ぼくのミッスィ

真野魚尾

Missil'-ingchketek-tir...my f(r)iend.

 台風が去った朝、ベランダの柵に未知の生命体が引っかかってたんだ。

 ぼくは「彼」をワンルームに招き入れて、言われたとおりグラス一杯の塩水を作ってもてなしたんだ。




 名前を聞いたら、「彼」はちゃんと答えてくれたよ。

 文字で表すと「Milsil-hi-ingchuketeko-tiri」だけど、音便化すれば「Missil'-ingchketek-tir」になるらしいよ。


 日本語の発音に近づけると「ミッスィリーンッケテㇰティㇽ」ってところかな。

 意味は「こんとんをよびさますもの」だってさ。


 どっちにしても言いにくいので「ミッスィ」って呼ぶことにしたよ。




 ミッスィは手足がいっぱいあって、ドドメ色をしたつぶらなお目々がキュートだし、ひんやりヌメヌメしてて触ると気持ちがいいんだ。


 オッサンの断末魔みたいな鳴き声もすごく可愛いよ! 二日に一回は近所から苦情が来るのはご愛嬌さ!




 ミッスィは宇宙の彼方から、地球侵略の前調査のためにやって来たんだって。


 でも、本隊が到着するのは二十万年後らしいし、別にいいかなと思って、ぼくん家に居候させたよ!

 ぼく自身、限界フリーターで明日をも知れない身なのに、未来のことなんて知ったこっちゃないからね!




 ミッスィは不思議な力の持ち主さ。


 「眼精疲労を治して」って頼んだら、男性機能を回復させてくれたよ!

 「不老不死にして」って頼んだら、ふろふき大根を錬成してくれたよ!

 「それよりおそば食べようよ」って言ったら、卒塔婆食べてたよ!


 そんなおっちょこちょいなところが、とっても愛おしいんだ。




 ぼくのミッスィ……ずっとずっと友だちだよ……!




〈完〉

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ぼくのミッスィ 真野魚尾 @mano_uwowo

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