生成AI比較

ono

前提

複数のチャットAIに同一のプロンプトで短編小説を書いてもらう。展開や文体を指定せずに短い指示でどこに個性を出してくるのか。

今まで使ったうえで私が持っている各AIの印象。

Claude:小説を書いてもらうのに向いている。AIの中では比較的まともに心理描写っぽいことをする。

ChatGPT:削ぎ落しは上手。極端に短いとも言う。構造オタク的に展開の好みは合いやすい。

Grok:日本語化するのを忘れて出力しがち。Xを背景にしているだけあって作る人物像が自然。

Gemini:読み応えのある文章を書くのは得意だが、どうしても小説ではなく説明書になる。

いずれにせよ自分でプロットを出さなければ面白いと思える話は書いてくれない。


普段は口を酸っぱくして「物語内論理を破るな」、「登場人物の動機・目的・記憶を一貫させろ」、「結末に到るまでに矛盾が生じないよう細部の描写にも注意を払って」、「積層的に関係性を展開させろ」、「出来事の因果関係を重視して」、「説明的な語りを避けて」、「showingの手法を重視」、「内部焦点化を通じて知覚と行動を感覚的に描くこと」など細かく指示して無残に玉砕するのを全部吞み込んで、今回のプロンプトは超シンプル。

【「婚約破棄」をテーマに、日本語約4000字の小説を執筆してください。物語には起伏のある展開を持たせながら、余韻が残る静かな結末とします。】


ジャンルを絞って「空想科学」、「ディストピア」みたいに婚約破棄と別方向のテーマを一緒に示そうかと思ったが、今回はシンプルに比較したかったのであえて婚約破棄だけでいく。

結果としては、ジャンルを指定しなかったので全AIが現代もので出力してきた。婚約という行為自体がすでに相当「現代的」ではないからこそ人間だったら物語の整合性のためにファンタジーを舞台に選ぶが、AIは「婚約破棄、婚姻制度が題材だから現実的なお話」になる模様。論理が違う場所にある。

「ライトノベルを執筆してください」と言ったら舞台設定が自由でも中世ヨーロッパ風のいわゆる「婚約を破棄する!」系になったかもしれない。

AIに現代ものを書かせるとリアリティの欠如が浮き彫りになるから苦手だ。じゃあファンタジーなら面白いものを書いてくれるかというとそういうわけでもない。


1000字~2000字程度の掌編で書いてほしかったので日本語約4000字指定。AIは基本的に「日本語〇文字」の指定に従ってくれない。おそらく文字数とバイト数と語数の認識が混濁しているせい。日本語で文字を書いているのではないから。

英語で書かせて翻訳するなどいろいろ対処方法はあるが、めんどうくさいのでいつも狙いの2倍強で指定する。どうせAI生成の物語自体を楽しむわけではないから手を抜いていいところ。

余韻については端から期待していなかった。どうせ「それでも前を向いて」とか「婚約破棄も一つの幸せである」とか分かりやすい希望と成長を説明されて終わる。起伏のある展開をどう捉えるのかな。


創作論や批評文ではなく、あくまでも文章の感想とツッコミ。

「生成AIの是非」や「人間の役割」や「AIが何をもたらすのか」には一切興味がない。

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