幻霊天満宮

@GARASU-KUROSAKI

第1話 輪廻転生

 ——無地の暗い空が覆う。


 どことなく白い閃光が、帳を降ろすように世界へ舞い降りた。


「今日も還ってきたわ。この幽世へ、きっと良い行いをしたのね。」


 鳥居の陰に隠れた女が言葉を紡ぐと、閃光は地平線の外へ、蝋燭の火を消すかのように消え去った。


「舞世様!今日は、絶好日和ですね!」


 暗き空の元に、煌めく幽世が佇む。


「あら、もうじき朝になるわ。行きましょう美嘉郷。」


 死者の魂が集う幽世で、幻霊天満宮に納められた調停の神、姫崎舞世。

 彼女は、あの一筋の閃光に、懐かしき哀愁を感じる。


 現世で人が死ぬとどうなるか、きっと多くの人間はこう思うだろう。


「死んだら何もかもが無くなるんだ。死んでしまったら全てが無になる。」


 ——と。


 しかし、幽世の者は皆知っている。


 死んでしまった者は皆、この幽世に舞い戻り、もう一度“希望”を与えられるのだ.....と。


「ね、聞いてた?美嘉郷。あの光.....きっと、前世で良い行いをしたと思うの。だから、彼は天へ昇ることを望むだろうって.....。」


 舞世は、鳥居から連なって続く石造の道を渡っている。

 道の側には、竹林、笹、それにこの幽世に彷徨う魂どもが徘徊している。


「良い行いをしても!悪い行いをしても!結局、みんなここに閉じ込められるんです!舞世様、あの光に希望など御座いません!私は神社に戻りたいのですぅー.....!」


 幽世に彷徨う魂は、天へ昇るものもいれば、地獄へ堕ちるものもいる。

 また、もう一度その魂が輪廻をし、現世へ別の形で還ることもある。


 ——しかし、


「あの魂は、きっと希望を見失っているでしょう。この幽世には、他者から希望を奪う者もいる。それが悪霊なのよ。きっと、この近くにも居るはずだわ。」


 舞世はすかさず渡り続ける。


「えー!怖いですー!そんな事を言われたら、この神社に来て1日目の私じゃ、何にも出来ないですよー!帰りましょーよー!」


 わらわらと美嘉郷が泣き出す。


 それに舞世は立ち止まり、そっと静かに美嘉郷を抱き寄せて呟く。


「私は、色んな姿を見てきたわ。何かを必死に奪うのも、奪われるのも、皆当然の事のように思っている。だけれど、私や貴方はそのどちらでもないわ。それをただ、見届けるだけ。」


