脈なし令嬢と執事様

ーーエルラシア帝国帝国歴69年、エルヴァトス邸

「奥様！頑張ってください、もう少しの辛抱です！」

「はぁ、はぁ。くっ、、」

「おぎゃぁ、おぎゃぁ、」

「奥様、元気な女の子が生まれましたよ、」

「そうね、とても元気だわ……」

女の子……、男の子は生まれていないのね……。

「うっ、まだ？！はぁ、はぁ、」

「な、なんと？！もう一人子供がっ？！」

「生まれるっ！」

「なんと、もう一人は男の子でございます！」

「男の子、そうね良かったわ……」

「奥様！アルバ・エルヴァトス様がお帰りになられました！」

「だ、大丈夫か？男の子と女の子の双子か……、よくやった！」

「名前なんだけど……、シズカとミリウスなんて如何かしら？」

「いい名前だ、それにしよう！」

「これはっ？！こんなの見たことがない……。」

医者のイウラ様が焦っている……何かあったのかしら？　

「イウラ様、どうされました？」

「いや、シズカ様が息はしているのですがあの…」

「どうした？何か不具合でもあったのか？」

「シズカ様、残念ながら脈がなくて……」

「なんだとっ？！体は大丈夫なのか？」

「はい、大丈夫なようです……。脈だけがないので」

「み、脈がないのに生きているなんて……、恐ろしい！？なんて……気持ちが悪いのでしょう」

そうして脈なし令嬢シズカ・エルヴァトスが生まれた。