通りの人々からおおという声が聞こえて来た。
地面に近かったからそのまま箒から降りて、建物の上から狙われても困るので走って路地裏に入る。
狙撃手が準備されている辺り、相手は遠隔で通信する術を利用して連携を取っているのかもしれない。だったら私のことを視認できたのも納得できると思った。だけれど、そうだとしたらかなりめんどくさいかもしれない。
「隠密魔法、使えるかな」
「厳しそう。相手の目がいくつあるのかわかんないのに下手に使っても……というかどこまで誤魔化せるのか」
「まあそんなもんか。完全な透明化とか厳しいしね。即席でやることじゃない」
相手は割と殺す気で来てる気がする。それだけ首を突っ込まれたくないことなのか、最悪殺すから身を引けという脅しのように感じた。
果たして相手は何者なのか。治安はかなり良いこの地域にしては随分と殺伐としている。
「接敵したら即制圧、かな」
「おーけー」
変装して人混みに紛れてしまうのが一番安全ではあると思うけど、私たち魔女としては治安維持的に不穏因子は排除しておきたい気持ちが大きくて、あえて戦うことにした。
いつでも魔法を撃てるように杖を構えて、ゆっくりと路地裏の奥の方に進む。攻撃役が私で、索敵と補助は任せることにした。
「右に一、左遠方に一」
「おっけー。右は私が対処、左は任せた」
「路地裏通る人は基本いないからほぼ確で敵想定で」
先手必勝という勢いで私は踏み込み、浮かせた箒を踏み台にして高く跳ぶ。そしてその下を相方が潜って分岐まで一気に抜ける。
分岐に差し掛かったところで、相手が視認できたので氷柱を飛ばし、氷の蔦で拘束する。顔はよく見えなかったが嘘だろ的なことを言ってそうな口の動き方が見えた。
その時、視界の端に光が見えて、少し遅れて「何でも屋!!!」という声が耳に届いた。状況を察すると同時に、背中に衝撃が走った。
「っあ、がああっ……」
軽く私は吹き飛んで、拘束した相手より少し奥に落下した。情けない呻き声が漏れる。
熱い。じわじわと何かが広がる感覚がして、段々痛みが強くなっていく。すぐに治癒したいのに、頭が回らなくて何もできない。
「なにこれ……魔法で作った槍?相手最初っから構えてた」
私に何かをぶっ刺してきた奴を制圧したのか、ぶつぶつ言いながら治癒魔法をかけてくれる。
「っあああ……」
「アレは避けれない。位置バレしてたにしても上から出てくるとかあんまり思わないだろうにね。はい、血は止まった」
「あ、あ」
「無理してしゃべんなー?運んであげるから大人しくしといて」
応急処置的なことしかされてないからしばらく動けそうになかった。一回飛びかけた意識は戻って来たけど、飛んだ方がマシだったんじゃないかなってくらい気持ち悪い。
魔法で出した紐で私を背中から落ちないようにして背負い、彼女は箒に乗る。そして、周りに誰もいないことを確認して不在の魔女が「不在」たる所以の魔法を重ね掛けする。
ぼんやりした視界で彼女が空に浮かんだのを確認したところで、私は眼を閉じた。
目を覚ますと、最初に見えたのは知らない天井だった。
「起きた?」
「うん」
どうやら彼女の家らしくて、私はベッドに寝かされていた。窓の外を見ると、すっかり暗くなっていた。
私はゆっくりと起き上がった。痛みはなく、なんなら服も元通りになっていた。
「ごめん、ありがと」
「アレは仕方ないし。私が飛び出たタイミングでもう放たれてた。不可避。死ななかっただけマシ」
彼女は面白くなさそうに言った。まんまとしてやられたとでも言いたげだった。実際そうなんだけど。
「相手は相当強い魔法使いを抱えてるみたいだね。まあ、プレゼントでテロるなんて発想ができる時点で相当腕に自信はあるんだろうけど」
「敵を直接見た感想は?」
「大方、別のとこの奴らじゃないかな。この街で少なくとも政治不満やら大規模な新興宗教やらは聞いたことがないよ。別のとこが治安が悪いって話したけど、資源確保やらなんやら、過激派な思想が強まってるみたいだね。その先駆けとか端くれがあいつらじゃないかな」
流石情報屋って感じだった。だけど、そんな奴らにどう対抗すればいいのやらという感じである。
