2025年12月31日

夜23時50分。

特に意味はないが、なんとなく年が明けてから就寝したくて、毎年無駄に起きてしまう。

そして、特にお腹が減っているわけではないのに、饂飩を食べてしまう。


饂飩をずるずるすすっていると、除夜の鐘の音が聞こえ始めた。

近くに寺があるので、窓を閉めていても、音がよく聞こえる。


と、その時突然、に変化が起きた。


鐘の音が一つ聞こえるたびに、ぐにょんぐにょんと形を変える。

わたしにはが苦しんでいるように見えた。


なんとかしてやりたいが、成す術がない。

ぬこも心配そうに見ていた。


やがて、が窓に向かって体当たりし始めたので、外の空気が欲しいのかと窓を開けた。


そると、まだ開け切らないその隙間からはするりと外に飛び出し、ベランダから飛び降りた。


慌ててベランダから下を覗いたが、もう、は居なかった。




ぬこが、を呼ぶように鳴いた。

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