V8エンジンと魔導諜報員
よしこ
あらすじ
『カリフォルニア・ドリーム』。新天地にて手早く富や名声を獲得しようとする心理状況のことをいうらしい。
正直前世の自分の生き方とは違うような気がする。しかし、今の自分は前世と比べてあまりにも惨めなのだとしみじみ思っている。
前世で過労死した私はかつて一般企業に勤めていたOLだった。
おっとりとしていた女神様が目の前に現れたときには漫心で彼女の話を耳にぶち込んでいったのだが、まあ聞けば聞くほど絶望のほうが強くなっていく。
時間という概念のないその空間で時間を経つのを待つとは思わなかった。なんでも願いをかなえてくれるとは最高ですね。その条件さえなければの話ですが。
転生したのは世界最大の魔導技術大国。60年代風な某自由の国風な異世界。
物心つく頃には、私は5歳ほどで、孤児だった私の育ての親は黒人でガタイのいい元諜報員のおっさんだということ、私は嘔吐物をミストとして噴射しているのかと問いたいほどの汚いスラム街に平均的な魔導適正のある幼女として転生したということを理解した。
何てなんて私は運がいいのだろうか。ホームレスや汚い孤児や浮浪者だらけのところでの高嶺の花ですよ花。
さて、話を戻すと先ほどの願いをかなえてくれる条件。それはその異世界の裏でありとあらゆる悪事を働く不届きものたちの組織を倒すことらしいです。
不届きもの。なんて可愛い感じにいいますけどいわゆるマフィアですよね。
願いを叶えてくれるというのはものすごくいいね!とは思うが危険を伴うことは絶対にしたくない。私はただラブアンドピースな人生を送りたいだけなのに……。
……でもお義父さんは元諜報員。
裏社会のバージンロードを踏んだということはもう戻れない。エスカレーターに乗っているも同然。
お義父さんの所からひっそり逃げてもスラム街の狂った浮浪者になにされるかわからない。想像もしたくない。
以上の長い前置きから、私は半ば無理やり裏社会の一員として生きることとなったのです。
V8エンジンと魔導諜報員 よしこ @i-arusani-arusan
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