 2人は再び歩き出した。


 竹林を抜け、廃れた橋が架かる澄んだ渓流沿いに行き着くと、美嘉郷がまた喚き出す。


「このボロボロの橋!絶対に崩れるぅー!やだー行きたくないー!ぜんっぜん安心出来ないんだからぁー!戻りたいよぉー!」


 美嘉郷、またわらわらと泣き出した。


 彼女もまだおぼつかないだろうと察したのか、舞世は軽く溜め息をつき、廃れた橋に向かって手を翳した。


「私はね。何でも出来るのよ。ほーら!見なさい美嘉郷。出来たわよ。」


 涙を浮かべて美嘉郷が顔を上げる。

 ——すると、


「わぁー!す、すっごい!とんでもなく素敵な橋が架かってるではありませんかー!わーいわーい、これで安心ですねー!」

「ふふ.....そうだわね。渡りましょう。」


 2人は渡ろうとする。


「っじゃないよー!舞世様!いつの間にこんな立派な橋をー!」


 瞬きする間に出来た立派な橋、非常に幻想的であるが、不自然で可笑しいものである。


「うーん。なんて言ったらいいかしら。貴方は、まだこの世界を知らないから、これが何であるかを説明するのは難しそうね。」


 舞世は面倒な話を逸らすように、美嘉郷を置いて渡り始める。


「あぁ、あ!待ってくださいー!舞世様ぁー!待ってぇー!」


 橋を渡り切ると、澄んだ渓流の空気は堅苦しい活気に変わり始めていた。


「もうじき、街に行きましょう。ここが何処か、貴方を含めて彼も知らないようだもの。きっと迷っているはずよ。もちろん、貴方が案内するのよ?美嘉郷。」

「えぇ!?はぁ〜い.....。」


雄大な山際から、和凡な風貌の街並みが見えだすと、2人の陰は徐々に遠のいていった。


◇ ◇ ◇


 ——揺れる感覚がする。


 横たわっていた男が目を開ける。


「んぅ。ここは何処なんだ.....。」


 ガタゴトと揺れる空間の中で、見覚えのある景色が広がっている事に気付く。


「ああ、俺は.....ここ、電車か!?」


 外の陽が入り込む美しい列車の中には、その男のみが静かに存在していた。


「あぁ!何処なんだよここ。俺、たしか交通事故で.....。待て、だとしたら物凄く可笑しくないか?俺はなんで列車に居るんだ?ひょっとしたら、俺って.....!」


 ——勝手ながらも確信する。


「転生しちゃったぁ.....!?」


 その時、列車の中に独特な音が響き渡った。

 目新しく、何処か懐かしい哀愁を感じさせるレトロなテロップが流れた。


「うん.....やっぱりそうだな。本当にこんなことってあるのか。じゃない!まず、自分がどういう状況に置かれてるのか把握しないと!」


 辺りを見渡すと、慣れ親しんだ風景ではなく、著しく和凡な内装があった。

 男はすぐに持ち物のバッグを漁り、一枚の手紙を取り出した。


 ——佐々木健二くん。


 君がずっと好きでした。周りがどれだけ優れていても、真っ直ぐ前を向いて頑張ってる君に、私は一目惚れしてた。三年間、ずっと伝えられなかったけど、貴方が大好きです。


「渚三葉より、って.....」


 この男、佐々木健二は高校三年生である。

 大学進学が決定した頃、塾の帰りに不慮の事故に遭ってしまったのだ。


「三葉.....いつの間にこんな手紙を?というか、俺は転生したんじゃなくて、夢を見ているのか?なんでこんなレトロチックな列車の中に居るんだよ俺は.....!」


 その列車はただ走り続け、行き先も詳しくはわからない。

 見慣れない景色に囲まれている中で、健二はそれを飲み込むのに必死だった。


「とりあえず.....とりあえず、駅に着いたら誰かに確認してみよう。ここが何処なのか、俺はなんで列車に居るのか.....とか。」


 胸に手を当てると、実に緊張しているのが伝わってくる。

 心臓の鼓動が鳴り止まず、ただひたすらに激しい動悸を発生させていた。


「うぅ.....目眩がする。おまけに吐きそうだ。せっかく大学に合格したのに、なぜ浮かれてこんな事になったんだ.....」


