10位~8位
10位 渚で会いましょう/Laura day romance
・リンク
https://www.youtube.com/watch?v=pBbKq4QAk1Q&list=RDpBbKq4QAk1Q&start_radio=1
・ピックアップリリック
「渚へ引き返して 何が手に残るんだろう」(ラスサビ)
・蓬葉のつぶやき
低いギターの音が特徴的。晩夏を思わせる。晩夏と打つと、「挽歌」が予測変換で出てくる。「挽歌」は亡き人を悼む歌のこと。この曲も、MVや歌詞から「挽歌」のような雰囲気を感じ取れる。最初のサビ前とサビのつなぎ方がきれい。それまで、わりと早く刻んできたテンポが、ここでゆったりになる。まるで渚に立っているよう。
1番サビのバックでは波の音が響いている。
歌詞全体は難解。けれど、感情が伝わってくる。「渚へ引き返して 何が手に残るんだろう」。渚は波打ち際のこと。海に立つと、彼此の境を強く感じる。そんな場所に「引き返す」のはなぜだろう。そこで手に残るものは?
「死」を想うとき、はじめて私たちは「生」を実感するということだろうか。
9位 My Love Mine All Mine/Mitski
・リンク
【原曲】
https://www.youtube.com/watch?v=vx4kLgnFexo&list=RDvx4kLgnFexo&start_radio=1
【原曲に日本語訳をつけてあるもの】
https://www.youtube.com/watch?v=RKzsCczEeUY&list=RDRKzsCczEeUY&start_radio=1
【花譜】
https://www.youtube.com/watch?v=jwCzTD4ejuI&list=RDjwCzTD4ejuI&start_radio=1
・ピックアップリリック
「Nothing in the world belongs to me
But my love, mine all mine all mine 」(サビ)
・蓬葉のつぶやき
Mitskiの歌声は、カレン・カーペンターを思い出す声だ。しかし、カレンよりも、「黙考」するような声に聴こえる。カレンは、明るさを感じさせる歌声。Mitskiは、闇の中に一筋さしこむ月の光を糧にするような、深い声だと思う。
この曲は花譜のカバーで聴いた。歌い手が変わると印象がずいぶん変わる。音程が違うというのもある。けれど、Mitskiが「すべてのことが済んだあとの夜」を感じさせる一方、花譜は「これから起こること」を胸の中に秘めて過ごす夜を感じさせる。
ピックアップリリックは、「この世界には、私が持てるものなんて何もない。でも、私の愛はぜんぶ私だけのものよ」
「誰かへの愛」で自分の存在を確信できる。それは危ういものでもあるけれど、素敵なことでもある。ルネ・デカルトは「われ思う。ゆえにわれあり」と言った。メーヌ・ド・ビランは「われ意欲する。ゆえにわれあり」と言った。哲学者たちは「思考する」自分。「欲求する」自分に確信を持った。それは、それでいいことだ。誰にもよりかからず、自分の行動のみで自分に確信を持てれば、それに越したことはない。けれど「われ愛する。ゆえにわれあり。また、かれもあり」。現実に即しているのはこっちなのではないかと、私は思う。
8位 そのとき/羊文学
・リンク
https://www.youtube.com/watch?v=pQJAwTcHof8&list=RDpQJAwTcHof8&start_radio=1
・ピックアップリリック
「あの雲の切れ間に もう少しで日が昇る この海に光が差す そのとき」(ラスサビ)
・蓬葉のつぶやき
10位に続いて海の歌。この曲のラスサビは、風景描写で成り立っている。けれど、ここに希望を抱くのは、心境次第だろうか。 昔読んだ小説に、「コップに半分くらい入っている水」を見て、「これだけか」と思うか「こんなにか」と思うかで楽観主義か悲観主義かわかるという描写があった。それと同じで、雲があるとき、「太陽がいなくなってしまった」と嘆くか「太陽はまた昇る」と期待するかで、人生はきっと変わる。
「そのとき」の先はないまま、曲は終わる。聴く人の解釈にゆだねるということだろうか。羊文学の曲は一筋縄ではいかない解釈可能性、哲学性がある。
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