小杉なんぎんの短編小説【本当に謎の女】

小杉なんぎん

第1話

カウンターバーに一人の女が入って来た。席に着くと、マスターの顔を見てニコリと笑い、すぐに立ち上がると、何も注文せず何も飲まずにそのまま店を出て行った。何か急用を思い出しのか、ぐらいに考えていたマスターだったが、次の日もその女がやって来て、同じように、席に着き、マスターの顔を見てニコリと笑い、すぐに立ち上がり、何も注文せず何も飲まずにそのまま店を出て行った。バーテンダー歴の長いマスターだったが、さすがにこんな客は見たことがない。今度来たら、どうしてそんなことをするのか訊いてやろう、と手ぐすね引いて待っていたマスターだったが、残念ながら、その女は二度と現れなかった。

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小杉なんぎんの短編小説【本当に謎の女】 小杉なんぎん @nangin-27-27

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