 我慢できず外の景色を眺めると、陽が徐々に昇って来る事が分かる。


「朝なのか.....早くこの列車から出たい。」


 堪えきれない不安を抑え込み、ただ駅に着くまで耐え忍んだ。

 暫くその状態が続くと、列車の後方にあるドアが開いて、何者かが入ってきた。


「!?、誰だ!!車掌.....か?」


 見た目はいかにも車掌であるが、平然としつつ健二を見つめる姿に、不気味さを隠しきれていない。


「佐々木健二様.....で、お間違いないでしょうか?」


 車掌のようなその男に、順当に名前を聞かれる。


「は.....はい。」


 拙い返事に、その男は健二の心を抉るような事実を突きつけてきた。


「分かりました。佐々木健二様、貴方は不慮の交通事故によって死亡しました。なので、貴方に冥土行きの切符を切ります。では.....」


 平然とその男が手を差し伸べる。

 ——すると、


「なんだよ死んだって!まだ生きたい。死にたくない。母さんに合格したって報告してないんだよ!」


 その様子に、何故か男は呆れた様子を見せる。


「いるんですよ〜。お客様のように、死んだのに死にきれていない霊魂が。“成仏出来ていない”と、言うべきでしょうかね〜。」


 その言葉を目の当たりにし、健二は目に涙を浮かべて土下座をする。


「死んだなんて勘弁してくれよ!まだやりきれていない事が沢山あるんだよぉ!やっと人生が幸せになり出したっていうのに.....なんで死ななきゃなんないんだよぉ!」


 願望さながら泣き出す健二に、車掌のような風貌のその男は、何も答えられずにいた。


「お客様は死亡しているので、私が直接どうこうする事は出来ません。お客様は既に冥土行きが決定しています。切符を切らせて下さい。」

「そんな.....。」


 車掌は健二の切符を手に取り、それをカチッと音を立てて切った。


「それでは、もうすぐ駅に到着します。しばしお待ち下さい。」


 それから心に空白が開いた気持ちで居座っていると、列車が音を立てて激しく揺れ始めた。

 列車が駅に近づき、ブレーキをかける衝撃が伝わってくる。


「俺、これからどうすりゃいいんだよ。」


 ただ、それだけが不安であった。

 そして、列車は少しずつ落ち着きを取り戻したかのように静止し、その動きを完全に止めると、やがて駅に到着した。


 ——列車の扉が開く。


「どうすんだ.....降りねえと.....」


 心と身体が相反し、しばらく動けないでいると、さっきの車掌が出てきた。


「終点です。お客様、きっと死んだ事が受け入れられないようですね。この世界には、それに詳しい方がいらっしゃます。良ければ会いに行っては如何でしょうか。」

「は、はい.....。」


 纏まらない気持ちを、絡まった糸を解くかのように整理しながら列車を出る。

 まず、やるべき事は駅を出て、自分が置かれている状況を詳しく知る事だけである。


「あの、改札って普通に通れますか?」


 改札付近の駅員に問いを投げかける。


「普通とは.....何でしょうか。」

「あ、お金が必要かって事です。」

「駅を出るのに、お金は要りませんよ?」


 この世界の常識的なものは、きっと自分が認知している常識とは並外れているだろう。

 煉瓦造りの古びた駅から出ると、まるで昔を彷彿とさせるような街が広がっている。


 古びたラムネの自販機


 懐かしい板版硝子の窓


 木製の電柱


 まるで既存の世界から、別の平行世界を創り出したかのように幻想的で、とても懐かしい雰囲気が漂っていた。


「うぉ.....どうすりゃいんだ俺。」


 死んだという事実が未だに受け入れられず、目の前の景色に呆然としていると、遠くから誰かが呼びかける.....


「やーい!貴様ぁ!そこで止まれー!」


 声の主の方へ振り向くと!


 (どーーーーーん!)