「君を殺す気で邪魔してきたんだし、人殺しも厭わない奴らっていうのはわかったね。戦争的なテロなんだろうなって思うし、そうなったらプレゼントに時限爆弾的なのを仕込むんじゃないかな」
「最悪」
「そう、最悪。さっきので痛感したけど、まともに戦ったら勝てないね。真正面からぶつかり合うならさておき、市街地戦は分が悪すぎるや。とりあえずテロを阻止するのに注視すべきかな」
「そだね」
さて、だとしてどうすべきか。
あの量の荷物を手作業で処理するのは不可能。倉庫内に侵入するのすら厳しそうだった。なら運送中がタイミングになる。
やることは何か。プレゼントを壊すのは論外だ。最悪の場合やむなしかもしれないけど、あれには子供たちの夢が詰まっている。流石に破壊は非情だと思った。
であればやるべきことは推定爆弾化の解除だ。付与された魔法の効果の無力化、或いは変異。そのどちらかが必要になる。
「雪……」
「ん?」
「雪降らそう」
「はい?」
私が突拍子もないことを呟くと、彼女は何言ってんだコイツっていう反応をした。
「この地域一帯、少なくとも倉庫の周りに『魔法を消す魔法』を付与した雪を降らせる。雪が触れたものに付与された魔法は効果を失って、ついでに交通も麻痺する」
「……すごいこと思いつくね。ある意味テロじゃん」
「それはそう」普通に空飛べなくなったり街灯が消える可能性がある。
他に良い方法があるのかもしれないけれど、私にはこれしか思いつかなかった。
雪が降ったら綺麗だし、そんな聖夜があっても良いかもしれないとも思った。
「いいね、やってやろう。知り合いの魔法使いとか魔女も呼ぼう」
「みんなで雪を降らせて、光を灯してあげよう。魔女たちからのプレゼントということで」
聖夜、夕方。
私たちは箒に座って、作戦会議をしていた。
みんな考えることは同じで、お話に出てくるプレゼントを配るおじいさんの格好をしている。赤に白いもこもこがついた可愛らしい格好だ。正直寒い。
「今日は都合よく曇ってくれてるね。まずは『付与された魔法を無効化する魔法』を付与した雪を降らせるよ。これがお互いに干渉しあわないように組んではいる」
「雪が降ったらおそらく魔法利用の街灯は消える。光源は炎なんだけど燃料の代わりに魔法使ってるからね。だから、夜は明かりがお家から漏れるものだけになる」
「そこで、私たちが魔法を使って、夜空を彩ってあげよう。雪の効果は『ものに付与された魔法の無効化』に限るから、そうじゃなかったら少なくともしばらくは消えない。だけど、箒は使えないから、少ししんどいけど空を飛ぶなら自分の身一つで飛ぶことになるね」
集まってくれた魔法使いたちに説明をして、私たちはそれぞれ配置に着く。
私は合図として、杖先を空に向けて、一本の光線を撃った。
それは空中で広がって、ここら一体の雲全体に魔法が行き渡るはずだ。
少しして、光線が数本、同じように空に向かって放たれた。これで下準備は完了だ。予め準備しておいた魔力回復の飲み物を飲んで、次の魔法を空に撃つ態勢に入る。
深呼吸をする。
「白雪の魔女」の本領を発揮するときだ。私が私たる所以。ありったけの魔力をぶち込んで、空に向かって魔法を放つ。
「……っと」
少しふらついた。建物の屋上に座り込んで、魔力を補給する。少し辺りが寒くなった。
辺りを見渡すと、他の魔女も私と同じような魔法を撃ってくれてるみたいだった。最初の魔法を撃ち続けてくれてる人もいた。
「あ、来た」
空気が冷えてきて、雪が少しずつ、だけど確かに降り始めた。
雪を降らすことに成功して、ひとまず安心した。
少しすると、本格的に雪が降り始めた。
街灯に触れるようになってきたのか、一つの街灯の灯りが消えた。こちらも成功なようだった。少し離れたところから、やったーと喜ぶ声が聞こえた。
ここからが第二フェーズだ。
さっきまでは集まった大半が何らかの建物の屋上にいたけど、その中の半数以上はそこから降りて、落下する人がいないかとか、雪が積もるようにと路面を冷やしたりする。屋上に残る組は、付与魔法解除の効果が切れないように定期的に空に魔法を放つ係だ。
私はというと、一際強い冷気を空中広範囲に広げるために、特大の魔法を組んでいた。白雪の魔女の異名にこれ以上なく相応しい魔法だ。
限界まで溜めてから、私はそれを打ち上げる。
