[Jiten Saiteigi] Taiyōshin, Hikikomori nagara Sekai o Kaihen Suru

神話系小説を書くのが好きで、高遠夜霧が嫌

始まり

### 第1章:始まり


大和・シロウという名前は、確かにその持ち主にはあまりにも壮大すぎる名前だった。彼はただの疲れ果てた魂、三十歳を過ぎたサラリーマンで、目の下に隈ができ、忙しい仕事の時間乱用によってやせ細った体躯を持っていた。冷めたコーヒーの匂いや、ちらつく蛍光灯の光に慣れきっていたようだったが、この部屋に染みつくカビ臭く、腐敗したような死臭に満ちた空間の匂いには、決して準備などできていなかった。


それは、古い人生が消え去る瞬間だった。


本来ならデスクでうつらうつらと眠りに落ちるはずのその一瞬に、大和は通常の頭痛の限界を超えためまいを感じた。オフィス内で一筋の光が閃き、そしてぷつりと消えた。今はもうオフィスにいない。彼はここに立っている——物理法則がまるで目に見えない手によって歪められた空間の真ん中に。


空には太陽がない。ただ病的な灰色が広がるだけで、錆びたような色合いがゆっくりと蠢いている。周囲の木々は骨ばった構造物で、歪んだ乱れた形の枝葉が黒く煤け、一枚の葉もなく、細い指のように冷たい空に向かって伸びている。


周囲の空気は次第に濃密になり、凍るように冷たく、硫黄と死臭の吐き気を催す臭いを運んでくる。これは悪夢から生まれた土地、すべての希望が徐々に吸い尽くされていく場所だ。


純粋で原始的な恐怖、死の不条理に直面した時のぞわぞわとした感覚が襲いかかり、大和は膝をついた。彼はただの弱い男で、今は罰のようなものに投げ込まれ、周囲を呆然と見回している。


「俺は死んだのか? それとも狂ったのか? どうして……ここはどこだ……どんな鬼畜な世界だよ!?」


目の前に、青みがかったぼんやりとしたインターフェースが現れた。砕け散ったガラスのように細かく分割されたパネルで、これまで見たことのない新しい法則によって支配された世界の残酷な真実を証明するものだ。彼は上のボタンを押した。


<ステータス情報>

名前:大和・影平(Yamato Kagehira)

識別:召喚されし者(影平)

レベル:1

身体:疲労

精神:パニック

スキル:

(唯一)<魂の殲滅>


「<魂の殲滅>?」


一体何だよこれ? 超自然的に聞こえて恐ろしいスキルだが、大和はよくわかっていた。これだけに頼っても生き残れない。当然、力と責任は自分で積み上げていくものだ。ここには何の優遇もない。彼は少しずつ成長していくしかない。


忌まわしい笛のような音、死の空間を裂く音が響いた。描写できるとしたら歩く骸骨としか言いようのない生物——身長二メートルを超え、燃えるような赤い目をしたものが、前方の黒い茂みから飛び出してきた。


「いや! ありえない! 今すぐ死ぬわけにはいかない!」


その生死の瞬間、無形の命令、古のメッセージが大和の頭に響き、恐怖の叫びをかき消した。


「この時流から追放されし者よ、汝は諸層を進み、伝説の永遠の王国・高天原(Takamagahara)に至らねばならない。そこにのみ、神話の太陽を統べる至高の支配者ソレイル(???)の加護の下、生き延びる道がある。汝はまだその御許に会う資格なし。前進せよ! 生き延びよ!」


高天原……至高の神々が住まう場所。大和にとって、それは絶望の嵐の中の遠い灯台だった。


あの怪物はすでにすぐそこまで迫り、日増しに近づいている。死の圧力の下、大和の精神のパニックは長くは続かなかった。意志の火花、決意が徐々に燃え上がり、疲れ果てた魂の中で爆発した。彼はこの無名の終わりを受け入れるつもりはなかった。


「俺……俺はどんな手段を使っても生きる!」


彼は歯を食いしばった。


絶望的に手を振り上げ、怪物に向かった。


<スキル発動>


派手な光もなく、大爆音もなく、ただ無形の振動波が青黒く溢れ出した。怪物は突然止まり、まるで無形の糸が切断されたかのように——その魂そのものが断ち切られたかのように。燃える赤い目はぷつりと消え、崩れ落ちて黒い砂塵に変わった。


<PING> (1EXP)


「効いた……効いたぞ。この力……本当に恐ろしい。」


大和は震えながら立ち上がり、息を荒げた。彼はインターフェースを再確認した。レベルと身体は変わっていない。しかし精神の欄で「パニック」が置き換わっていた:


<精神>:均衡(生存の意志とともに)


この旅は、本当に始まったばかりだ。大和・影平、サラリーマンだった男は、苛烈な世界に召喚され、超自然的な異様な殺戮の能力を携えて。彼はただ自分の決意だけを頼りに、一歩ずつ伝説の物語へと進んでいくしかない。

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