 激しく衝突し、健二はふらつき倒れた。


「あ!あぁー!すまないですー!こんな事するつもりは無かったんですー!ひぃー!」


 すると何故か、その女子のような外見の人間は揚々と頭を抱え始める。


「な、何すんだ!」

「ご、ごっめーん!でも、あんたも私の呼び掛けに反応しないんだから、お互い様ですからねー!」

「なにー!?」


 健二は飛び掛かってきた出来事に躍起になるが、急に冷静になってしまう。


「あのさ.....その、ここって何処なの?」


 健二は前々から気になっていた事情について詳しく聞こうとする。


「ここでしょうか!?うーむ、やはり貴方はこの世界に転生して来たんですねー!」

「えぇ!?転生!?やっぱりか!!」


 “転生”というワードに強く反応した健二は、厄介事を全て主観で片付ける。


「なるほど。となると、あの車掌ぶった男が言っていた事は全部嘘になるんだなー!まったく急に驚かせやがって。俺はここから極上ハーレム異世界生活を始めるんだよ!」

「それは、違いますー.....」

「あぁ!?なんだよお前はー.....」


 途端に、その女子は健二に目を輝かせて語り始める。


「私はー!美嘉郷と申すですー!この世界の神たる者から、貴方へ!“遣い”として送られた使用人なのですー!」

「し、使用人って!?」

「“貴方の”使用人ですー.....」

「情報不足だぞ!おらぁ!」


 美嘉郷は白く美麗な装束に身を纏い、透き通った外観をしている。

 よくよく見れば.....健二のドタイプの“女の子”でもある訳だ。


 健二は、美嘉郷に指を指し始める。


「じゃあ、よーく聞かせてもらおうか!ハッキリ言って君は可愛い。だから君は、これから俺が目論む異世界ハーレム生活においてのメインヒロインとな.....」

「あんま調子のんなです?」


 髪を掴まれてガヤガヤ騒ぐ。


「ぐわぁ.....いててて.....」

「私はこの世界の神であり、管理者でもある偉大な人から指名を授かっているんです!死人如きがくだらない計画で破綻させるななのです!」

「やっぱり俺って死んでるのかよー.....」


 事実を受け入れるように、健二の目から諦めの涙が滝のように流れ出す。


「俺は佐々木健二。高校三年生.....だった普通の男だ。美嘉郷って言ったよな.....あのさ、俺ってもう完全に死んだ事になるのか?それに、この街が何だかわからない。」


 健二は周囲を見渡しつつ、やっとこさ立ち上がり、事情を美嘉郷に聞く事が出来た。


「ここは遊恩町ですぅー!君が死んだ事によって、その魂が幽世に還って来たんですねー!で.....他に聞きたい事は?」

「ない.....というかその“ですです”って語尾を付ける喋り方は癖なのか.....?」

「これは私のアイデンティティですぅー!それに介入するなど!権利の侵害ですぅー!」

「割とガチで倫理を解き始めたぞ.....」


 美嘉郷にいくつか質問をした事で、やっとハッキリ状況が見えてきた。

 つまり健二は交通事故によって死に、この幽世なる冥土の世界に転生してきたというのだ。


「単純な異世界転生とかではなく.....ほんとに世の中の原理として転生したんだ.....」

「その通りなのですぅー!」


 朝日が昇り、遂に街に活気が宿り始める。


「っにしても、綺麗な街だなー。これが遊恩町なのかぁ。冥土に行っちまったのは残念だけど、意外に悪い気もしねぇなぁ。」


 しかし、健二はある事に気づくと、バックからあの手紙を取り出す。


「三葉.....」

「誰なんですぅー.....!?」

「え!?いや.....なんでもぉ.....」


◇ ◇ ◇


 あの日、運命が起こった気がした。


 高校一年生の頃、健二は特にやる事もなく、小学校のころから得意としていたバスケ部に入る事にした。


「健二!入部届はいつ出すのよ!もう周りの子はみんな出してるでしょう!」

「あぁ.....忘れてたな。」


 その頃、先延ばし癖のある俺は提出期限のない入部届をいつまでも出さないでいた事を思い出した。


 (キーンコーンカーンコーン.....)

