お祈りメールと就活
「朝か……」
眠い目を擦りながらカーテンを開けると、登校中の学生や全力ダッシュのサラリーマン、主婦数人の井戸端会議と見慣れた光景。空は雲一つない気持ちのいい快晴だった。
「今日も素晴らしい快晴だよ……ほんと良いことあればなぁ」
顔を洗いご飯を食べ、日課であるメールチェックを行う。
「何社か通ってればなぁ……」
いくつもの求人サイトに登録し、興味があるものには応募する様にしている。
返信メールがある事に安堵しつつ、不安と少しの期待を込めてメールを開く。
月見里竜様
ご応募ありがとうございます。残念ながら不採用とさせていただきます。今後の活躍をお祈りしております。
お祈りしております。お祈りしております。お祈りしております。お祈りしております。お祈りしております。お祈りしております。お祈りしております。お祈りしております。
「祈ってばっかじゃねぇか!どんだけ神様いるんだよ!」
開くメール全てが不採用通知のメール、通称お祈りメール。
期待してなかったけど、やっぱ凹むよなぁ……
気晴らしに外に出ると、もう一つの日課である図書館へと向かう。
食の歴史、雑学、農業や便利グッズの仕組みなど図書館の本をジャンル問わずくまなく読む。
これが金がない俺の唯一の娯楽だ。
しばらくすると、スマホがバイトの時間を知らせる。
バイトから帰り、もう一度メールをチェックしてみる。
月見里竜様
今回はご応募頂き誠にありがとうございます。是非ともあなた様と会ってお話を聞く機会を頂きたく、今回メールを致しました。
またお会いするにあたり、先にアンケートにお答え頂きたいと思います。宜しくお願い致します。
ノワル玩具店 ヴェルト・エイレス
「久々に通過だっ!」
通過メールにガッツポーズしつつ、アンケートに回答していく。
アンケートは最初はよくあるものだった。
長所と短所、趣味などからはじまり、住み込みはどうかといった質問が続く。
しかしどんどん質問の意図が分からなくなってくる。
剣や魔法に興味はありますか?エルフや獣人は好きですか?といった謎の質問が出てくる。
「何この質問……おもちゃをやってるからか?」
アンケートに困惑しつつ、何かしら考えがあるのだと自分に言い聞かせた。
「まぁほんとにヤバかったら、辞退するか」
全て質問に答え送信し、久しぶりに心地良く眠る事ができた。
異世界玩具店 〜お祈りメールばかりですがやっと決まった就職先は異世界でした〜 豆すけ @si-yun
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。異世界玩具店 〜お祈りメールばかりですがやっと決まった就職先は異世界でした〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます