宿題の話

「はぁ……」

「お、どした? ため息なんかついて」

「あ、夏夜なつやくん、久しぶり」

「帰ってきてからも顔合わせていますが? 春歩はるほさん」

「……姉弟でくんとさんで呼び合うのもなんか変ね」

「それあなたが言いますか!? まぁ変だけど」

「やっぱりやめとこう。はぁ……」

「で、そのため息は何?」

「それが、数学で宿題が出たのよ」

「宿題ですか」

「それがちっとも分からなくて……」

「なるほど、よくあることだ」

「うん、だから愛しの弟にやってもらおうかなって」

「姉よ、今何年生だ?」

「高校二年生ですけど」

「そうですよね、そして俺は中学三年生」

「言ってる意味がよくわからない」

「ここまで言わせておいて!? 俺ができるわけないでしょう」

「できるでしょう、あなた算数得意だったよね」

「小学生の時の話されてもな……」

「うーん、ダメなのかぁ、私はどうしたらいいの」

「潔く諦めたら?」

「それは私のプライドが許さない」

「弟にやらせようとした人が言いますかね……」

「うーん、じゃあ文明の利器を使って、ヒントを得ることにするか」

「お、いいじゃん、調べるの?」

「うん、百科事典で」

「あんまり参考にはならないと思いますけどね……」

「数学の歴史を調べるのよ。いかにして数学というものができたか」

「なんかより難しそうなことやろうとしてますね……」

「数学はすごい。私の脳をバグらせてくる」

「単に理解できてないだけですね」

「高校生になると、悩みの一つや二つあるものなのよ」

「急に人生について語り出した」

「……悩みすぎるのもよくないね、友達に訊こう」

「どうしてそれが最初に出てこなかったのか……」

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