日本だか世界だか宇宙の、昔もしくは未来ばなし「未知太郎」

Shiromfly

未知から生まれ、未知に去っていった未知太郎

 昔か現在か未来、全ての時間軸が同時に存在する未知の時空間。


 未知から生まれた未知太郎という者が居たり居なかったりしたそうな。


 それはそれは、シュレディンガーの猫も泣いて謝るほどの不確定ぶりじゃった。


 市町村のいずれか、もしくは郡か郷か、或いは国に住む、ヒトかどうかも曖昧な概念上の住民たちは、何一つその存在を定義づける確証のない未知太郎の未知ぶりに、いったいどんな思いを浮かべればいいのか、未知じゃった。


 未知太郎はおじいさんとおばあさんに育てられておったらしいが、何故ふたりの元で暮らしておるのかも未知じゃった。


 成長し、突然家を出ていくと言った理由も未知。

 何処に行ったのか、皆目見当もつかん。

 その後どうなったのかもわからん。


 人々は、未知太郎とは何者だったのかを、噂しあった。


 しかしその話は、話題に出てしまった時点で未知ではなく既知になってしまい、つまり既知太郎なので、 結局のところ未知太郎は、誰も想像すらできない、究極の未知に至りつつあるのであろうという仮説が立てられた。


 めでたしいのかどうかは、観測されるまで結実しないのだ。

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