軌跡には白い靄が発生して、氷の粒まで落ちてきた。
一瞬、雲の隙間から水色の光が漏れて、消えた。私は「よし」と呟いて、その場に寝っ転がった。
この久々にする誰かのための無償の魔法は、とても満足度の高いものだった。
しばらく寝転がって雪を眺めていると、屋上の扉がガチャっと開いた。
「来たか」と私は呟いて、起き上がる。そこには案の定、数日前に私と女の子に向かって魔法を撃ってきた男が立っていた。
「何をしているんだ?」
「そっくりそちらにお返しするね。何をしに来たの?」
私はゆっくりと立ち上がりながら、そう返した。
目の前の男にとやかく言われることをしているつもりは無い。だって、ただ雪を降らせているだけだから。
「この雪を止めろ」
「嫌だよ。なんで?聖夜に雪って、素敵じゃん」
男は言葉に詰まった。私は続ける。
「言えない理由なの?まあ、何言われても止めないけどね」
「クソったれ!」
「語彙力ないね。無理矢理止める?」
私がそうやって煽ってあげると、彼は杖を私に向けて早速攻撃を仕掛けて来た。
私は横に跳んでそれを回避する。それと同時に、建物の下が明るくなった。
第三フェーズの開始だった。
雪が安定したら、コスプレをした魔法使いが空を飛んで、灯りを降らす。
なんとも幻想的な風景で、子どもたちがはしゃぐ声も聞こえてくる。
私は私で、舞踏会を始めよう。
私はステップを踏んで、氷柱を男に向かって飛ばす。そして、着地と同時に身体を捻って、冷却水のビームを薙ぎ払う。男は避けるのが精一杯らしかった。
一対一の正面戦闘は私の領域だ。この舞台は私が支配する。魔女を舐めてはいけない。
私は右足で地面を強く踏んだ。足元から、男の立つ位置に向かって段々と床が凍り付いていく。彼はやっとの思いで杖を構えたようだったけど、転んであらぬ方向に魔法が放たれた。
私は完全に主導権を握ることに成功した。かつて目の前にいた彼はなんだったのかと思うほどに、戦いは一方的だった。決して彼は弱くはない。むしろ強いはずだ。
「相手は魔女だよ?それを忘れないでもらって」
私はそう言って、杖の先でとんと地面を叩いた。
「悪いね」
そして、地面から氷の蔦が生えてきて、無様に転んで起き上がろうとしている男を拘束した。念には念をで杖も奪っておく。
私の圧勝だった。
それから少しして、不在の魔女が屋上まで私に報告に来た。
「知り合いと一緒に街を徘徊していた敵は不意打ちで拘束してきたよー。身分を調べたけど、予想通り別の地域の奴らだった。荷物も調べたけど、かかってた魔法は『開けると同時に爆発する』ようにセッティングされたものだったね」
「なるほどね。阻止できたようで何より」
「街の人たちは私たちからのプレゼントを喜んでくれているよ。サプライズは成功らしい」
そこまで話すと、街の警察がすごい渋い顔で屋上に上がって来た。私はにこっと笑って、ぐるぐる巻きにされてる男を指さしてあげた。
私の顔をみて納得したのか、軽く溜息を吐いて、警察さんは男を取り囲んだ。私はなんだと思われているのだろうか。
私たちは屋上から飛び降りて、街の様子を眺めた。
白い雪と淡く黄色く光る魔法の球が、ふわふわと宙を舞っている。
子供たちは雪で遊んだり、コスプレをした魔女の周りではしゃいだりしている。プレゼントも届き始めたのか、おもちゃで遊んでいる子もいた。
少し辺りを見渡すと、依頼人さんが壁にもたれて子供たちの様子を眺めていた。私を見つけると、私の格好に苦笑して、そして頷いた。依頼達成の瞬間だった。
小金貨三枚の着手金から始まり、街で起きた揉め事とその裏にいたテロ集団との戦闘。そして、今夜の魔女たちによる盛大なサプライズ計画。とても濃い数日間で、依頼達成の満足感もひとしおだった。
普段はやることに応じた報酬を貰おうとするけれど、今夜のサプライズの報酬はきっと、この子供たちの笑顔なんだろうなと思った。私は子供たちに夢を届けることができた。この喜びを、忘れることは無いと思う。
たまにはこんなことも悪くないなと、そう思った。
白雪の魔女 夜桜月乃 @tkn_yzkr
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