「実績の水増し行為」などの「業界の闇」について

ハニーシロップ

「実績の水増し行為」などの「業界の闇」について

 私がカクヨムに投稿した小説『電脳の歌姫は、死してなお告発する。――警視庁捜査一課・赤城宗介の非公式捜査』では、VTuber業界の闇を描いています。


 この作品を執筆するきっかけになったのは、某大手VTuber事務所で主力ライバーが短い期間に次々と不可解な卒業をしたことでした。


 前述した小説はフィクション作品であり、闇の暗殺者のくだりなどは完全に虚構ではあるのですが、「実績の水増し行為」などの「業界の闇」については、虚構作品内に限らず、現実にも存在しています。


 VTuber業界における、自動化ツールや、宗教団体などの「仲間」を使った各種数字の水増し。

 それらは、出版業界や音楽業界など他のエンタメ業界でも、「仲間」を使って売り上げの数字を水増しすることがあり、「根は一緒」だと考えています。

 政治勢力との繋がりに関してもそうですね。

 実際に政治活動をしている作家を数え上げればキリがない。

 それらの作家が裏でどのような組織と繋がっているのか……今の時代、少し調べれば簡単に判明します。


 ライトノベル系など、人気の高い出版社の新人賞では、応募作品は数千や万を超えるため、下読みは膨大な数の作品を読み続けなければなりません。

 そのため、下読みはたとえその応募作品が傑作であろうが、まともに読みもせずに落とし、挙句の果てには応募作品のネタを自分の作品に平然と剽窃することもあります。


 下読みは売れない作家が務めていることもよくあります。

 売れない作家にとっては、応募作品の中の埋もれた傑作のネタが自分にとっての「金の卵」になることがあるからこそ、剽窃という悪の行為に手を染めてしまうことがあります。


 京アニの放火事件でも、作家志望者のネタを剽窃したことが作家志望者の怒りを買い、放火事件に繋がったと言われています。

 こちらは作家志望者の放言や勘違いという可能性もなくはないかもしれませんが、当作品で描いたように、ネットなどで「真実をゆがめる情報操作」が行われた可能性も捨てきれません。


 作家志望者が作品のネタを盗作されたからといって、復讐のために「人を殺す」という手段に出ることは、決して許されることではありませんが、それだけ深い憎悪の炎を作家志望者の心に灯すことになることは確かです。

 そうした盗作行為を平然と行っていた、出版業界を含むエンタメ業界の果てしない闇。

 そうした闇についても、いつかは完全に是正したいものです。


 そうした「業界の闇」は、今回取り上げたVTuber業界に限らず、様々な業界に存在していることは決して否定できません。


 当のカクヨムにおいても、投稿作品数があまりにも膨大で、傑作でも平気で埋もれる状況にあります。

 Web小説投稿サイトでは、「異世界ファンタジー」や「ラブコメ」、「溺愛」など、受けるジャンルと受けないジャンルが明確に分かれているため、作家として評価されたい作家志望者はどうしても受けるジャンルに執筆する作品が偏りがちです。

 そうしたジャンルですら、作品数があまりにも膨大すぎて傑作が平気で埋もれることがあるのに、受けないジャンルとなると、そこは荒野の砂漠と何ら変わらないかもしれません。

 マンガ化やアニメ化される作品が受けるジャンルばかりに隔たっている現状も、商業主義の弊害とも言えますが、「売れなければビジネスとして成立しない」のがエンタメ業界の宿命のため、仕方のない部分もたしかにあります。

 しかし、それにしても、あまりにも特定のジャンルに隔たり過ぎているところは否めません。


 この状況で、カクヨムコンテストの読者選考を突破するには、「仲間同士での相互評価」などの不正行為を用いて作品の評価を上げていき、数字を伸ばしていく「努力」が必要不可欠なのかもしれません。

 あるいは、それこそ当作品で描いたように、自動化ツールを用いて、AIで自分の作品に対して他人を装って高評価レビューを量産することも、今の時代なら簡単にできます。


 それでも、一般の新人賞でハズレ下読みに当たって傑作を落とされるくらいなら、不正行為に手を染めてでもカクヨムコンテストに作家デビューするための勝機を見出そうとする人たちが存在することは、ある意味仕方のないことなのかもしれません。


 カクヨムコンテストの読者選考で突破できなくても、ピックアップで突破できる可能性はあるかもしれませんが、それは、従来型の下読み選考と何ら変わらず、前述したように、まともに読みもせずに落とす可能性があります。

 新人賞を突破して作家デビューした、才能があると認められたはずの作家でも、下読みの際には膨大な作品を読むために相当なスピードで読み飛ばす必要に迫られ、ストーリーの筋をまともに追えていない人が実際に存在するからです。

 小説を書くのは得意でも、読むのは苦手だったり、そもそも他人の小説を読むことに興味がない人も普通にいるわけです。


 しかし、そうした状況を野放しにしておけば、業界自体が衰退していくのは当然のこと。

 不正行為で数字を伸ばす人が劇的に増えることは、そのぶん、不正に手を染めずにまともに努力している人が埋没し、浮かばれない結果に繋がってしまうからです。


 優秀な作家が埋もれ、不正に手を染める作家ばかりが伸びていけば、業界は当然沈んでいく。

 そうした状況を覆す「力」を持っていない、それが、今の出版業界の「残念な現状」なのかもしれません。


 業界を取り巻くそうした「現実」を作家志望者が知れば、作家志望者が匙を投げ、出版業界から離れていくのも当然です。

 それは、カクヨムのさらなる過疎化にも繋がっていくかもしれません。


 そうした点を、カクヨムの運営企業であるKADOKAWAは、どのように考えているのでしょうか。


 こうした状況はKADOKAWAも当然把握しており、だからこそ、今回のカクヨムコンテスト11では、前回よりピックアップ枠を増やす対応をしました。

 しかし、これでも、膨大な作品数の中から本当の傑作を見出すにはまだまだ努力が足りていないのかもしれません。


 それこそ、AIを使用して、傑作を「簡単に偽装可能な数字」ではなく「実際の小説の中身」から機械的に見出すシステムを開発することも、将来的には十分検討に値することなのかもしれませんね。


 とはいえ、本当に才能のある人は、たとえカクヨムコンテストでは膨大な作品群に埋もれて落選したとしても、同人活動や自費出版などの活動が出版社の人間に注目されて、スカウトに近い形など、新人賞とは別の形で出版社に見いだされ、別の出版社からデビューする可能性も十分にあります。


 作家志望者が、過疎化が進む出版業界ではなく、時代の最先端を走り続けるVTuber業界など、別のエンタメの業界に新たな夢を見出すこともあるでしょう。

 現に、元々漫画家として活動していた人がVTuberに転身して人気になった例もあります。


 夢を追いかける人の、「夢を追いかける気持ち」そのものを私は否定するつもりはいっさいなく、心の底から応援したい。

 だからこそ、日の目を見ない業界で暗澹とした日々を送るよりも、きちんと日の目を見る業界に進んで欲しい。

 私はそう考えています。


 VTuber業界に「新たな希望」を見出す人が増えている状況だからこそ、VTuber業界には、闇を払拭し、夢を持った人が安心して活動していける業界になっていって欲しい。

 そうした「想い」も込めて、この文章、そして、『電脳の歌姫は、死してなお告発する。――警視庁捜査一課・赤城宗介の非公式捜査』という小説を書きあげました。


 エンタメ業界全体が、「人々の夢を食い物にし、人の心を土足で踏みにじる」業界ではなく、「人々が心の底から満面の笑顔で活動していける、笑顔のあふれる」業界に変わっていって欲しいですね。

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