花言葉
あーるくん
第1話
今日はいつものように学校へ行く。
「だりー、なんか異様に課題多かったし。」
俺は鈴木雷、高校三年生。
受験生と言うのもあり毎日課題に追われていた。
俺は通信制だから登校時間もバラバラだった。
そしていつも昼に行っていた。
数分後、電車が来てその電車に乗った。
昼だからか人は数えれるほど少なかった。
でも一人制服を着た綺麗な女の子が座っていて俺はその人に一目惚れをしてしまった。
女の子は茶色の髪に顔も整っていて美人だった。
でも一つ不思議なことがあった。
その女の子は一輪の花を持っていた。
それは「クチナシ」と言う花だった。
俺は花が好きでほぼ全種類の花の名前と花言葉を知っていた
クチナシの花言葉は「とても幸せです。」や主にポジティブな意味があると聞いたことがある。
何かいい事でもあったのかなと思い、その日あったことは寝る時にはもう忘れていた。
俺はいつものように電車を待った。
今日は部活で仲良くなった女の子と一緒に登校する約束をしていたので女の子と一緒に電車に乗った。
電車の中には昨日と同じ席に座っている花を持った彼女がいた。
今日手に持っていた花は「アネモネ」の花だった。
アネモネの花言葉は「恋の苦しみ」や恋愛に関する花言葉がある。
今日も花を持ってる...好きなのかな。そう思った。
彼女は俺が降りる一個前の駅で降りた。
俺は彼女の事を友達に話した。友達は不思議な人だと言っていた。
確かに不思議な人だ。
でも俺はあの人とどこかで会ったことがある気がした。
今日も電車に乗ると花を持った女の子は居なかった。
なんならその日から彼女の姿を見なくなった。
彼女の姿がなくなって約一ヶ月が経った。
俺はいつもの電車に乗った。
そしたら花を持っている女の子がいた。
今日の持っている花は俺にも分からなかった。
紫色の花で可愛らしい花だった。
俺は目的地に着いて降りようとしてドアの前に立った。
そうすると肩をトンと軽く叩かれた。
びっくりして後ろを振り返ると花を持った女の子が俺の後ろに立っていた。
彼女は俺の目を見て手話をし始めた。
俺は手話が分からず紙に書いてもらおうとしてリュックの中を探ろうとしたら女の子は電車から降りて行った。
俺も電車を降りた。
休み時間俺はネットでなんの花なのか調べた。
そしたら紫苑と言う花が出てきた。
彼女が持っていた花と全く同じだった。
花言葉は「君を忘れない」や別れの言葉が書いてあった。
手話と繋がっているのかなと思い次に手話を調べた。
彼女が手を動かしていたようにその動きを自分も実際にしながら俺は必死に調べた。
彼女が伝えようとしてくれた手話の意味は「幸せになってね。」だった。
俺は涙が出そうになった。
あの時俺の目をじっと見つめて微笑んでいる彼女の顔が頭の中に出てきた。
最後に笑いかけてくれた笑顔は小学生の頃一目惚れした女の子だった。
彼女は小学生の時から花が好きで花の本を学校に持って来ていた。
俺は涙を拭き一人で家に帰った。
そして自分の部屋に入ってブレザーをハンガーに掛けようとするとポケットに紙のような物が入っていた。
折りたたまれていた紙を開くと彼女からの手紙だった。
何を書いているのか見てみると
「ずっと貴方を探していました。探しているうちに私は耳が聞こえなくなりました。なので家にある好きな花を持ち歩くようにしました。こうして花を持っていると貴方に見つけてもらえるかなと思ったからです。そして私は高校生になり電車通勤になりました。そして貴方がいました。昔と全然変わらずかっこよくて正直驚きました。貴方に声をかけなかったのは私が誰なのかとか手話も分からないんじゃないかと思って声をかけませんでした。でも勇気を出して貴方に伝えようとしました。私は今日で終わりだけれど最後貴方に出会えて良かったです。ずっと大好きでした。幸せになってね。」
そして最後に彼女の名前が書いてあった。
俺は泣くのを堪えながら彼女の家に行くことにした。
でもその家はもう違う人の家で彼女とは何の繋がりもなく聞くことすら出来なかった。
俺は諦めて帰りその日はもうすぐ寝た。
次の日、母親に彼女の事を聞くと母親は昨日病死したと言っていた。
俺はあの日彼女を追いかけなかった事を酷く後悔した
花言葉 あーるくん @kurose_28
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