追放聖女はキャンピングカーで気ままに異世界を旅する
茨木野
第1話 私、異世界召喚されました
私の名前は【
否、OLだった者だ。
過酷な労働に耐えきれず入院→こんな生活続けてたら死ぬと医者に言われる→会社辞める。
という三連コンボをかましてきた。ついでに退職金と会社からの慰謝料(パワハラセクハラしてきた上司を訴えて勝ち取った)を全額使って、キャンピングカーを買った。
ちょっと毎日激務が続いたから、久々にキャンプでもと思ったのである。
私、長野出身で、小さい頃からお父さん(故人)にキャンプ連れてってもらってたんだよね。
大金も手に入ったし、キャンピングカーもゲットしたし、いざ故郷へ……! と高速道路に乗った途端……。
「聖女召喚に成功したぞ……!」
……気付けば、私は見知らぬ場所に居た。
見るからに中世ファンタジー風の王宮にいらっしゃるんですが……。
え、え、なにこれ……?
「聖女が召喚されたかっ?」
バンッ! と部屋の扉が開くと、これまたザ・王子サマって感じの金髪イケメンが入ってきた。
聖女……? しかも王子様? なにそれ。
というか、私の可愛いキャンピー(キャンピングカーの名前)は……?
「おお、美しき聖女よ。突然異世界に招いてしまってすまない……」
と王子様が私……ではなく、
「え、え、どういうことですかぁ~?」
……いかにもザ・女子高生って感じの女の子の前に、跪いていた。
え、君……誰……?
困惑するJKに、王子様が軽く説明する。
「今、この世界では魔王が復活し、危機を迎えているのだ。その危機を脱するため、いにしえより伝わる【聖女召喚の儀式】を行い、救国の聖女を呼び出したというわけだ……」
「ふぇ~……。きらりんをですかぁ~……」
きらりん……? ああ、愛称か。
「救国の聖女よ、名前を」
「あたしはぁ~。【
き、きらりんって……。煌めく海って書いてきらりんって……。まじか……。名前だったのか。最近の子の名前ってすご……。
「でぇ~……オバサンは?」
おば……オバサン? もしかして私のこと?
「あ、えっと……乗鞍 澄子、よ」
「へー……。澄子オバサンも聖女なん~?」
世の多くの女性達を敵に回したぞ……。
まあ、いい。
私も気になっていたところだ。
「おい、どうなんだ?」
と王子様が近くに控えていた、魔法使いのローブを羽織った男に話しかける。
「聖女召喚の儀式によって呼び出される聖女は1名であります。二人いるということはあり得ない。考えられる可能性としては、召喚に巻き込まれた一般人、でしょうな」
「巻き込まれた……?」
「はい。文献によると、召喚の魔法陣が現れた際に、近くに居てそれを踏んでしまったものを、呼び出してしまったという事例が過去あるようです」
なるほど……。つまり。
「澄子オバサンは、きらりんの召喚に巻き込まれちゃった系オバサンってわけですね~☆ かわいそ~☆」
一ミリもかわいそうに思ってなさそー。
「なるほど。たしかに、聖女は若く美しい者だと相場が決まっている。で、あればきらりんが聖女に決まっている」
「あ、えっと……ええ~……私も聖女の可能性があるじゃあないですか」
「ならば、おい、ステータス鑑定を行え」
と、魔法使いに王子様が言う。ステータスを……鑑定?
なんだそれ。
「聖女であるなら聖女スキルが備わってるはずだ」
「はぁ……」
魔法使いが右手を私に向けて、「鑑定魔法」と唱える。
私の目の前に、半透明の板が現れる。え、ちょ……私の許可は?
~~~~~~
【名前】乗鞍
【種族】人間
【レベル】1
【HP】100
【MP】100
【攻撃】10
【防御】10
【知性】10
【素早さ】10
【スキル】
【隠しスキル】野外活動聖女、
~~~~~~
「きゃんぴんぐかー~?」
な、ナニソレ……?
「ほれ見ろ、やはりこやつは聖女ではない。聖女スキルを持たぬではないか!」
うーん……たしかに……。って、あれ?
「そこに聖女って書いてあるけど……野外活動聖女って」
「はぁ? 何を言ってるのだ? そんなものどこにも、ステータスプレートに書いてないぞ?」
あれ……? そうなん?
でも、やっぱりスキルが
もしかして、私以外に見えていない……?
「おお、みよ! きらりん殿のステータスを!」
~~~~~~
【名前】
【種族】人間
【レベル】100
【HP】1000
【MP】1000
【攻撃】100
【防御】100
【知性】100
【素早さ】100
【スキル】聖女
~~~~~~
「これで確定だな。本物の聖女が誰か……」
たしかにきらりんは私よりレベルが高い……。それに、聖女って名前がついたスキルを持っている。
「きらりんが本物でぇ~。澄子オバサンがパチモンってことですよね~☆」
「うむ、その通りだ。そして、偽物の聖女など必要はない! 即刻出て行くがよい!」
は……?
ちょ、ええー……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます