天才魔導士様はまだ恋を知らない~私を恋の実験台にしないで下さい!
志熊みゅう
第1話
~~短期・特定任務 助手募集 ※女性限定~~
【勤務先】魔塔(王都)
【任務内容】一級魔導士の"特殊任務"における補佐業務
【契約期間】短期(任務期間中のみ)※詳細は面談時に提示
【募集条件】10代~20代前半の女性
【備考】任務に関しては、予め守秘魔法で誓約を取らせて頂きます。
【応募方法】魔塔に「短期特定任務・助手応募」と明記し履歴書をお送りください。
一級魔導士 ラウル・アレハンドロ
とある新聞の求人欄。この記事を見つけ、私は歓喜した。私、セレナは由緒正しい魔導士の一族、イグナシオ子爵家に生まれ、兄弟の中でも突出した魔力を持っていた。けれど、両親はそれを制御する方法しか教えてくれなかった。原則魔法は男性が扱うものだからだ。
この国の唯一の魔法研究機関――魔塔。女人禁制というわけではないが、今まで女性の研究員がいたという話は聞いたことがない。それにしても女性限定公募なんて初めて見た。今まで独学で、小さな魔法は成功させたことはある。ただそれは体系的に魔法を勉強した兄弟たちの足元にも及ばない。もし魔塔の一級魔導士の助手になれば、図書館で希少な魔導書を読み漁ることができる。訓練で全身にあふれる魔力をきちんと操れるようになる。
両親に相談をしたら、きっと強く反対されるだろう。彼らの理想では女性は良妻賢母であるべき。つまり良い家に嫁ぎ、その家に仕えることが至上の幸せであるという価値観だ。最近は父は年頃の私を思って、婚約者の選定を始めたと聞いた。
私は親には内緒で魔塔に応募書類を書いた。魔塔から届いた返事には、一級魔導士様、直々に面接をすると書いてあった。私は置手紙だけを残して、荷物をまとめ、夜半に家を飛び出した。この千載一遇のチャンスを絶対に逃してはならない。
田舎にあるうちの領から、王都まで三日はかかる。乗合馬車を乗り継ぎ、乗り継ぎ、王都に向かった。私の見た目は、貴族らしい金髪に碧眼。しかも若い女性の一人旅だ。途中危ない目にもあった。そんな時はこうだ。
「トランスパレンス――透明化。」
うちにある本を読んで自己流で成功させた魔法だから、完全に透明になる訳ではない。それでも魔力を持たない人からは、私の姿や持ち物は見えづらくなる。その隙をついて逃げるのだ。
ようやくたどり着いた王都は、建国祭のホリデーシーズン真っ只中だった。どこもかしこもキラキラしていた。でも浮かれている場合ではない。明日は早速面接だ。宿を取り、自分でも操れる簡単な魔法を何度も練習した。
次の更新予定
天才魔導士様はまだ恋を知らない~私を恋の実験台にしないで下さい! 志熊みゅう @myu_shiguma
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。天才魔導士様はまだ恋を知らない~私を恋の実験台にしないで下さい!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます