街中でファイアーボール撃ったらあかんことくらい、逢坂じゃ常識やで―魔法裁判傍聴女子ほのか
学習書房格物堂
第1話 火球誤爆があかんことくらい、逢坂じゃ常識やで
朝イチの逢坂地方裁判所・第3法廷。
わたし、浪速ほのか(19)。
予備校サボって今日も魔法裁判の傍聴に来てます。
だって人間ドラマの最高峰やん?裁判て。
で、今日の事件はこれや。
⸻
〈事件名〉
「街中火球(ファイアボール)誤爆事件」
被告:逢坂市在住・魔術学生(20)
罪状:乙2類・無免許行使、および器物損壊
⸻
ほのか(心の声)
いや火球の誤爆があかんことくらい、逢坂じゃ常識やで……
だって乙2(攻撃魔法・単体)って、
免許持ってへんと絶対撃ったらアカンやつやし。
裁判長「では、被告。あなたは“軽い魔法のつもりだった”と述べていますが?」
被告「はい……小さめの火花でも出せたらカッコいいかなと……」
傍聴席(ザワッ)
ほのか(心の声)
いやいやいや、小さめでも火は火やぞ!
火ぃは裏切らへんねん、物理的にな!!
検察魔術師が静かに立ち上がる。
検察「被告は“火球”を発動しようとし、
発動失敗により店ののぼりを焼損させています。
これは“誤爆”ではなく“無免許行使”です。」
ほのか(心の声)
はい論破ァ!!(拍手したら怒られる)
弁護士「しかし被告人は反省しており――」
裁判長「まず、あなた乙2持ってないでしょ?」
被告「……はい」
裁判長「じゃあ撃ったらアカンがな」
ほのか(心の声)
そうやねん。それやねん。
今日いちばん大事なん、それやねん。
そして裁判は淡々と進んでいく。
ほのかはメモ帳にこう書いた。
『火球誤爆:やっぱりアカン』
いや、知ってたけどな。
街中でファイアーボール撃ったらあかんことくらい、逢坂じゃ常識やで―魔法裁判傍聴女子ほのか 学習書房格物堂 @Suduke_Umeboshi
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