音殺し

@k0905f0905

第1話

 また雑音がこの世界からひとつ消えた。

 原因はよくわからなかった。

 残ったのは音楽とカエルたちの泣き声などだけだった。

 「音楽はいいよね」

 田無無動が恋人の笠木瑠理香に耳元でそっと囁いた。

 「音楽に罪はない。音楽は無実だ。音楽は清らかだ。

音楽だけがボクの友達だ。音楽は自由だ。音楽は」

「わかったわ。音楽の魅力性は」

瑠理香が子供をあしらうようにそう言った。

「でも音楽を煩いと思う人も多いんじゃないかしら?」

「そうかな」

「わたしの知っている人の中にも少なからず

そういう人たちがいるし」

「それはみんな変わり者なんだよ」

「そうかしら」

「そうさ。音楽が煩いなんて僕から言わせれば非国民みたいなもんだね」

「それは言い過ぎよ」

「そうかな」

「そうよ。それは個人の自由だわ」


 

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