第1話 地球の果て
ゴオオオォォォ!!
猛吹雪の中、顔面もすっぽりと耳当てとフードで覆い、ゴーグルをして歩く3人の人影。
カトレア「雪……ああ、あの不朽の名作を思い出しますね。たい焼きを頬張りながら“うぐぅ”って言いたくなります」
***
ーー1週間前。
亜音「南極ぅ!?」
先輩「そうだよん♪地球上で最後の
マナを目覚めさせるために悪魔召喚をする必要がある。それに最も適した場所が、まさかの南極大陸だと。
北米での戦いとスカイツリーの狙撃から2週間後。ロイズとユーレカは遠回りながらも、南米に着陸させた月光で。他のみんなは伊405号で日本に帰ってきた。
綾音「今年の有給休暇、全部使っちゃったわ〜」
イライザ「その間、1人で仕事をしていたボクの身にもなってくれ……」
みんな元気だ。ただ1人、マナだけを除いて。
マナは今まで彼女が使っていた寝室のベッドに横になっている。
カティー曰く“
彼女は一度死んだのだが、私から抜け出した神魔が体内に侵入し、神魔は自らが生き延びるために器であるマナの肉体を生かしている。その為、今は動かないだけで生きている。
心臓も呼吸も脈も停止しているが、体温は暖かく髪の毛も延びる。つまり、停まっているだけで生きている。
それを聞いた時、「動き出せボケ!」と言って顔をひっぱたいたが、じんわりと私の手形が赤く浮かび上がっただけで目は醒まさなかった。
マナを目覚めさせる方法はたった1つ。体内の神魔を復活させたあと、その上からマナ自身が乗っ取り戻す、という荒業だ。
先輩は「マナなら大丈夫さ〜♪」と言っているので、多分大丈夫なんだろう。だが神魔を目覚めさせるにはきちんとした儀式をしかるべき場所で執り行う必要がある。
そこは……
この地球上に残された最後の聖地、南極大陸。
亜音「分かった。じゃあ次は人選よね。私は絶対に行くわよ。元はと言えば私が悪かったんだし、それにマナは私の親友」
久音「と言うことは私も絶対に行きますよ。私は亜音さんのお姉ちゃんですからぁ~」
カトレア「私もですね。召喚儀式や宗教学に1番精通していますし、儀式に適した場所を探すのにも千里眼の力は必要なはずです……」
と、そこでカティーは顔を赤くした。
カトレア「精通って……」
亜音「やめなさい!」
ジル「それでしたら、当然私もお供致します」
カティーがジッとジルを見て言った。
カトレア「ジルは残ってください。この日本で大事な仕事があるはずです」
ジル「え……仕事とは……」
カトレア「7月の幕張メッセですよ」
ジル「……ワン……フェス」
カトレア「私の分まで楽しんできてくださいね。お土産、期待していますから」
グッと親指を立てるカティー。
ジル「カトレアさまぁ〜〜!!」
ジルは号泣しているが、その涙がロクでもないことだという事は分かる。
そうして、月光には姉さんとカティーと私が搭乗する事になった。マナは120kg爆弾の格納室にでも入れておこう。
***
出発の朝、羽田空港の格納庫内でカティーがメモ帳をジルに渡していた。ワンフェスとやらのお買物メモらしい。
カトレア「事前に公表されている情報からリストアップしました。後は当日の会場で、ジルのセンスに任せますからね!それと、新作ゲームやフィギュアの記録もしっかり撮ってきて下さいね。もちろん、撮影禁止のものは絶対にやめて、徹夜組なんてこともしてはいけませんよ!」
ジル「承知いたしました。このジルめ、命に代えましてもカトレア様に最上の笑顔を送れるよう、頑張って参ります」
カトレア「それと、声優様たちのラジオの公開録音、楽しんできて……ください…ね」
カティーまで泣き出した。
聖女とアサシンが、2人ともガチオタにジョブチェンジしている。
操縦席ではプリッチをポリポリ食べながら「ローストバターもいいですけど、やっぱりサラダが落ち着きますぅ」と独り言を言っている、姉のポンコツスナイパー。
副操縦席の私が人として1番普通なのではなかろうか?まあ、親友を爆弾格納室に入れたのはなかなかイカれているかもしれないけど。
ポンコツスナイパー、ミリオタJK、エロオタ聖女が乗る旧日本軍機“月光”。朝陽を浴びながら南極大陸を目指して滑走路を移動する。心の中で月光に『こんなメンツでゴメン』と謝った。
ミリオタJKとポンコツスナイパーⅣ 〜聖女と悪魔召喚編〜 アルミ@(あるみあっと) @arumi-at
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