 放課後のチャイムが鳴り、親のサインが入った入部届を、周りより遅れて持っていく。


「了解。後はこっちで確認しとくから。用意とかは持ってきてるよね?」

「はい、一応.....。」


 その日から、健二のバスケ部人生は始まった。

 部活自体はアットホームな雰囲気で、インターハイに行く程のものでは無かったが、練習は一段と厳しかった。


「ねえねえ、健二.....」


 ある日、健二は練習が終わって体育館を出た時、幼馴染の三葉に話しかけられた。

 三葉は共感がしやすく、話しやすい雰囲気もあって学校では人気だった。


 ——それに、美人である。


「健二がこの前、誰かと遊びに行きたいって言ってたと聞いたから、一緒に何処か行こうかなって思って.....」

「え?いいの!?」


 初めて2人で何処かに行く事を誘ってくれたのが、三葉だった。

 その時、健二は無限の可能性を感じたように自信満々になっていた。


 その日の食卓で、


「母さん。そういや俺さ、三葉に何処か行こうって誘われたんだよね。」

「えぇ!?三葉ちゃんに!あんた、あんまりそういうの興味ない子だと思ってたら、やっぱり恋しちゃうのねー!」

「なんで母さんが嬉しそうなんだよ。」


 健二は幸せだった。


 健二にはかつてない高揚感というか、エネルギッシュな気持ちが湧き上がった。

 その日からというのも、いっそう練習に身が入った。


「健二!こっちにパス!」

「おう!」

「よっしゃ!ナイス健二!」


 健二は活力を源に、青春を謳歌している気分だった。

 そして、三葉との初デートには、水族館を選んだ。


「三葉.....楽しみでいてくれるかな。」


 高校一年の頃のデートは思った以上に上手くいって、そこから良い流れになった。

 ただ、高校二年になってから健二の人生の全てが変わってしまった。


「おらよ!健二!てめえ、何抜かしてんだ?」


 健二は校内の不良にひたすらボコボコにされ、いじめられ始めたのだ。

 結局、その年は殆ど不登校になり、家から出るような事が無かった。


「人生がつまらない.....楽しくない。」


 高校二年生も終わりを迎え、いよいよ進路について考える年になった頃、健二は家に三葉が来た事を思い出した。


「健二.....いつ学校に来るの。私、ずっと寂しくて、毎朝来るんだけど、健二のお母さんも全然答えてくれないから。なんで学校に来なくなっちゃったの?」


 健二はいじめられていた時の事を思い出して、上手く話せずにいた。

 全裸にされ、写真を撮られ、皆に指を指されて笑われた事.....


「お前には.....関係ないだろ。知って欲しくないんだよ。あんな事を.....!」

「.....分かった。いつでも待ってるね。」


 三葉がそう言って健二の元を去ってから、卒業まで健二と顔を合わせる事は無かった。

 周りに馬鹿にされながらも、学校になんとか通い続けて、大学に合格したのだ。


「俺は.....自由になれるはず.....だ。」


 ——突然の事だった。


 とある塾帰りに不慮の交通事故に遭ってしまい、健二は死んでしまった。

 やっと解放されるはずの人生を手にする事もなく、ただひたすら無の世界へ.....。


◇ ◇ ◇


「さあ、行くのですぅー!」

「ああ、そうだな。」


 何が起きてるのかは分からない。


 ただ、紛れもなく自分が死んでしまった事、別の世界へ飛ばされた事は事実だ。

 俺はこれから、この世界で自分の“希望”を掴むための旅をする事になる。


「今からぁ〜、幻霊天満宮へと、貴様を連れて行くのです〜!それが終わったら、私の任務はここで終了なのです〜!」

「え、それだけ!?」

「そうなのですよ〜!何か変ですか?」

「いやー!.....できればもっと、一緒に居たいなーって。」

「ふーむ.....」


 彼女は、向こう側に聳える山々を指差して健二に呟いた。


「幻霊天満宮には、君の今後を知っている者がいるのですぅー!君のやるべき事が分かれば、付き人である私のやる事も増えるですぅー!」

「え?そうなのか。」

「そうなんですぅー。」


 とりあえず、これからやるべき事は分かった。


 俺はこの正体不明の女の子に連れられて、幻霊天満宮なる場所に行く事になるんだ。


「美嘉郷、おそらく俺が生き返る事は無理だろうが、少しだけ頑張ってみようと思えたよ。ありがとうな。」

「えぇー.....私、そんな偉いことしたですかー!やったですー!」


 俺にはこの世界を知るべき理由がある。


 だから俺は、幻霊天満宮へ行く。

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